カブトムシやクワガタムシ比べて目立つツノなどがなく地味だけれども、日本人にとってはなじみぶかい昆虫のひとつにカナブンがいます。
KANA-BOONという今勢いのあるロック・バンドがありますが、そのバンド名の由来には昆虫のカナブンが関係しているようです。
ところで日本人にはおなじみの虫にコガネムシもいますよね。
どちらも夏になるとよくみかける羽が固い甲虫の仲間ですが、カナブンとコガネムシの違いってわかりますか。
また、どちらもメタリックに光り輝く前羽をもっていますが、そのなかでも茶色っぽいのはどんな種類の虫なのでしょうか。そのあたりを探っていきます。
コガネムシ科の仲間
カナブンは、甲虫目コガネムシ科ハナムグリ亜科に属しています。
コガネムシ科には、コガネムシ各種をはじめ、カブトムシなども含まれます。
カブトムシは大きな目立つツノがあるので別格ですが、そのほかのカナブンやコガネムシ、ハナムグリには似たような種類が多数あり、それらをまとめて、「カナブン」または「コガネムシ」と呼んでいる地方もあるようです。それらのなかでも茶色のカナブンのような虫は、ほんとうにカナブンでよいのか調べてみます。
カナブンの特徴
◆体長:22~30mm
◆背中の三角:大きめの二等辺三角形
◆頭:四角形
◆色:メタリックブラウン(種類や見る角度によって黄土色、青銅色、赤銅色にも見える。)
◆飛び方:前羽を閉じたままで、後羽を広げて飛びます。(コガネムシより飛行能力が大幅に上)
◆エサ:クヌギなどの樹液
◆生態:普段は土や腐葉土のなかにひそんでいて、繁殖や食事のときに地上にでます。
夏の間に交尾をし、地中に産卵→孵化→幼虫→マユ→蛹→成虫となり地上へというサイクルになります。
◆幼虫:白い芋虫ですが、前に進むことができません。
コガネムシの特徴
◆体長:17~23mm(カナブンよりやや小さい。)
◆背中の三角:丸みのある三角
◆頭:半円形
◆色:メタリックグリーン(メタリックなので見る角度によっていろいろな色に見えるがグルーンが強い。カナブンより光沢がある。)
◆飛び方:前羽を開いて、後羽を出して飛びます。(長時間の飛行は苦手)
◆エサ:サクラ、クヌギなど広葉樹の葉っぱ。バラなどの園芸植物の葉っぱも食べるので、害虫として駆除の対象になることが多い。
◆生態:夏に地中に産卵→孵化→幼虫→マユ→蛹→成虫
◆幼虫:白い芋虫で、スタスタ前に進むことができ、植物根などを食べます。
茶色の甲虫は「カナブン」か?
こうしてカナブンとコガネムシを比較してみると、食べ物や体の形、飛び方などで違いがあることがわかります。
では、よく見かける茶色の固い羽をもつ虫は、何なのでしょうか。
カナブンもコガネムシもメタリックな光沢をもった色をしているので、見る角度によっては、茶色っぽくも見えることもあるし、グリーンが強く見えることもあります。
ただ、一般にコガネムシのほうがグリーン色の光沢が強いようです。なので、茶色に近いのはカナブンといえるでしょう。
コガネムシは「黄金色」ではない?!
ところで、コガネムシは漢字で書くと、黄金虫ですよね。
黄金色のほうが茶色に近いのではないかと思われがちですが、コガネムシというけれども、実際は、黄金色ではなく、前述したようにグリーン色が強いメタリック調といえます。
「コガネムシは金持ちだ~♫」という動揺がありますが、この歌の作詞家である野口雨情の生まれ故郷である北関東には、コガネムシはなんとゴキブリを指す地方があるそうです。メスのゴキブリがお腹に卵の入った卵鞘(らんしょう)という袋を抱えている姿を、ガマ口財布を抱えているように見えるので、「金持ち」に見えたとか。
カナブン以外の茶色の甲虫
カナブンの色は、メタリックブラウンで、コガネムシはメタリックグリーンと表現できますが、そのほかのコガネムシの仲間には、コフキコガネやナガチャコガネなど、茶色の羽をもつものも多くいます。
そうなると、カナブンかコガネムシか見分けることができなくなりますね。
そういった場合は、何を食べるかを観察してみましょう。
樹液をなめているだけならカナブン、樹木や植物の葉っぱを食べているようであればコガネムシです。
まとめ
夏の夜など街灯や明るい窓に寄ってきたりする茶色い羽が固そうな虫、いままで、カナブンもコガネムシも一緒くたにしていたのですが、違いがあるんですね。
どちらも見かけると気持ちが悪いので、すぐ殺虫剤をプシューとしたくなります。
コガネムシは大切に育てている植物の葉っぱを食べてしまう害虫なのですが、カナブンはカブトムシなどと同じく樹液をなめている昆虫なので、植物にさほど大きな被害は及ぼすことはなさそうです。
よく観察して、茶色っぽい虫、カナブンには情けをかけてやらなければなあ~などとちょっと思いました。
(ライター sensyu-k)