不思議な色合いのタマムシ。
あまりの綺麗さに飼育を考える人も多いようです。
一般に綺麗なタマムシといわれているタマムシは、和名でヤマトタマムシと呼ばれています。
甲虫目タマムシ科にはいろいろなタマムシがいますが、このような体色をしているのはヤマトタマムシ一種のみです。
タマムシの野生下の生態と特徴
ヤマトタマムシの大きさは3㎝から4㎝ぐらい。
腹部も含め、全てメタリックカラーをしています。
グリーン系の体に赤く光る線があり、腹部はやや赤い色。
オスもメスも同じ色です。
この不可思議な光り方は、構造色という光学的システムを利用したものであると考えらえています。
タマムシたちの天敵は鳥です。
鳥類の特色のひとつに、色が変わるものを避ける習性があります。
人間から見れば綺麗な色合いですが、見る眼が変われば意味合いも印象も変わります。
しかしこの事にも諸説あり、特に鳥とは関係がないとされている事もあるようです。
細い脚の裏はしっかりしており、樹木はもちろん、つるつるしたプラスティックケースをよじ登ることもできるつくりになっています。
タマムシの特徴のひとつに、複眼が大きい事があります。
ある研究によるとタマムシは視覚で交尾の相手を選ぶとか。
タマムシは昼間活動する虫なので、外見の特徴も観察しやすいかも知れません。夜は葉の陰で休んでいます。
飛ぶときは上の甲の硬い部分も飛行機の様に広げますが、飛翔するときに使う翅は下についている薄い翅です。
生息地は本州、四国、九州地方、温暖地域の離島など。
エノキの木によくいるようですよ。エノキは暖かい土地で見られるニレ科の落葉高木です。
タマムシのメスは8月頃になると、エノキやケヤキ、クヌギ、コナラ、サクラなどの枯れ木の割れ目に卵を産み付けます。
約3週間くらいで孵化し、幼虫は木を食べて大きくなります。
歯で噛み砕いた木で蓋をするので、幼虫の姿は外から確認できません。
幼虫は2、3年ほどかけて木の内部で脱皮し蛹になり翅をつくり、暖かくなる6月から7月になると成虫として出てきます。
成虫は主にエノキの葉を食べます。成虫になってからの寿命は、真夏の約1月とちょっとです。
タマムシの採取や販売店など
タマムシの採取をするには、よく晴れた暑い日にエノキやクヌギのある雑木林に行きましょう。
なるだけピーカンの日の方が見つかりやすいですが、熱中症には気を付けましょう。
タマムシが活動的になる時期は、6月から9月にかけて。ちょうど夏休みの時期ですかね。
樹にとまっていたり葉の陰などで見つけた場合、そっと手で捕まえる事も出来るかも知れません。
高いところにいる場合はむやみに樹に登らず、虫取り網を使いましょう。
タマムシはまっすぐに飛びますから、晴天の日に光を受けて目立ちます。
販売しているお店もあるようですが、食べるものはエノキ(榎)などの葉なので、餌が問題ですね。
エノキ自体は珍しいものではありません。
甲州街道沿いなどに一里塚として植えられるような、割と身近な樹木です。
樹の肌はグレーで枝の広がりや葉がもさもさと多いことなどがエノキの樹の目印です。
見かけたことがある人も多いかも知れません。
準備するもの
ごく一般的な蓋つきの昆虫用プラスティックケースを用意します。
エノキの木が好きな様なので、葉のついている小枝があれば少し入れてみるとよいかも知れません。
温度管理など
特に必要なく常温でよい。
見つけて捕獲する事は難しいですが、成虫のタマムシは手のかからない虫です。
餌について
タマムシはエノキの葉を食べます。水分は必要ないようです。
寿命など
野生下のタマムシの寿命は約ひと月ほど。飼育下ではもっと長生きする事もあるそうでが、基本的に短命です。
タマムシについて
昨今見かけることが減ってきたといわれるタマムシですが、個体数が著しく減っているというより、見つけられる人間が少なくなったのかも。
手軽に様々な情報を手に入れることが出来る現代ですが、昆虫採集は感覚や生きた知恵がないと難しいでしょうから、人から直に教わるものかも知れません。
飼育する際に困るのは、タマムシは決まった樹木の葉を食べるという事ですが、生息地の樹の葉を食べているだけなので昆虫としてはごく普通の事なんでしょうね。
玉虫、吉丁虫という漢字があてられ、縁起が良いだとか、飛鳥時代からタマムシを愛でていたとか、彼らにまつわるエピソードは実に豊富で枚挙に暇がありません。
タマムシと言えば玉虫色。
玉虫色は光によって自在に色を変えます。
あまり良い意味に使われないケースもありますが、ヤマトタマムシの刻々と変化する色合いには魅了されます。
(ライター:おもち)