カシワマイマイというまるでカタツムリのような名前の蛾をご存知でしょうか?
今回は、そんなカシワマイマイについて詳しくお話しします。
カシワマイマイの特徴
カシワマイマイはドクガ科に分類され、北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島、沖縄諸島や沖縄本島に分布しています。
7~8月にかけて発生し、幼虫期のエサはブナ科のカシワ、コナラ、クヌギ、クリ。バラ科のサクラ、リンゴ、ナシ、カエデ科のイロハモミジ、ブナ科のアラカシ、アベマキ、イタジイなどです。
幼虫の体長は50~55㎝ほど。胸部から出ている黒く長い毛の束が特徴的です。
また触角が長く、尾部にも触覚のような長い毛のようなものが3本程生えています。
7月に蛹になります。枝や葉の間に吐かれた糸に逆さまにぶら下がり、繭は造りません。
色は淡い茶色をしています。
8月に成虫が発生します。
成虫のメスは翅の長さが約4㎝、オスは2.5㎝ほどで圧倒的にメスの方が大きいです。
交尾をしている時などは、メスの腹面にオスが張り付くようにして行う為、すっぽりとメスに隠されてしまうサイズ、
卵は主に枝や幹の隙間などにまとめて産み付けられ、生みたての卵は黄色い色をしていますが、徐々に茶色っぽくなっていきます。
卵塊はメスの体毛により被われることがあるようです。
カシワマイマイは照明に大量に飛来することが多く、メスが飛来した場合は照明の近くで産卵することもあります。
天敵はカシワマイマイ核多角体病ウイルスが知られています。
成虫は茶褐色で前翅長は50㎜程もあり、足や胸部に赤い部分があります。
ドクガ科に分類されますが、毒があるわけではありません。
しかし、鱗粉に触れると肌の弱い人はかぶれたりするので、注意が必要のようです。
カシワマイマイの名前の由来
カシワマイマイは日中はじっとしていることが多い蛾です。
特にメスは動かずに葉にへばりついているのを見かけます。
しかし、オスは違います。
オスはとても活発で、ちらちらと飛び回り、その飛び回る様子が舞い舞いになり、しかもカシワの木の近くで待っている為、カシワマイマイとついたのだそう。
カシワマイマイの被害
光によって大量に飛来し、その周辺に卵を産んでしまうので、放っておくと毛むくじゃらの毛虫がウジャウジャと沸いているような状態になります。
直接作物などが食べられるような被害でなくても、大量の毛虫や蛾は決して気持ちの良いものではありません。
また、窓ガラスや商店街のショーウィンドウなどに飛来した蛾は排泄物や体液、鱗粉などを付着させてしまいます。
一度付着すると、洗剤などを使ってしっかりと落とさなければ綺麗にはなりません。
もちろん、光にだけでなく植物にも被害を与えます。リンゴ、ナシ、ウメなどには大きな害を及ぼします。
大量の死骸が周辺に散乱するという事態も起こっています。
しかも、成虫まで放っておいてしまうと、駆除はとても困難です。
そればかりではなく、蛹になる直前辺りから殺虫剤の効き目はないともいわれています。
卵を見つけた場合も、殺虫剤よりもそぎ落とすか、水などで流すのが効果的。
ただし、水圧だけでは落ちないことの方が多いので、水を駆けながらそぎ落とすというのが一番の方法かもしれません。
小さい幼虫の時だけが殺虫剤の効き目があるようです。
カシワマイマイの予防
こんな被害を及ぼすカシワマイマイは、近づけないのが一番。
そのためには光を消してしまえばよいのですが、商売などの場合はそうもいきませんよね。
カシワマイマイは光の波長を調節することで飛来率を低下させることが出来るようです。
波長が350~400nmの青っぽい光にはかなりの蛾が誘引されるのに対し、赤い光には反応しないこともわかっています。
また、特定の波長の実を遮断する防虫用の遮断フィルムなども商品化されているようですので、そのようなものを利用して飛来を防ぐのも良いようです。
その他、防虫カーテン、防虫シャッター、防虫ランプ、ライトフィルターなども効果的です。
(ライター ナオ)