カミツキガメはアメリカ大陸原産でありながら、日本国内の池沼でもたびたび発見されており、ある意味ではわたしたちにとって身近な爬虫類だといえるかもしれません。
ニュースの映像などで、その巨体をご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか
今回は、そんなカミツキガメの生態と禁断の飼育法をみなさんにご紹介していきます。
カミツキガメの生態
カミツキガメはカメ目カミツキガメ科に属します。
最大甲長はおよそ50cm、体重35kg前後と、同科のワニガメと比べると小柄な印象です。
完全な水棲であるため、産卵のとき以外に上陸することは滅多にありません。
食性は肉食寄りの雑食性で、魚類や甲殻類、貝類や動物の死骸、植物や果実、藻類など、口に入るものであれば何でも食べるといっても過言ではありません。
水中でじっと獲物を待ち伏せするワニガメとは違い、カミツキガメは水底を這いまわって獲物を捕食します。
カミツキガメと人間との関わり
カミツキガメはペットとして人気が高く、原産国のひとつであるアメリカ合衆国から毎年大量に入荷していましたが、巨大化し飼いきれなくなる飼育者が続出し、その結果、国内の河川に数多くのカミツキガメが放流されました。
北米を原産とするカミツキガメは日本の冬の過酷な寒さにも耐え抜き、現在では千葉県印旛沼をはじめとした日本全国の湖沼に広く生息するに至っています。
その強い適応力と繁殖力から2002年には特定危険動物、その3年後の2005年には特定外来種に指定され、カミツキガメの飼育には許可が必要となりました。
カミツキガメの種類
カミツキガメとはカメ目カミツキガメ科カミツキガメ属に分類されるカメの総称であるため、ひとくちにカミツキガメといってもいくつかの種類があります。
カミツキガメの多くは原産地を由来とした和名を付けられており、カナダ南部からアメリカ中東部に生息するホクベイカミツキガメ、ホンジュラスからエクアドルにかけて生息するナンベイカミツキガメ、アメリカ合衆国フロリダ半島に生息するフロリダカミツキガメ、メキシコからグアテマラにかけて生息するチュウベイカミツキガメなどがあります。
ホクベイカミツキガメは最大亜種であり、日本国内で繁殖しているのも本種です。
カミツキガメを飼育するための準備
前述したように、カミツキガメは完全な水棲です。
そのため飼育容器内に陸場を用意する必要はありません。
飼育容器には、カミツキガメの大きさに合わせたアクリル水槽や強化プラスチック容器などを用いると良いでしょう。
また、カミツキガメは水を激しく汚しますので、強力な濾過設備または小まめな水替えが必須となります。
北米原産のカミツキガメであれば日本の気候に適応しているため特別な保温設備は必要ありませんが、水が凍ってしまうほどの低温は厳禁です。
冬眠させる場合でも同様ですので、厳冬期には飼育容器を室内に移動させると良いでしょう。
カミツキガメを飼育する餌は?
前述したように、カミツキガメは雑食性が強く、口に入るものであればなんでも食べてしまいます。
そのため、魚や甲殻類、貝類やマウス、昆虫や甲殻類、植物の茎や葉、果実などをバランスよく与えるように心がけてください。
もちろん人工飼料にも餌付きますので、上記に加えて市販のカメの餌を与えると良いでしょう。
餌は週に1~2回、食べ残しのない量を与えます。
食べ過ぎはカミツキガメの健康を阻害し、最悪の場合は突然死の原因になりかねませんので、肥満がないか日常的によく観察してください。
甲羅と腹甲の間から贅肉がはみ出していたら、それは肥満の可能性が高いです。
餌の量を減らしたり、飼育ケージを大きくして運動不足を解消するなどして対処すると良いでしょう。
これまでカミツキガメの飼育法をご紹介してきましたが、実は2005年以降、カミツキガメを新規で飼い始めることは禁じられています。
湖沼などでカミツキガメを発見した際には、決して捕まえようとせず、地元警察や市町村の役場などに速やかに連絡してください。
(ライター 國谷正明)