ホホジロザメvsシャチの戦いの勝者はどっち?

ホホジロザメシャチは、ともに最大級の肉食海洋生物ですが、人間にとって最も恐るべき海洋生物として、まず頭に浮かぶのは映画「ジョーズ」でも有名なホホジロザメではないでしょうか?

ホホジロザメは巨大で凶悪な人喰いザメ

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ホホジロザメは最大で体長7mにもなる巨大なサメで、その性格は獰猛そのもの、1876年〜2004年の間に確認されただけでも、世界では63人もの人がホホジロザメの攻撃により命を落としています。

しかしながら、実はホホジロザメは海洋生物の中では最強の捕食者と言うわけではありません。

まず、問題なのはその骨格と骨の構造です。

サメは太古から生き永らえている古いタイプの魚で、骨格は軟骨で出来ています。

一方でマグロなどの普通の魚は硬骨魚と呼ばれ、泳ぐ速度に大きな差が生じます。

軟骨魚であるホホジロザメの最高速度は時速35~45kmと言われているのに対して、硬骨魚であるマグロは時速80kmで泳ぎます。

また、サメの骨格を見ればわかるように、サメには内臓を保護する肋骨がありません。

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攻撃力は高いものの、防御力がゼロに近いバランスが悪い生物と言えるでしょう。

海洋最強の捕食者 シャチ

シャチはイルカの仲間で知能が高い大型の哺乳類です。

その知能の高さからイルカと同様に水族館では人間に懐いていますが、自然界では非常に獰猛な捕食者である事が知られています。

最大級の個体は体長10mに達し、アザラシやホッキョクグマばかりではなく、クジラやサメをも捕食する危険な食物連鎖の頂点に立つ海洋生物です。

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また、哺乳類である為、その骨格も頑丈で内臓を保護する頑強な肋骨を持ち、泳ぐスピードも時速80kmに達します。

知能が高く素早い上に攻撃力も防御力も高いという、まさに最強の海洋生物です。

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ホホジロザメとシャチ 戦闘力の比較

現状最強の海洋生物の座を決めるこの戦いの勝者を巡り、ネットの質問掲示板が盛り上がりを見せているようですが、勝負の行方を決定づけるであろう要素をいくつか挙げてみましょう。

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体の大きさ

ホオジロザメ:全長4.0~4.8m、体重680~1,100Kg
シャチ:全長4.9~6.7m、体重1,361~5,442Kg

体の大きさは戦闘の勝敗を分ける最も重要な要素です。何故なら体当たり攻撃を仕掛けた場合、体が大きい方のダメージは局部に留まりますが、体が小さい方は全身に甚大なダメージを被るからです。

走っている子供が出合い頭に大人に激突した場合、子供だけが大きなダメージを喰らうのと同じ理屈です。

シャチはオスとメスの体格差、またはタイプによってもその体の大きさに大きな差がありますが、ホオジロザメの平均的な大きめの個体よりもシャチの小さめの個体の方がやや大きいという特徴があります。

従って体の大きさの観点から見ると、体重が2倍~5倍の差があり、シャチが圧倒的に有利であるとわかります。

身体能力

水中で相手に攻撃を仕掛ける、または避ける際に重要なのは瞬発力です。

つまりは水中での加速度という事になりますが、残念ながらホホジロザメシャチの水中での加速度を計測したデーターがありませんので、どちらが加速度がありそうか?という観点で判断するしかありません。

シャチのジャンプは広い海原ばかりでなく、狭い水族館でも目にすることが出来ます。海を回遊するシャチの場合、充分速度を上げた状態でのジャンプも可能ですが、限られたスペースしかない水族館ではそうも行きません。

それでもこの跳躍力ですから、凄まじい筋力に裏付けられた加速力を誇ることが容易に予想出来ます。

もちろん、ホホジロザメも驚くべき跳躍を見せる事があります。

しかし、餌をめがけての本気の跳躍ですら、シャチほど高くは飛び上がることは出来ないように見えます。

従って攻撃力、回避能力に直結する瞬発力はシャチの方がホオジロザメよりも上であると考えられます。

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攻撃力

体の大きさと瞬発力の差を考慮すると、突撃を基本とした攻撃力はホオジロザメよりもシャチの方が断然上でしょう。

回避能力

シャチには「コール」と「クリック」という超音波を使った2つの能力があります。

そのうち回避能力にかかわるのが「クリック」です。

これは視覚に頼らずに離れた物体の性質や動きを感知出来る能力で、攻撃回避反応に大きく大きく関わります。

一方でホオジロザメは聴覚・嗅覚・視覚に優れ、特に血の匂いには敏感で離れた獲物を早い段階で検知するのに特化した体の構造になっています。

しかしながら、これは獲物を狩る為の能力ですので、捕食者の攻撃を回避する事に対しては役に立たないでしょう。

従って回避能力でも断然シャチホオジロザメよりも有利であると考えられます。

防御力

この場合の防御力とは、相手の体当たりを喰らった時の耐久性です。

シャチは我々人間と同じ哺乳類ですので、内臓は堅牢な肋骨によって守られていますが、ホオジロザメには肋骨がありません。

シャチの重い体当たりの一撃を喰らえば、ホオジロザメは即座に内臓破裂を起こし、戦闘不能に陥ります。

従って防御力でも断然シャチホオジロザメよりも有利であると考えられます。

知能

これは敢えて説明の必要はないと思いますが、シャチは海洋生物の中では最も高い知能を誇ります。

血の匂いめがけてひたすら突撃するホオジロザメと比べて、シャチは自分がダメージを喰らわずに相手を倒す戦術に長けています。

従って知能の高さによる戦術の面でも、シャチホオジロザメを大きく凌駕すると考えられます。

社会性

シャチは群れで生活する、最も知能が高い海洋性の哺乳類です。「コール」という超音波によるコミュニケーションを使いこなし、仲間と連携して狩りを行い、子供達を守ります。

