秋の夜長を彩る虫の声。

リンリンリーンと涼しげで鈴の音のような鳴き方をするのが、その名の通り、鈴虫です!

夏の暑さを癒し、ひと時の静けさをくれる鈴虫達の寿命は一体どれくらいなのでしょうか?

鈴虫の生態

鈴虫は体長17~25㎜程でウリの種のような形状をした虫です。

東北南部以南の本州と、四国、九州に分布していて、北海道には移入した鈴虫が定着している場所もあります。

体は薄茶色、触角は白くて長く、一部が黒っぽくなっています。

成虫は夏に出現し、森林やススキの下など薄暗い所を好んで生息しています。

 

コンクリートをよけた、その陰に潜んでいる鈴虫を見つけることもあります。

翅は一見2枚のように見えますが、実は4枚あり、オスの翅には太い脈が走っていて、この脈をヤスリ代わりにして擦り合わせ「リンリンリーン」と綺麗な音をだすのです。

 

基本的に夜行性ですが、曇りの日などは昼間から活動していることもあるようです。

食性は雑食で、草や木の葉、昆虫の死骸、蝉の抜け殻などを食べています。

 

夏に聞こえる鳴き声はオスの求愛ソング。夏頃に交尾したメスは、秋になると産卵管を土の中に突き刺し産卵します。

孵化は翌年の5~6月、成体が発生するのは7月~9月にかけてです。

鈴虫の名前の由来

鈴虫の名前は、彼らの鳴き声が細かく鈴を鳴らしているように聞こえる所からきています。

決して煩すぎない、澄んだ音色が特徴です。

鈴虫の文化

日本には鈴虫を飼育し、その音色を楽しむ文化があります。

古くは平安時代から、貴族の間で鈴虫を専用の竹カゴに入れ、一時の鳴き声を楽しんでいたようです。

 

江戸時代中期からは本格的な人工飼育が始まり、戦後に入ってからは、デパートやペットショップなどで販売されるようになりました。

「竹カゴで飼う」という風流な文化は徐々になくなってしまい、現代ではプラスチック容器での飼育が主流になっています。

 

さらに現在は、「鈴虫の声を聴く」という楽しみだけでなく、普段の生活の様子をじっくり観察するという新たな目的も加わっているようです。

鈴虫の飼育と音色鑑賞は、日本の夏の風物詩といっても過言ではないものになっています。

しかし、この風習は、実は日本や中国に特有のようで、鈴虫の様な虫たちの声は、欧米では単なる雑音として認識されてしまっているのだとか。

日本の文化!?鈴虫の飼育

夏の風物詩とも言える鈴虫の飼育は、意外と簡単です。

大き目の水槽の中に土とちょっとしたシェルターと爪楊枝に刺したキュウリやナス、時々の鰹節さえあれば、OK。

 

あとは、エサを毎日新鮮なものに換えてあげれば良いのです。

鰹節は動物性のたんぱく質を求めて共食いしてしまうのを防ぐ役割をしてくれます。

 

床材には赤玉などの土を入れると湿度が保てて良いようです。炭なども消臭効果もあり、良いようですよ。

オスとメスを両方入れておくと、自然に繁殖します。

 

長い脚でジャンプ力はありますが、プラスチックなどは上ることが出来ないため、飼育に使うケースはある程度高さがあれば、天井の蓋は無くても大丈夫です。

鈴虫を手に入れるには

ペットショップなどでは一匹100円ほどで販売されていますが、夏ころに草むらに出かけていけば、一匹や二匹は簡単に見つけることが出来ます。

鳴き声をよく聞いて、鳴いている場所を静かに見に行ってみてください。

 

確実にとりたい場合は罠を仕掛けるのもオススメです。

広口の瓶にキュウリやナスを入れ、それを地面に埋めておけば、簡単に捕まえることができます。

鈴虫の寿命

鈴虫の寿命は、卵時代を合わせれば1年ということになりますが、成虫としての期間は2ヶ月程と言われています。

卵で越冬した鈴虫たちが孵化するのが5~6月、そこから成虫になるのが7~8月。

鈴虫たちの声が盛んに聞こえる9~10月には、交尾をし、子孫を残して死んでいくのです。

鈴虫の生態と寿命に関するまとめ

鈴虫は体長17~25㎜程でウリの種のような形状をした昆虫。

夏から秋にかけての涼しい時間帯にリンリンリーンと鈴の音のように鳴く。

日本では古い時代から鈴虫を飼育し、声を聴く文化がある。

鈴虫の成虫の寿命は2ヶ月ほど。

(ライター ナオ)