アフリカ ツメガエルは、両生綱・無尾目・ピパ科・ツメガエル属に分類されるカエルです。

単にツメガエルとも呼ばれることもあります。

ここではアフリカ ツメガエルとその寿命について紹介します。

アフリカ ツメガエルの生態

アフリカ ツメガエルは、体長7~12センチ、背腹方向に扁平な体型で、後足には水かきが発達し、3本の指には爪があります。変態するとエラが失われます。

アフリカ ツメガエルは、肺呼吸となった後も、ほぼ完全な水中生活で、息継ぎに水面に出るときのほかは、水中から出ません。

ほとんど歩行できないため、陸地に上がることは生涯ありません。

なお、アフリカ ツメガエルの生息地は、アフリカ中南部ですが、現在はさまざまな国に移入・定着しています。

アフリカ ツメガエルの寿命

アフリカ ツメガエルの寿命は、5年以上とされています。

飼育下では10年以上生存した個体もあるようです。

アフリカ ツメガエルのその他雑学 その1

アフリカ ツメガエルは外来種で、日本では1954年に初めて江ノ島水族館に輸入されました。

1960年代以降は、広く日本国内で実験動物として用いられるようになりました。

 

一般に、カエルの卵は、ほかの脊椎動物卵と比べてサイズが大きく顕微操作などが容易です。

また、発生の進行が早く同調性が良いので、実験発生学や変態動物の材料として、よく用いられてきました。

 

しかし、産卵時期が年1回に決まっていたり、成体の飼育が難しく課題も多くありました。

ところが、アフリカ ツメガエルは、ホルモン注射によって、真夏を除いて年中採卵することができました。

 

さらに成体も水中で生活をし、ほかの多くのカエルと異なり生き餌を必要としないので、飼育が容易でした。

しかもアフリカ ツメガエルは、水質さえ維持できれば高密度で飼育できます。

 

エサも嗅覚でさまざまな飼料を摂食するので、人工飼料などが利用できます。

ようするにアフリカ ツメガエルは、実験動物として優れているのです。

 

というわけで。

アフリカ ツメガエルは、体軸形成・四肢形成・変態・初期発生・減数分裂など、発生生物学における様々な課題の研究に用いられています。

アフリカ ツメガエルのその他雑学 その2

アフリカ ツメガエルは、日本に移入・定着しています。

ほかにもアメリカ合衆国・イギリス・イタリア・インドネシア・チリ・フランス・メキシコなどにも移入・定着しています。

 

食性が幅広いため在来の魚類などの水生生物との競合や、在来のカエル類への寄生虫の伝搬などが懸念されています。

関東地方では、1990~2000年代に千葉県佐原市(現:香取市)の利根川下流域、神奈川県藤沢市で幼生も含めた報告例があります。

静岡県浜松市でも報告例がありました。

 

日本では2005年に外来生物法により、要注意外来生物に指定されました。

2015年に環境省の生態系被害防止外来種リストにおける総合対策外来種のうち、その他の対策外来種に指定されました。

なお、それにともない要注意外来生物は廃止されました。

 

アフリカ ツメガエルは、アフリカ中南部原産ですが、耐寒性を持っていて凍結さえしなければ無加温越冬が可能です。

このため日本でも和歌山県の一部で定着、養鯉場の稚魚などへの食害が報告されていいます。

 

和歌山県では、2年半ほどで約4500匹のアフリカ ツメガエルを捕獲・駆除しました。しかし根絶は難しいようです。

 

ちなみに、捕獲・駆除したアフリカ ツメガエルの胃のなかを調べると、トンボの幼虫(ヤゴ)やゲンゴロウの一種などが見つかりました。

どうやら池にすむ在来の水生昆虫も食べているようですね。

アフリカ ツメガエルのまとめ

以上、アフリカ ツメガエルとその寿命についていかがでしたか?

凍結さえしなければ無加温越冬が可能だなんて驚異的な能力ですね。

徐々に肌寒くなってくるこれからの季節、うらやましい限りです。

(ライター ジュン)