牛殺しの特徴

牛殺しとは別名をカマツカというバラ科カマツカ属に分類される落葉小高木です。

北海道から九州にかけての山地の日当たりの良い林縁に自生して、樹高は5~7mほどになります。

樹皮は暗灰色で、縦のシワや斑紋が入るのが特徴です。

 

カマツカは昔、鎌の柄に用いたことに由来し、牛殺しの方はいくつかの説があるようです。

材をウシの鼻環に加工したことから、やウシの鼻輪を通すための穴を空ける材だったから、また枝と枝の間に牛が角を入れると抜けられなくなるからなど。

長枝は互生し、短い枝は輪生状に広がっています。

葉は互生で細かいギザギザがあり、葉の裏面の主脈には白い毛が生えています。

 

5月頃に枝先に白色の花を20個ほどつけ、花弁は5枚、花柱3本に対して多数のおしべがあります。

9月頃になると若い果実がつき、10月頃には赤く熟します。

毒はなく、甘酸っぱいので食用出来ますが、あまりおいしいものではなりません。

牛殺しの種類

カマツカは基準種で、変種としてワタゲカマツカやケカマツカと呼ばれるものがあります。

厳密な区別は難しく、葉の大きさや毛の生え方、生息地などから同定しますが、大きな違いはそれほどないのだとか。

牛殺しの栽培

比較的大きくなる木ですが、鉢植えすると成長が遅く、盆栽などの寄せ植えや単独の盆栽、ミニ盆栽等に使われます。

栽培は日向から半日陰で適湿な場所で行い、庭木として植える場合は剪定はせずにそのままの形を楽しみます。

 

光が当たる場所ではあまり伸びず、光が少ない場所ではよく伸び、花は短い枝につきます。

3~4月中旬に2~3年に1度、ミニ盆栽は毎年植え替えをし、剪定は育て方によって変わりますが、新芽が伸び始めたら3葉くらいを残して摘み取り、伸ばしたい枝だけ好みの場所で切るようにします。

肥料は2月頃と花後と秋に置き肥をします。

盆栽としての牛殺し

盆栽として楽しむときにはカマツカの名前が一般的です。

同じ盆栽の種類でセイヨウカマツカという種類も多数販売されていて、こちらは日本のカマツカと違い、花の付きが良く、管理しやすいのが特徴です。

 

日本のカマツカはゴツゴツとした雰囲気があり、春の花はセイヨウカマツカよりも少し遅く咲きます。

好みの問題もあり、どのように仕立てるかにもよりますが、カマツカの方がより風情のある日本らしい盆栽になるのも確かです。

木材としての牛殺し

牛殺しは名前にもついている通り、昔から材として利用されてきた歴史があります。

材色は淡黄色と淡紅褐色の中間のような色ですが、小径木であれば必ずしも均一色ではありません。

材の質は緻密で堅く、重量もあります。

 

柄材としては樫やグミなどが用いられていますが、堅さだけの問題で言えば、十分にそれに匹敵するだけのもの。

ただし、節や色合いの点でワイルドな雰囲気が残る為、現代では一般的に流通はしていません。

 

別名のカマツカも、鎌の柄として使われていたことに由来しますが、刃が軽くて小さめの鎌にはホウノキが使われ、比較的大きく細い灌木類を切るくらいの鎌には樫などを使うのが一般的で、カマツカの場合も大き目の鎌に使われていたと考えられます。

 

木の大百科事典では、カマツカの用途として石工玄扇の柄が記されており、それによると、牛殺しの材は堅く強靭で割ったり裂いたりする加工がとても困難。弾力があるので、強く折れることもなく、玄扇の柄や洋傘の柄、塗り櫛として、また石材を扱う石工などの扇子としてつかわれていたのだとか。

 

一般的な材として流通していないのは、植物体から太くてまっすぐに製材できるような部分をとることが出来ないから。

樫などがその代用になり、牛殺しの需要は一般的ではないのが現状です。

(ライター ナオ)