あまり聞きなれないサメ、カグラザメ。

その正体を知っていますか?

今回はおよそ400種類いると言われるサメのうち、幻の魚と言われるカグラザメについて、詳しくお話します。

カグラザメの生態

カグラザメはカグラザメ目カグラザメ科に分類される熱帯から温帯の海域の水深500~2000mの深海に生息しているサメです。

全長は4~6m、背側の体色は灰色か褐色でややオリーブがかかっていて、腹側にいくにつれて徐々に白っぽくなっていきます。

背ビレは1基、体の後方に位置しています。

 

吻は扁平で大きくカーブしており、6対の鰓裂を持っています。

下あごの歯は幅が広く穴目に傾いた櫛状をしていて、上顎の歯は牙状になっています。

 

夜行性で昼間は海底で休んで、夜になると活動し、サメを含む魚類、甲殻類、頭足類、貝類、海産哺乳類などを捕食します。

繁殖形態は卵胎生で、卵は子宮内で孵化します。

 

一度の出産で22~108尾、60~75㎝ほどになった幼魚を産みますが母体の大きさによって個体差があるようです。

この出産方法は敵に攻撃されやすい卵や稚魚の時代を母親の子宮内で過ごす、生存率を高めるための繁殖形態で、サメの中でもいくつかの種類がこの繁殖形態をとっています。

若い個体はより海岸寄りに生息していることが多く、4mほどの大きさで性成熟します。

カグラザメと人間の関係

深海に生息しているので、人間がカグラザメに出会うことはほとんどなく、2010年まで存在すら知られていないほどでした。

日本においても、未だに目撃例は少なく、非常に珍しい幻の魚とも言えます。

 

肉は食用として美味しく食べることが出来、肝臓は肝油の原料として使われますが、漁業的には重要度は低い部類になります。

主にスポーツフィッシングの対象となる存在のようです。

 

大人しく激しく人を襲うようなことは無いと言われていますが、強い顎と鋭い歯を持っているので、釣り上げた時には注意が必要です。

深海魚なので水圧の関係上、飼育は難しいと言われており、水族館での長期飼育は実現していませんが、一時的な展示は行われていて、アクアワールド大洗や浅虫水族館、沼津港深海水族館などでタイミングよく見られた方はラッキーだったかも。

カグラザメと地震の関係!?

ナマズと地震の関係はよく知られるところですが、近年日本でもカグラザメが表層付近を泳ぎ、目撃されたり捕獲されたりする例がちらほら。

もしかしたら地震と関係があるのではという説もあるとかないとか・・・・。

科学的根拠は全くない話として、近年の深海魚の動きには研究者たちも注目しているのだそうです。

未知数な深海の魚たち

深海に生息している魚についてはまだまだ研究が進んでいないのが実情。

これから色々な発見が期待できる分野ではあるのですが、2010年にオーストラリアの研究者たちが深海で獲物にかぶりつくカグラザメの姿を遠隔操作のカメラによって撮影しました。

 

暗闇で獲物を的確に捕らえたり、繁殖相手を見つけたり、一体彼らはどうやってその対象を見つけているのかということは常に興味のある分野のようです。

特に暗視能力については、カグラザメが極限状態で発達させてきた特殊な身体構造が人間の視覚進化の過程をたどる重要な手掛かりになると期待されているのだとか。

カグラザメのまとめ

カグラザメは世界の温帯から熱帯の海域、水深500~2000mほどの所に生息しているらしい。

カグラザメの体長は4~6m、6対の鰓裂を持っている。

 

繁殖形態は卵胎生で一度に20~100の幼魚を産む。

カグラザメは水族館での飼育は難しく、一時的な展示にとどまっている。

カグラザメの暗視能力については人間の視覚進化の過程をたどる重要な手掛かりになると注目されている。

(ライター ナオ)