羊は、哺乳綱・ウシ目・ウシ科・ヤギ亜科の1種です。ここでは羊とその寿命について紹介します。

羊の生態

羊は食草ですが、しかし同じヤギ亜科に属するヤギとは違って、草だけを食べます。

ちなみに、ヤギは木の芽や皮も食べます。

羊は聴力がよく、また、水平に細い瞳孔を持ち、優れた周辺視野を有しています。

視野は、270~320°で、頭を動かさずに自分の背後を見ることができます。

 

しかし、奥行きはあまり知覚できず、影や地面のくぼみにひるんでしまうこともあります。

また、暗いところから明るいところに移動したがる傾向があります。

羊の群れにまつわる諸々

羊は、群れたがる性質があり、群れから引き離されると強いストレスを受ける動物です。そして、先導者に従う傾向がとても強い動物でもあります。

これらの性質は、家畜化されるにあたって、極めて重要な要素でした。

 

ちなみに、捕食者がいない地域の羊には、これらの性質は希薄です。

羊は、群れのなかでは、自分と関連あるもの同士が一緒に動く傾向があります。

 

たとえば、混種の群れのなかでは、同じ品種同士が小グループを作りますし、メス羊とその子孫は、大きな群れのなかでは一緒に動きます。

 

危険が迫ったとき、羊にとって一番の防御行動は逃げることです。

その次に、追い詰められた羊が突撃したり、ヒズメを踏みならして威嚇します。

 

これらの行動は、とくに新生児を連れたメスに多くみられます。

そして羊はストレスに直面すると、すぐに逃げ出してパニックにおちいります。

このことから、羊は非常に愚かな動物というイメージをもたれています。

 

しかし、イリノイ大学の研究によって「羊のIQは、ブタより低く、ウシと同程度」であることが明らかになりました。羊は、人やほかの羊の顔を何年も記憶でき、顔の表情から心理状態を識別することもできるのです。

羊の寿命

羊の平均寿命は、10年~12年です。

最高寿命は、15年のようです。

羊のその他雑学 その1

クローン羊のドリーは、「世界初の哺乳類の体細胞クローン」として世界的に有名です。そして一般的な羊よりも短命でした。

1996年7月。

 

クローン羊のドリーは、スコットランドのロスリン研究所で誕生しました。

ドリーはメスのクローン羊で、世界初の哺乳類の体細胞クローンとして一躍有名になります。

 

2003年の2月14日。ドリーは6.5歳で進行性の肺疾患を起こし、最終的に安楽死させられます。

ドリーはフィン・ドーセット種でしたが、6.5歳はその種の平均寿命のおよそ半分でした。

 

このことから「クローンは、寿命が短くなるのでは?」と考えられるようになりました。

ところが、2016年の7月に「クローンであることと寿命が短いことの間には関係性はない」という考えを裏付けるような研究結果が公表されました。

 

13頭のクローン羊を飼育して、老齢になるまで一連の試験を行うことによって「クローン羊は、通常の羊と同じように老化していく」ことを研究チームが明かしたのです。

羊のその他雑学 その2

映画「ブレードランナー」の原作は、フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」ですが、その原題の「Do Androids Dream of Electric Sheep?」の「sheep」って、実は単数形でも複数形でも「sheep」なんです。

 

なぜ、「sheep」の複数形は、語尾に「s」を付けないかというと、それは羊が群れをなして生活することが多かったからだと考えられています。

つまり、英語圏の人々は、羊を1匹1匹ではなく、集合体として見ていたわけです。

羊のまとめ

以上、羊とその寿命についていかがでしたか?

羊のストレスに直面すると、すぐに逃げ出してパニックにおちいるという性質があります。

そのせいもあって、経験の浅い羊飼いは大変苦労をするようですが、しかしそれにしても庇護欲をそそられる動物ではあります。

(ライター ジュン)