イタチザメは、メジロザメ目メジロザメ科に属するサメです。

本種のみでイタチザメ属を形成します。当記事ではイタチザメについて紹介します。

イタチザメの生態

イタチザメは、サメのなかでもっとも大型の部類に入ります。

成熟するとオスが全長2~3メートル、メスが全長2.5~3.5メートルになり、重量は400キロを超えます。石垣島では、およそ600キロにまで成長した個体がみられています。

 

FishBase(魚類に関する情報を包括的に収集しているデータベース)によると、最大サイズは全長7.5メートル、体重807.4キロです。

イタチザメは、底が見えるような浅い海から水深140メートルくらいの間に生息しているサメで、港や海岸にあらわれることがあります。

 

ちなみにイタチザメは、1回の出産で幼魚を10~80匹ほど出産します。

また、この幼魚は産まれてすぐに自分でエサを獲って生活しはじめます。

イタチザメの生息域

イタチザメは、地中海など一部の地域を除いて、世界中の温帯・熱帯海域に分布します。

日本では、八重山諸島から八丈島や相模湾までの海域で目撃されています。

ただ、最近は温暖化の影響なのか北上しているようで、青森県や秋田県でも目撃されています。

イタチザメの名前の由来

イタチザメの属名は、Galeocerdoです。

これはギリシア語の「サメ」とラテン語の「豚の剛毛」に由来しています。

また、英名のTiger sharkは、トラのようなサメという意味ですが、これは若魚にあるトラのような垂直のシマ模様に由来しています。

イタチザメの食性

イタチザメは、捕食性と腐食性の両方をもっており、食べるものを選り好みしません。

このような食性を「機会選択的捕食者」といいます。

 

イタチザメは、サメのなかで、もっともこの「機会選択的捕食者」の傾向が強いといわれています。

ちなみに、ありとあらゆる海洋生物を捕食するだけでなく、死骸や産業廃棄物なども食べることから、「ヒレのついたごみ箱」と不名誉な名前をつけられていたりします。

 

イタチザメの胃からは、木やサンゴなどの天然由来の物質や、産業廃棄物のビニール袋、プラスチックボトル、缶、金属片といった、さまざまなゴミが見つかっているのです。

 

なお、イタチザメは通常は単独で行動し、夜間に海面や岸近くまで寄ってきて活発にエサを探します。

群れを作ることもありますが、単にエサを求めて集まっているだけというのがどうやら真相のようです。

イタチザメの益害

イタチザメは危険なサメのひとつで、ホホジロザメとともに、人や船の被害が多い種です。

とくに熱帯地方では、もっとも危険なサメとされています。

 

その性格は好奇心旺盛で攻撃的で、人にも近づいてきます。

沖縄やオーストラリア、ハワイでは、被害が顕著です。

 

イタチザメが危険なのは、あらゆる生物を捕食することに加えて、ゴミでも平気で食べるその習性にあります。

さらには深刻な漁業被害を与えるので、クイーンズランドやハワイなどでは、駆除が行われています。

駆除は網目の大きな刺し網や延縄が使われます。

 

宮古島や石垣島の周辺では、夏の台風などの影響で、陸地から泥をふくむ濁った水が海に流れこみます。

イタチザメがそれに引き寄せられて大量に出現するので、この時期だけ駆除を行なっています。

イタチザメと人間との関り

イタチザメは、世界中で漁獲されています。

肉やヒレ、肝油、皮、軟骨が主な利用部位です。

 

肉質はあまり上等ではありませんが、生、冷凍、乾物、塩蔵、燻製などのかたちで消費されます。

一方、ヒレや皮、肝油は高値で取引されています。

とくにヒレは、フカヒレに加工されて高値となるため、ヒレを目的とした漁獲圧を高める原因になることもあります。

イタチザメのまとめ

以上、イタチザメについていかがでしたか?

映画「JAWS」の凶暴なサメはホホジロザメですが、実はイタチザメのほうがホホジロザメより凶暴だといわれています。

 

では、なぜイタチザメは、大ヒット映画に出演する機会をホホジロザメに奪われてしまったのでしょうか?

それはイタチザメがきょとんとした顔をしていて、あまり恐そうにみえないから……なんじゃないかなって思います。

ただ、そうはいっても毎年多くの人が被害にあっていますので、もし海岸でみかけたら全力で逃げてください。ほんとシャレになりません。

(ライター ジュン)