家の柱や土台を食い荒らすシロアリ。
屈強なイメージの強いシロアリですが、そんな彼らに天敵なんているのでしょうか?
シロアリの種類や生態
シロアリにはいくつかの種類が存在します。
日本には22種類が生息していると言われていて、その中でも建築物に害を及ぼすのがヤマトシロアリとイエシロアリです。
近年はアメリカカンザイシロアリという種類のシロアリ被害も報告されるようになりました。
北海道を除く全土に生息しているのがヤマトシロアリで体表は黒褐色、体長は4.5~7.5㎜程です。
同じ地下型として千葉県以西や南西諸島、小笠原諸島などに生息しているのが、イエシロアリです。
こちらは黄褐色で、ヤマトシロアリよりもやや大型になります。
乾材に生息するアメリカカンザイシロアリは宮城県から沖縄までの24の都府県に点在しています。
シロアリは全て巣穴を作り、その中で王と女王が滞在し、働きアリがエサを運ぶという社会生活を送っています。
アリと違うのは王のアリが存在することと、働きアリの中にも女王の素質を持つ、つまり生殖能力を持つアリが存在するということです。
ヤマトシロアリは枯れ木の中に巣穴を作り、巣穴は網目状になっていて、シロアリはその周辺を食べながら巣を広げていきます。
一方イエシロアリは地下に穴を掘り、木くずや土で固められた大きな巣を作り、その中に女王アリが暮らします。
巣を中心にしてトンネルを掘り、あちこちを食うので木造家屋などでは大きな被害が出てしまうのです。
シロアリの天敵
日本国内で、シロアリの一番の天敵は何とクロアリ。
一見同じ種で仲間のようにも見えますが、実はクロアリは好んでシロアリを捕食します。
また、ペットショップなどでは爬虫類のエサとして、よくシロアリが与えられています。
他にもシロアリ駆除にも役立つと言われている天敵がクモ、カエル、ツバメなどです。
熱帯域では、アリクイやチンパンジーなど、地下にアリ塚を作っていて捕まえにくいシロアリも
独特の進化や、道具を使うことによって捕食しています。
シロアリを利用する生物たち
シロアリの作ったアリ塚を利用して自らの身を守っている生物もいます。
ヒカリコメツキの幼虫はアリ塚に生息し、中で光を放つことによって他の昆虫を誘引しエサにしています。
キツツキの一種であるアリツカゲラはキツツキが巣を作るような木がないためにアリ塚の上部に直径15節程度の穴を開け、その中に卵やヒナを置いています。
アナホリフクロウもまた同じようにアリ塚の傍らに巣穴を掘り、昼夜はアリ塚の上に止まり獲物を探して暮らしています。
他にもシロアリの巣の中に生息する小動物がいて、これらは好白蟻性と言われています。
シロアリの利用
シロアリは重要なたんぱく源として食べている民族もいます。
特に、繁殖期に巣の外に大量に出現する雄と雌の羽アリを集めて食料にしています。
スーダンではこれらの羽アリを採取して油で揚げて販売していますし、南米の先住民は生で食しているそうです。
フィリピンにもすり潰してスープの具にする地域があります。
他にも中国やタイでも素揚げやスープなどにして食べられているのだとか。
シロアリには6%のたんぱく質と0.1%の鉄分が含まれているので、栄養価としては高いと言われています。
シロアリの消化器官内にいる共生菌はセルロースの分解ができ、バイオエタノールの生産に役立つと期待され、琉球大学などで研究が進められています。
また、水素を生成する菌も確認されていて、気体を集めています。
シロアリの生態と天敵に関するまとめ
白蟻は日本には22種類が生息しており、建築物に害を及ぼすのがヤマトシロアリとイエシロアリ。
天敵はクロアリやカエル、ツバメ、蜘蛛などがいる。
(ライター ナオ)