まっすぐ伸びる長い角を持つアラビアオリックスは、伝説の生き物、ユニコーンのモデルだという説もあります。

この美しい角を人間に狙われて、絶滅に危機に瀕しているそうです。

 

ユニコーンは良く知られていますが、日本ではあまり知られていないアラビアオリックスについては紹介します。

美しいアラビアオリックス

アラビアオリックスの姿は優雅で美しく、長くまっすぐ伸びる2本の角を持っています。体は混じりけのない美しい白で、日の下にいると、遠くからでも見つけることができます。

アラブの人々は輝くような白から、「アル=ワディーヒー(アラビア語で「くっきりとした」という意味)」と呼んで昔から親しんでいました。

昔の詩人たちは、女性をアラビアオリックスにたとえて表現しました。目の美しさや、歩く姿の優美さを女性と重ね合わせたのです。

アラビアオリックスの角

アラビアオリックスの一番の特徴は、なんと言っても、まっすぐに伸びた美しい角です。

角は、オス・メスともに持っていて通常は70cmほどの長さですが、時には1.5m近くなることもあります。

 

角は2本ありますが、横から見ると、1本に見えることから、ユニコーンのモデルになったとも言われています。

アラビアオリックスの生態

ユニコーンのモデルということで、勝手に馬かな?と思ったのですが、アラビアオリックスは偶蹄目(ウシ目)ウシ科でウシの仲間です。

大人になると、体長が160~178cm、体重は65~75kg位の大きさです。

 

生息地はオマーンやサウジアラビア、ヨルダンの砂漠地帯です。

草食動物で、水分の多いサボテンが一番のご馳走です。

 

砂漠地帯に生息しているので、水分をあまり取らなくても大丈夫な体になっています。

過酷な環境で生活しているので、争いごとはほとんどなく、日差しの強い日中などは、樹木の下に浅いくぼみを彫って休んでいます。

時には木陰を仲間で分け合う姿も見られるほど穏やかな性格です。

アラビアオリックスは一度絶滅していた!?

アラビアオリックスは、アラビア半島の伝統文化と結びついた長い歴史を持つ動物で、かつては多数生息していました。

しかし、アラビアオリックスは、まっすぐに伸びた美しい角や皮のために昔から人間に狙われてきました。

 

乱獲は続き、1950年代の終わり頃から、野生のアラビアオリックスはたった50~60頭にほどの数にまで減ってしまいました。

車や銃などの発達によって、さらにその数は激減し、1970年代には野生のものは絶滅してしまったのです。

アラビアオリックスの保護活動

絶滅へと追い込まれながらも、1962年に、国際植物・動物保護団体が、いくつかの動物を捕獲して野生に戻せるようになるまで専用の場所で飼育・保護するプログラムを開始しました。

 

アラビアの国々には、個人的にアラビアオリックスの飼育をしている人たちがいて、寄付という形で、保護団体にゆずりました。アラビアオリックスの保護活動は、そのようにして集められたわずか9頭から始まりまったのです。

 

そうして、1980年から、野生に戻す取り組みが始まり、数は順調に回復していました。

しかし、禁止されている狩猟が一部の地域で始まり、また資源開発のためにアラビアオリックスの保護区が10分の1に縮小されるなど危機的な状況は続いています。

 

かつては100頭の群れを作ることもあったと言われていますが、現在の野生での生息数は約1000頭と言われています。

アラビアオリックスは、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、現在も絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されているのです。

まとめ

ユニコーンのモデルとなったアラビアオリックスは白い体とまっすぐな角をもつ美しい動物です。

しかし、その美しさが原因で乱獲され、今では絶滅危惧種となってしまいました。

 

懸命な保護活動も実施されているので、ぜひその美しい姿をこれからも残していってほしいですね。

ちなみに、日本でアラビアオリックスが見られるのは、神奈川県の金沢動物園と福岡県の福岡市動物園です。

近くに行くときはぜひその美しい姿をチェックしてみてくださいね。

ライター:さくら