クジラはクジラでも色々な種類がいるわけで・・・・

そのうちのとても珍しいクジラ、セミクジラについてお話します。

セミクジラの生態

セミクジラはヒゲクジラ亜目セミクジラ科セミクジラ属に分類されるクジラで、日本哺乳類学会には絶滅危惧種に指定されています。

同じ種類としてはタイセイヨウクジラやミナミセミクジラ、ホッキョククジラなどがいます。

 

体長は13~18mで60~80t。コククジラやザトウクジラに比べるとおよそ2倍大きさと言えます。

現在まで確認されている最大個体は135tもあったのだとか。

 

頭が大きく全長の4分の1ほどの割合を占めていて、口は湾曲しています。

2mをも超すクジラヒゲが生えているのも特徴で、このヒゲによって大量の動物性プランクトンを捕食しているのだそうです。

セミクジラに共通する腹部の畝がなく、背ビレもありません。

 

背中はつるっとした綺麗な曲線になっており、背面を海面上に出して遊泳しています。

冬から初夏にかけて相模湾や駿河湾、伊豆半島や小笠原諸島等で目撃され、近年では知床半島付近でもいくつかの目撃情報が寄せられていますが、日本海側での目撃情報はほとんどありません。

 

日本近くではベーリング海に決まったエサ場があるらしく、その辺りはセミクジラたちの定期的な集中域となっています。

南北の回遊例としては南東部ベーリング海からハワイ諸島などが挙げられますが、科学的根拠のあるはっきりとしたことはあまりわかっていないというのが実情です。

 

ザトウクジラと共に行動したり、人を見つけると背を向けて攻撃することなく静かに去って行ったりと平和的で、無駄な争いをしない大人しい親和的なクジラと言われています。

メスは10年かけて性成熟し、妊娠期間は1年で、一回で一頭の子供を産みますが、親のいなくなった子供のクジラの子育てを全く関係のないメスのクジラが行うこともあるようで、その辺りも心優しいクジラとしてのイメージを増幅させています。

セミクジラの名前の由来

セミクジラは漢字で書くと「背美鯨」となり、背中のカーブラインが美しいことから付けられたと言われています。

また、人間の船が近づくと背を向けて避けていく様子からもこの言葉が当てられているようです。

他にも「勢美鯨」などの字が使われることもあるようです。

セミクジラと人間の関係

セミクジラは脂肪分が多く、超えている為、海面上にとても浮きやすく、捕獲しやすいと言われてきました。また、人懐こく人間にも容易に近づいてくる一面も持っています。

セミクジラは肥えているので、油や肉の採取が効率的に行われたり、立派な長くて柔軟性のあるクジラヒゲの持ち主でもあり、とても重宝されました。

 

クジラヒゲは日本では神楽人形の仕掛けに使われたり、外国ではコルセットや傘の素材として使われていました。

また、背中の曲線が美しいことからよく絵画などにも描かれていたと言います。

セミクジラの個体数

セミクジラは先述したように絶滅危惧種にも指定されています。

ある日本の研究機関の調査によると2000年時点で1000頭弱のセミクジラがいるとされましたが、現在ではさらにその数を下回っていることが予測されています。

セミクジラのまとめ

セミクジラは日本では不定期で確認されており、相模湾、駿河湾、伊豆半島、小笠原諸島、近年は知床半島付近でも目撃情報が寄せられている。

セミクジラについて科学的根拠のある正確な情報は多くない。

 

セミクジラは友好的で温和なクジラで、油が多く海面に浮きやすいので捕獲しやすいクジラ。

鯨の油や肉は食用に、立派なクジラヒゲは神楽人形やコルセット、傘の素材として使われていた。

セミクジラの個体数は年々減少し、日本哺乳類学会では絶滅危惧種に指定している。

(ライター ナオ)