小さく繊細な体つきをしている「イトトンボ」。
成虫になれば他のトンボとの違いは一目瞭然で、大して虫に詳しくない人でも見分けることができるでしょう。
しかし、ヤゴはどうでしょうか?
他のトンボとの違いはあるのかどうか…また、イトトンボの種類によってもヤゴの姿は違うのでしょうか。
というわけで、今回はイトトンボのヤゴとその見分け方について、詳しくまとめていきたいと思います。
イトトンボの生態
日本に生息しているイトトンボは26種類。
特徴は折れそうなほど細く華奢な胴体です。
また、よく見なければわかりませんが、前後の翅の大きさや形がほぼ同じ。
(他のトンボは前後の翅の形が異なり、後ろの翅の方がやや大きめ。)
他のトンボは大きさもそうですが、何だか動きも早くて好きになれないという人も多いでしょう。
しかしイトトンボは、水面近くをゆったりと飛ぶので、見ていてとても癒されます。
行動範囲もあまり広くありません。
たとえ虫嫌いだろうとも、イトトンボならばずっと眺めていられるのではないでしょうか。
私も天気の良い日には、ボーっと観察していたこともあります。
交尾の際にはオスとメスがタンデムし、まるでハート型のようにつながっていることもありますね。
特にイトトンボの体は細く柔らかいので、綺麗なハート型になるようですよ。
そんな小さく華奢なイトトンボも、食性はれっきとした肉食。
成虫は小さな昆虫(ハエなど)を主な餌にしています。
ゆったりとしたイメージのあるイトトンボですが、ハエよりも速く動けるということですね。
しかし巨大なオニヤンマなんかが虫を食べるのは簡単に想像できますが(名前からして肉食っぽいし)、あんな小さなトンボが虫を捕食するのはちょっと想像しづらいですね…。
あの細いお腹に入る所があるのか?と不思議に思います。
イトトンボのヤゴってどんなの?
さて、いよいよイトトンボのヤゴの生態について見ていきましょう。
まずイトトンボと他のトンボのヤゴとの見分け方ですが、やはりイトトンボのヤゴは成虫と同じく細長い体つきをしています。
大きさは2~3㎝で、腹部の先端にエラが3枚付いているのが特徴です。
このエラはイトトンボの種類を見分けるための重要なパーツでもあるので、しっかりと観察してみましょう。
エラの幅や模様、先端のとがり具合などで見分けることができます。
例えば、「アオモンイトトンボ」のヤゴは、エラの先端がとがっていて模様がありません。
「キイトトンボ」のエラは幅が広く先端は丸みを帯びているのが特徴。
他にも、「クロイトトンボ」はエラにはっきりとした茶色の斑点が3つあるなど、種類によってエラの色・形は様々です。
しかし中にはほとんど見分けのつかない種類もいるので、その場合は大人しく成虫になるのを待つしかないでしょう。
また、イトトンボのヤゴは成虫と同じく肉食ですが、他のヤゴが食べているような小魚などの大きなものは食べられません。
ボウフラやイトミミズなど、小さいものを主な餌としています。
飼育する場合は、エアレーションをした水の中に生餌を入れておき、水を時々変えてあげましょう。
羽化が近くなったら木の棒などを立てかけ、水上へ登れるようにしておきます。
羽化中は絶対に触らないようにし、羽化が終わったら逃がしてあげましょう。
(成虫の飼育は難しいです。)
イトトンボのヤゴについてのまとめ
今までヤゴの見た目の違いをあまり気にしたことはありませんが、意外にも分かりやすく見分けられるポイントがあるということがわかりました。
ボウフラを食べてくれる益虫でもあるので、見つけたら庭などで飼育してみてはいかがでしょう。
(一度ボウフラが沸いた水にはボウフラが湧きやすくなるので、そこにヤゴを入れておけばトラップになります。)
(ライター もんぷち)