イカはよく食卓にも上る身近な生き物ですが、その生態について知らないことは多いです。

例えば、「イカに耳はあるのか?」という疑問に答えられる人はいますか?

 

「頭のてっぺんについているペラペラしたところ」と答える人が大多数だと思いますが、じつはそこ「耳」ではないんです。

あの部分で音を感知しているわけではないのですよ…。

そこで今回は、イカの生態や、イカに耳はあるのか?という疑問についてまとめてみました。

イカの生態

イカは頭足類と呼ばれる「頭から足が生えている」生き物に分類され、全世界の海に分布しています。

種類によって浅い海から深海まで、様々な環境に生息しており、体長も2cm程度のものから20mを超える大型のものまで実に多種多様。

世界中で500種類ほど、日本国内では130種ほどいると言われています。

私たちが日ごろスーパーや魚屋さんで見かけるイカはせいぜい数種類なので、こんなにたくさんの種類がいるとは驚きですね!

 

10本の足があることは子供でも知っていることですが、じつは10本のうち足(腕)は8本。

残りの日本は「触腕」と呼ばれる特殊な構造をしているのです。

 

触腕は捕食の際に使用されたりしますが、敵に遭遇した際に切り落としたり、成長に伴ってなくなることもあり、必ず必要な器官というわけでもなさそうですね。

通常、先端に吸盤がついていますが、これが鉤状になっている種類もいます。

餌は主に小魚や甲殻類。

 

天敵は非常に多く、大型魚類、鳥類、海生哺乳類など、自分よりも大きい様々な生き物から捕食対象とされています。

何メートルもある巨大なダイオウイカでさえ、クジラの餌にされてしまうこともしばしば。

確かにイカは美味しいし、積極的に捕食されるのも仕方がない…。

耳はどこ?

ここで本題、「耳はあるのか?あるとしたらどこに?」という疑問について見ていきましょう。

まずは、大多数の人が「耳」だと思っている部位のことから説明します。

 

正しくは「エンペラ」と呼ばれる部分で、「耳」と呼ばれることもありますが、聴覚があるわけではありません。

エンペラの正体は「ヒレ」で、「パンの耳」と同じように「端っこにある部分」という意味で「耳」と呼ばれることが多いのです。

 

エンペラという名前の由来は二つ説があり、「縁にあるペラペラしたもの=エンペラ」「ナポレオン(皇帝=エンペラー)の帽子に似ている=エンペラ」だそうですよ。

エンペラー→エンペラという流れはちょっとダジャレっぽくて疑わしい気もしますが…。

中にはジェット噴射で海上に飛び出し、エンペラと腕を広げて滑空するものもいるそうです。

それでは本物の耳はどこにあるのか。

 

じつはイカには聴覚を司るという意味での「耳」は存在しないのです。

イカやタコを含め魚などの水棲生物は、人間のように耳で音を感じるのではなく、平衡胞と呼ばれる器官で音を感じ取っているのではないかと言われています。

あまり広範囲の音を感知できるわけではないようですが、その分視覚・嗅覚・触角が発達しているので、問題はないのでしょう。

 

特に視覚はとても優れており、行動の多くは視覚に頼ったものだとも言われているほど。

根本的に他の生き物の目とは構造が違っていて、盲点も存在しないそうです。

イカについてのまとめ

「イカ 耳」で検索してみると、本物のイカの事よりも「猫のイカ耳」ばかりが検索結果に出てきます。

確かに猫もかわいいのですが、みんなもっとイカにも興味を持ってもらいたいですね。

とても興味深くて面白い生き物なんですから…。

 

食べて美味しい、調べて楽しい、一石二鳥です。

ちなみにエンペラは、固くて美味しくないので捨ててしまう、という人も多いようですが、きちんと調理すれば柔らかくなりますし、とても美味しいですよ!

(ライター もんぷち)