毎年のように中毒者が出ると言われるツキヨタケ。

毒キノコであることには間違いがないのですが、実際に食べたらどうなるのかご存知でしょうか?

ツキヨタケの生態

ツキヨタケは日本を中心として極東ロシアや中国東北部に分布しています。

日本では北海道南部から鹿児島県の大隅諸島にかけてのブナ林で発生します。

 

晩夏から秋にかけてで、主にブナの枯れ木や倒木、切り株、立ち枯れ木などに発生しますが、時にイタヤカエデ、トチノキ、ミズアカシデ、コナラ、ミズナラの枯れ木にも発生します。

 

北海道北部ではトドマツ上に生じることもあります。

傘は半円形や腎臓形をしており、5~30㎝ほどの大きさです。

 

湿度のある時はやや粘性を生じます。

幼時は橙褐色~黄褐色で微細な鱗片が生じる場合もあります。

 

老成すると紫褐色~黄色になり、鈍い光沢を放つようになります。

柄の近くのかさは分厚く、周辺部分は薄く、肉厚は柔らかくて白色です。

ツキヨタケの名前の由来

ツキヨタケのヒダの部分は発光することで知られており、そのことが名前の由来にもなっています。

十分にかさが開ききった2~3日の間、発光現象は見られますがその発光はとても弱いものです。

 

温度の高い地域ではより発光が強くなる傾向がみられるという報告があります。

ツキヨタケの栽培

ツキヨタケは栽培することも可能です。

その場合はアカマツやカラマツ、チョウセンゴヨウ、アベマキ、クマキ、モンゴリナラなどのおがくずから発生させることが出来るようです。

ツキヨタケの毒性

ツキヨタケには弱い毒があります。

毒キノコ全体を比較すると、その毒性は決して強いとは言えないほどの弱毒で、危険度を強い順から5段階評価すると、危険度の一番低いグループに属します。

 

しかし、摂食すると30分から3時間の間に、下痢や嘔吐の症状が起こり、ひどい時には痙攣や脱水など、時には死に至ることもあるのだそうです。

弱毒にも関わらず、これほどまでにツキヨタケの存在が毒キノコとして知られるようになったのは、その見た目と生え方に理由があるようです。

 

ツキヨタケの見た目はいたって普通のきのこ。いわゆる毒性の強い、おどろおどろしい色をしていたり、模様が入ったりはしていません。

全体に地味な色味をしていて、縦に裂けやすく、比較的まとまって大量に発生しています。

 

そのため、他のキノコと間違いやすく、とりやすい所にあるということで、多くのキノコ愛好者が間違いやすいということが、ツキヨタケがメジャーになった理由のようです。

実際、日本のキノコによる中毒者で最も多いのがツキヨタケだそうで、毎年100人ぐらいが被害にあっています。

ツキヨタケの古典上の記述

ツキヨタケは昔から毒キノコとして知られているキノコのようです。

古くは今昔物語の中で、和太利(わたり)という名前でツキヨタケが登場した毒殺未遂事件が取り上げられています。

他にも江戸時代末期の続三州奇談などでも「闇夜茸」という名前での記述があります。

ツキヨタケのまとめ

ツキヨタケは北海道南部から大隅諸島にかけてのブナ林に分布している。

ブナの倒木や切り株、立ち枯れなどの他、イタヤカエデ、コナラ、ミズナラ、トチノキの枯れ木にも発生する。

 

ツキヨタケのかさの裏にあるヒダは発光性があり、かさが開いてから2~3日はわずかな光を放つ。

ツキヨタケは毒キノコとして知られているが、その毒性はあまり強くない。

 

地味な形状ととりやすい位置に大量に発生していることから、キノコ採りの時期には採取されやすく、毎年100人ほどの中毒者が出ている。

ツキヨタケは古い文献の中でも取り上げられており、古くから毒キノコとして知られていたということがわかる。

(ライター ナオ)