ハサミムシの特徴
ハサミムシはハサミムシ目の昆虫です。
お尻の部分にハサミのような角が生えています。
一見クワガタなどのように頭にハサミがついているように見えますが、これが実はお尻。
細長い体型をして翅はありません。
尾部のハサミは角質で、メスよりもオスの方がハサミの曲がり方が急です。
ハサミは天敵からの防衛の他、同種間及び異種間の闘争に使用されます。
ハサミムシの生態
日本に生息しているハサミムシは地上で物陰に隠れているものが多いと言われています。
一般的には肉食で、草地や砂地などでダンゴムシや鱗翅目の幼虫などをハサミで捕食していると考えられています。
草木に上りアブラムシを捕食する種類もいます。
基本的には大人しく、人間を攻撃するようなことはありません。
ハサミムシの種類
日本に生息し、よく私たちが目にするハサミムシは7種類ほどです。
・ヒゲジロハサミムシは体長が18~30㎜で4~10月にかけて本州、四国、九州、沖縄などの平地の枯れ葉が堆積した場所や朽ち木の中などに住んでいます。
黒色で触角の先端付近に白い節があるハサミムシで脚は乳白色ですが、付け根部分は黒いのが特徴。
翅はありません。
・ハマベハサミムシは体長が18~36㎜で日本では北海道から沖縄まで日本全土に分布しています。
全世界に広く分布しており、植物の葉や果実、動物の死体などを食べて生活しています。
黒色で翅がなく、脚は淡黄色、人家周辺の荒れ地やゴム捨て場に多く、湿った場所の石の下や海岸の打ち上げられた海藻の下などでよく見かけます。
私たちが生活している中で最もよく見かけるハサミムシが、このハマベハサミムシになり、一般的にハサミムシと呼ばれている種類です。
・コバネハサミムシは本州、四国、九州、沖縄に分布し、体調が11~15㎜、4~10月にかけて発生します。
黒色で脚は乳白色、触角の先端付近に白い節があります。胸部の両端に鱗片状の小さな翅を持ち、平地や海辺のゴミが堆積した場所などにも棲んでいます。
・コブサハサミムシは体長が12~20㎜。やや茶色がかった黒色で、翅の先端部は黄褐色。オスのハサミには変異があり、太短くて強く湾曲したアルマン型と細長いルイス型があります。
山地に多く、林縁の植物の上やカワラの石の下などで多く見られます。
・オオハサミムシは体長が25~30㎜の角が大きなハサミムシで、1年を通してみることが出来ます。
・エゾハサミムシやキバネハサミムシは体長が12~20㎜で4~9月にかけて発生します。
ハサミムシの幼虫
ハサミムシは母虫が自分の卵や孵化した幼虫を保護する習性を持ちます。
これは全てのハサミムシの種類について言えることで、オスは一切卵の保護には協力しません。
産卵は地面の石の下や地中の掘られた穴の中、樹皮の下、腐朽しかけた落ち葉の好きななどに行われます。
種類によって産卵場所や一回の産卵数などは変わってきますが、一度の出産で10~100個くらい、これを数回繰り返します。
産卵時期も種によって異なりますが、晩春から初秋の気温の高い時期に見られます。
孵化は4月で、孵化した幼虫は4回ほどの脱皮を経て初夏に成虫になります。
幼虫は薄い茶色ですが、形状は成虫と同じです。小さいながらにハサミもあります。
母虫を食べるコブハサミムシ
コブハサミムシの幼虫は孵化すると母虫を食べてしまいます。
これは、コブハサミムシの産卵場所が山間部の谷筋の河原にあることと関係があるようです。
多くのハサミムシが一生を送る生活環境を同じにする中、コブハサミムシだけは夏の時期、生まれた生息場所から移動します。
再び孵化した場所に戻ってきて産卵するためにはより早く、大きく生長する必要があり、そのために手っ取り早く母虫を栄養源として成長しているのだと考えられています。
ハサミムシの幼虫の意外な生態・・・コブハサミムシの母に敬礼です。
(ライター ナオ)