カバは偶蹄目(鯨偶蹄目)カバ科カバ属に分類される大型の哺乳類です。
かつてカバはサハラ砂漠を除くアフリカ大陸全域に生息していましたが、現在ではエジプトやアルジェリアでは絶滅し、サハラ砂漠以南のごく限られた地域に狭められてしまいました。
足が短く、丸みを帯びたその体型からカバはブタに近い仲間(=猪豚亜目)に属すると考えられてきましたが、最近の分類法ではクジラに近く、牛と近縁であるとされています。
カバはゾウに次いで重い動物!
カバの体長は3.5~4メートル、体重はオスで1.5トン~3.2トン、メスでも1.4トンに達し、陸上動物ではゾウに次いで重い動物になっています。
カバの皮膚は、分厚い脂肪に覆われていますが、表皮は薄いので乾燥に弱く、裂けやすいのです。
カバは水中を泳がずに歩く!
カバの頭は大きく、顔の側面に鼻、目、耳が一直線に並びます。これは水中から頭の上部のみを出して、呼吸をしながら目と耳で周囲の様子をうかがうのに適しているのです。
ただしカバの身体は水よりも比重が重いので、水中を歩いて移動します。深い場所では空気を大きく吸い込むことで浮くことができますが、通常は泳ぐことはありません。
カバの名前の由来!
日本語での「カバ(河馬)」の呼称は、実はオランダ語やドイツ語からの直訳と考えられています。ちなみに中国語でもほぼ同じ表記です。
カバはナワバリを死守する!
一見するとカバはそのユーモラスな体型から温和でおとなしい動物と見られがちです。
ところが実は非常に凶暴で、獰猛な荒い性質なのです。
カバはナワバリ意識がとても強く、自分のナワバリ内に侵入してきたモノに対しては激しい攻撃を加えて追い出そうとします。
ワニやライオンは言うに及ばず、人間や同種のカバに対しても容赦ありません。
オス同士のナワバリ争いでは死闘に至ることもあるほどなのです。
カバは攻撃に適した特徴を持つ!
カバのアゴの関節は特殊な構造をしており、口を150度まで大きく開くことができます。
口腔には長さ50センチに達するほどの長く太い犬歯を備えていますが、これはおもに闘争の際に使われます。
陸上では時速40キロ以上で走ることもできますので、全速で突進して衝突すればダンプカー並みの破壊力があります。
ただし、持久力はありませんので突進は短距離に限ります。
カバはフンを撒き散らす!!
通常カバのオスは単独で暮らし、メスと幼獣は10~20頭ほどで群れを作ります。
優位のオスはこの群れを外から支配し、群れの周囲にナワバリを持ちます。
ナワバリを奪ったオスはライオンなどと同様に先代の子どもを咬み殺してしまいます。
動物園のカバ舎には『フンをまき散らすので注意!』などと書かれていることがあります。
これはオスのカバがナワバリを主張するための行動でもあるのです。
ヒトは年間三千人もカバに殺されている!
アフリカでは、野生動物からの攻撃による死亡者数で最も多いのは、実はカバによるものなのです。
その数は年間約3千人にもなります。
前述したようにカバはナワバリ意識が強く、侵入者を許しません。
うっかり近付こうものなら激しい攻撃を加えてきます。
あの大きさとスピード、荒い気性ですので、生身の人間であればひとたまりもありません。
カバのナワバリは水場の周囲に限られる!
カバは、日中は水中にいて夜間陸上に上がって採食をします。
したがって行動範囲も水場から近い場所に限定されます。
通常で3キロほど、最大で10キロも離れることがありますので、行動半径は広めであるといえます。
カバは絶滅の危機にある!
カバも人間の開発と乱獲により、その生息地域は狭められ、生息数も減少しています。
おもに食用と牙を目的に狩猟の対象になっていましたが、1995年にワシントン条約付属書Ⅱに掲載され、国際取引が制限されています。
カバは意外と少食だった!
カバの食性はおもに植物食で、草やその根、木の葉などを食べます。
その量は1日当たり40~50キロにもなりますが、他の大型草食動物に比べてかなり少なめです。
日中ほとんど動かずに水中で過ごすためにエネルギーの消費量が少ないと言われています。
カバも肉食をしていた!
カバが死亡した仲間の死体を食べたり、インパラを捕えて捕食したという報告があります。
ただしカバはあくまでも草食動物であり、肉を常食しているわけではありません。
必要に応じて常食以外のモノを食べることは珍しくありませんので、目撃事例はそういった場合だと思われます。
草食動物は草しか食べないワケではない!
草食動物であっても、必ずしも植物のみを食べるとは限りません。
キリンがハトを、トナカイがレミングを食べた例など枚挙にいとまがありません。
野生動物は不足した栄養素を補給するなど、その目的に応じて肉食をする場合もあるのです。
カバが肉食をするのは意外なようですが、そういった事情があるようです。
(ライター オニヤンマ)