ハチの巣と言えば木の枝や軒下などにぶら下がっているというイメージが強いですが、中には地中に巣を作るものもいます。
そのうちの一つが「ジガバチ」。
地上にある巣と違って基本的には穴の部分しか見えないので、うっかり近づいたり踏んだりしてしまったらと考えると…ちょっと恐ろしいですね。
そこで今回はジガバチの巣の見分け方や、危険性などの生態について、詳しくまとめていきたいと思います。
ジガバチの生態
ジガバチはミツバチやスズメバチなどに比べると知名度は高くありませんが、日本全土に生息しているハチです。
誰しも一度は知らず知らずのうちにでも、遭遇したことがあるのではないでしょうか。
成虫の体長は2㎝前後で、まず目につくのは極度にくびれたウエスト部分。
ビックリするほど細いので、ちょっとした衝撃で折れてしまわないのかと些か心配になるほど。
ウエストに近い部分がオレンジまたは赤っぽいのもジガバチの特徴ですね。
よく似たハチに「トックリバチ」というものがいますが、こちらはウエスト付近が黄色です。
さて、そんな華奢な見た目とは裏腹に、ジガバチは他の昆虫を狩って餌とする、典型的な「狩りバチ」であり、主に幼虫の餌として青虫などを狩ります。
獲物には麻痺性の毒を注入し、生きたまま少しずつ幼虫の餌にするという残酷さ…。
こう聞くととても攻撃性が強くて、人間にも襲い掛かるのでは?と心配になりますよね。
しかし、安心してください。
ジガバチが自ら人間に攻撃を仕掛けるようなことは滅多にありません。
基本的に大人しく攻撃性はないので、近づいたり少々触ったくらいで刺されるというケースは少ないようです。
ただし危険を感じると攻撃してくる個体もゼロではないので、用心するに越したことはありませんが。
何より、ジガバチに刺されるととても痛いらしいので十分に気を付けましょう。
ハチの仲間には群れで行動するものと、単独行動をするものの2種類がいます。
群れで行動するハチの代表種としては、ミツバチやスズメバチが挙げられますね。
逆に単独行動をするものにはクマバチなどが挙げられますが、ジガバチも単独行動をする種です。
集団で襲い掛かってくることがないという面でも、ジガバチの危険度は低いと言えますね。
ジガバチの巣ってどんなの?
ジガバチの巣は、単純に土に穴を掘っただけのものです。
そもそも「巣」とは言っても、成虫がそこで暮らすわけではありません。
ジガバチは掘った穴の中に餌となる青虫を入れ、青虫の体に卵を産み付けて巣に蓋をすると、二度とその巣には帰らないのです。
「巣」というよりは、「保育器」と言った感じでしょうか。
穴の広さは多くの場合幼虫1匹分なので大した大きさはありません。
直径は1cm、深さは3~5㎝ほどと言ったところでしょうか。
また、巣の場所を外敵に悟られないように、穴を掘った時に出た土は巣から少し離れたところに捨てられます。
穴から少し離れたところに小さな土の山ができていたら、ジガバチの巣の可能性がありますね。
並行して横並びに2~5個の巣穴を作ることも。
とは言え、巣穴を見ただけで確実にジガバチの巣かどうか見分けるのは難しいのです。
やはり出入りしている成体の姿を観察するのが最も確実ではありますね。
ジガバチは卵を産み付け終わると、砂や小石で巣に蓋をしてしまいます。
蓋をした後はまるで穴なんて無かったように痕跡がなくなりますから、そうなるともう巣の発見も困難と言えるでしょう。
ジガバチについてのまとめ
ジガバチはもし知らずに近づいても危険性は低いですが、念のため巣らしき穴を見つけたら踏まないように気をつけましょう。
そしてできるだけ穴を埋めたりせずに、そっとしておいてあげて欲しいですね。
だって考えても見てください。
苦労して獲物を捕って帰ってきたら、一生懸命掘った穴が無い…なんて、ジガバチにとっては大ショックです。
そのうち穴はジガバチ自身の手によって埋められますから、それまで観察して楽しむというのも一興ですよ。
(ライター もんぷち)