ガの一種であるオオスカシバですが、その綺麗な見た目から好きになる人もいる虫です。
幼虫から捕獲すれば成長し姿を変えていく様を見られ、楽しんで飼育することもできます。
オオスカシバの生態
全長が6㎝ほどのガで、北海道のような平均気温の低い地域を除けば国内に広く生息分布が広がっています。
国外においては中国やインド、東南アジア周辺で見られ、どれも初夏から初秋にかけて発生します。
名前にスカシバとありますが、よく似た名前のスカシバガというガとは仲間ではありません。
しかしその由来は翅が透けていることにあり、その透明度はとても高いです。
成虫へとなった瞬間には翅に鱗粉が付いており綺麗な透明ではありませんが、一度羽ばたき付着していた鱗粉を振るい落とせば透明の翅が現れ、その後再び鱗粉に覆われることはありません。
通常多くのガに付いている鱗粉とは、体の表面の毛が変化したもののことで、これらの細胞が古くなり簡単に体から取れるような状態となったものを指します。
オオスカシバにはこの鱗粉がないという変わった性質を持っているため翅が透けて見えているのです。
この他特徴的なオオスカシバの性質として昼間に活動するということがあります。
スズメガなどの多くは夜に活動しますが、オオスカシバは人間の多く活動する時間帯に活発になるので人の目につきやすく、捕獲もしやすいと言えるでしょう。
そして見かける際には花の蜜を吸っていることが多いと思います。
オオスカシバは様々な花の蜜を食料にしており、空中に静止して吸っています。
このように飛ぶことをホバリングと言い、翅を巧みに使うことでこのような動きを可能にしています。
擬態の効果
オオスカシバは色鮮やかな体毛でおおわれているのが特徴です。
赤や黄、黒、緑など色々です。実はこのような見た目をしていることにも意味があると言われており、擬態の一種として考えられています。
よく聞く擬態の多くは背景に似た体色となることで外敵に見つかりにくくしているようなパターンですが、オオスカシバの場合これとは全く異なります。
逆に派手な見た目をしているのは、ハチなどの危険な生物と勘違いさせるためです。
自分を危険な奴だと思わせ近づけさせないようにしているのです。このようなタイプの擬態をベイツ型擬態と呼びます。
飼育の方法
幼虫を見つけて飼育するのが比較的容易な方法です。
オオスカシバの幼虫はほぼクチナシしか食べないので、初夏に葉が少ないクチナシを探せばそこで見つけることが出来るかもしれません。
オオスカシバの幼虫は食欲が旺盛なので、幼虫が多く発生しているクチナシは食い荒らされていることが多いからです。
また捕獲の際にはついでにクチナシの葉も多く採っておくと餌としても利用ができるでしょう。
準備としては、ケースに土を10㎝ほど敷き詰めておいて、餌としてクチナシの葉を入れてあげます。
そして水分補給ができるように霧吹きをかけてあげるなど、定期的に手入れをしてあげましょう。
ケースを置いておく場所は、直射日光を避けた風通しの良いところがおすすめです。
土とクチナシの葉、そして水分を与えておけばやがて土に潜りサナギへと成長していきます。
初夏から飼育を始めれば、サナギになった後半月もすれば成虫になることでしょう。
クチナシを見つけてオオスカシバを飼育してみよう
クチナシが多く生えている場所にはオオスカシバの幼虫がいる可能性が高いです。
また飼育するにはクチナシの葉が必需なのでどちらにしてもクチナシを見つけるところから始めると良いでしょう。
オオスカシバは鮮やかな色合いである一方毒々しいという見方もできますが、擬態の一つというだけで毒も危険性もありません。
安心して捕まえてみるといいでしょう。
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