マイマイカブリという昆虫をご存知でしょうか?

一部ではちょっと人気のあるマイマイカブリとその幼虫について詳しくお話しします。

マイマイカブリの特徴と生態

マイマイカブリはコウチュウ目オサムシ科オサムシ亜科に分類される昆虫の1種です。

成虫の体、特に頭部が前後に細長い大型のオサムシで、日本の固有種で地域変異が大きく多くの亜種に分化しています。愛好家も多く、海外のオサムシ収集家の憧れ的存在。

 

日本では北海道、本州、四国、九州の他多くの離島にも分布しており、日本固有種ですが、台湾にはカタツムリ駆除のために持ち込んだマイマイカブリが定着しているようです。

成虫の体長は3~7㎝程で、基本的に全身が艶のない黒色。

 

体の大きさや前胸部及び頭部の色彩が地域や亜種によって大きく異なります。

体型は細長いひょうたん型、長亥触角と脚が生えたような形をしてていて、頭部と前胸部は前方に細長くのびていて、大顎が発達しています。

触角は細長く、体長の半分ほどで脚も細長いががっしりとしています。

 

後胸部と腹部は背面が膨らんだドーム状で、前翅の先端がとがっています。

左右の前翅は羽化後にそのまま融合していてしまい開くことが出来ません。

 

更に後翅も糸状に退化しているので飛ぶことが出来ません。

森林とその周辺に生息し、春から秋まで見ることが出来ます。

主に地上を歩き回りますが、木に登ることもあり夏にはクワガタムシやカブトムシと同様に雑木林の樹液に集まることもあります。

 

また、本来は夜行性ですが日陰の多いリンドウなどでは日中でもたまに歩き回る成虫が見られます。

冬は成虫、または終齢幼虫で越冬して朽ち木の内部や落ち葉、石の下などでじっとしています。

棄権を感じると尾部からメタクリル酸とエタクリル酸を主成分とした強い酸臭のある強い刺激のある液体を噴射し、目に入ると大変な痛みを感じ、炎症を起こします。

 

後方だけでなく情報にも噴射できるので、むやみに手で押さえつけたり顔を近づけたりしないように注意が必要です。

カタツムリを見つけると大顎で軟体部に噛みつき、消化液を注入して溶けた軟体部分を食べます。

 

前方に細くなった頭部と前胸部も殻の中に引っ込んだカタツムリを食べるために進化したと考えられており、マイマイカブリの和名もカタツムリの殻に頭部を突っ込んで捕食する様子から付けられています。

 

軟体部を食べやすくするために殻を殻口から大顎で噛み破ることもあり、特に佐渡島産の亜種・サドマイマイカブリではその傾向が著しく、他の亜種に比べてがっしりした大きな頭部と大顎を持っています。

 

メスは交尾が終わると土中に腹端で小さな部屋を作ってひとつずつ産卵します。

卵は長さ1㎝程の白いゼリービーンズ状で柔らかく、昆虫の卵としてはクマバチと並ぶ最大級の大きさ。

卵は土壌の水分を吸収して膨らみながら発生が進んだ後、孵化します。

マイマイカブリの幼虫

マイマイカブリの孵化したばかりの幼虫は体長が2㎝程で、全身が黒で上から押しつぶされたような平たい形をしています。

胸部や腹部の側面に節ごとに縁部がひれ状に伸張し、体側面のシルエットは鋸歯状です。

 

幼虫の時からカタツムリを捕食し、2齢を経て蛹化・羽化しますが、1回の捕食でかなり大型のカタツムリを捕食することもあり、その場合は1齢中で1個体、2齢虫で1個体、蛹になるまでにたったの2個体だけで済むこともあるようです。

 

カタツムリの他にも昆虫やミミズなど様々な動物質の餌を捕食しますが、卵巣の成熟のためにはカタツムリを摂食する必要があると言われています。

しかし、小型の幼虫が大型のカタツムリなどを襲う場合には抵抗するカタツムリに噛みついたまま殻に引き込まれ、死亡する場合もあると言われています。

(ライター ナオ)