1対1での戦いでもシャチの方が有利ですが、常に群れで行動するシャチに、社会性のないホオジロザメは全く歯が立たないでしょう。

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シャチvsホオジロザメの対決動画

速度と防御力に問題があるサメがシャチと戦えば、あっという間に決着がつき、サメは殺されてしまいます。

シャチに横から体当たりをされて内蔵破裂で戦闘不能状態になります。

そもそもスペックの比較からして、ホオジロザメに最初から勝ち目はありません。

ホオジロザメシャチの強さを比較することは、ヘビとミミズの強さを比較する事を変わらないくらい結果が分かり切っている事なのかも知れませんね。

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実はホホジロザメはイルカを捕食する事もあるのですが、危険を察知したイルカが体当たりでホホジロザメを殺す事もあるようです。

陸上では哺乳類が爬虫類を制し、海洋でも哺乳類が魚類を制しています。

やはり陸でも海でも人間を除く生物の中で、食物連鎖の頂点に立つのは哺乳類のようです。

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海の王者シャチはマイルカ科の最大種!

シャチは、クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科シャチ属に分類される海棲の哺乳類です。

体長はオスでおよそ6メートル、体重は4〜5.5トン、メスは一回り小さく5〜5.5メートル、2〜3.5トンほどで、イルカの仲間では最大種になります。

最大級のオスでは10メートル、10トン近くになるものも存在します。

シャチは『海の王者』、あるいは『海のギャング』という異名を持つ、海洋生物最強と言える存在です。

シャチの英名は『Killer Whale』=殺し屋のクジラであり、学名の『Orcinus Orca』は、『冥界(あの世)』から来た悪魔という意味です。

どちらもあまり良いイメージではありませんので、欧米では忌み嫌われる存在の動物なのかもしれません。

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両目の上ある白い部分はアイパッチ!

シャチの全身を覆うパンダのような白黒の模様は、背では黒、腹では白を呈しています。両目の上にはアイパッチと呼ばれる細長い白い模様が見られます。遠目には、これが目のように見えますが、この部分に目はありません。

生後間もないシャチの幼獣では、この白色部分はオレンジ色や茶色みがかっています。

海上にそそり立つ大きな背ビレ!

シャチが海面近くを泳ぐと、海面から背ビレが突き出します。サメの背ビレも恐怖を感じますが、シャチのそれは更に大きく、がっしりと突き立っていますので、こちらに近づいてくるのかどうかが一目でわかります。

シャチのこの大きな背ビレは、オスではその高さが2メートルに達するものもいます。

また背ビレの付け根近くには灰色の模様があり、サドルパッチと呼ばれています。このサドルパッチや背ビレの形状は個体ごとに異なりますので、観察時には個体識別に使われることがよくあります。

シャチは獲物を食いちぎって丸呑みにしてしまう!!

シャチには、上下顎に44〜48本の歯があります。シャチの歯は、高さ8〜13センチほどの円錐状のもので、切歯や犬歯、臼歯といった区別のない、すべての歯がほぼ同じ形をした同型歯性です。

これは他の陸上哺乳類、特に雑食性のものとはかなり異なり、ワニなどと同様に獲物を食いちぎることに適しています。

動物の歯の形を見れば、その食性や咀嚼方法が判別されます。

ですからシャチでは、大きな獲物に食いついて、その肉片を口の大きさに合わせて食いちぎり、口腔内で咬み砕いたりすることなく、ほぼそのまま丸呑みにしていると考えられます。

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シャチは単独種なのか!?4つのタイプがいる!

シャチ属は、現時点では単一種として扱われていますが、その生息域と食性によって3または4つのタイプ(タイプA、B、CおよびD)に分けられています。

異なるタイプ間での交雑は見られず、それぞれ体の大きさや食性も異なっていますので、どうやら別種と考えても良さそうなのです。

タイプAは、一般的にイメージされているシャチそのものです。沿岸から離れた、流氷の少ない沖合の海に生息しています。おもにミンククジラなどのクジラ類を捕食しています。

タイプBはタイプAに比べてやや小型ですが、アイパッチは逆に2倍ほど大きく、その白色部はやや黄色味がかっています。流氷の多い沿岸近くの浅い海に生息しています。

クジラ類の他に、ペンギンやアザラシなども捕食します。

タイプCは、最も小型のタイプで、アイパッチも小さいことがその特徴の一つです。

大きな群れを作って流氷の多い沿岸近くに生息しています。おもにタラなどの魚類を中心とした魚食性です。

タイプDは、2004年以降に提唱されるようになった新しいタイプです。丸みを帯びた頭部であることが特徴の一つです。

南緯40度から60度の南極に近い海域を、帯状に周回するように活動していると考えられています。

タイプCと同様に、おもに魚類を捕食すると報告されていますが、まだ生態について詳しいことはわかっていません。

シャチの研究は進められているが、その生態はよくわかっていない!

北太平洋海域での研究では、シャチには定住型、回遊型、沖合型の3つの個体群についての研究が進められています。

この中で定住型と呼ばれるものは、主に魚類をエサとしており、十数投程度の家族群を作ります。

魚の群れにあわせて特定の海域に生息しており、大きな移動はしません。

回遊型と呼ばれるものは、単独もしくは数頭程度の小さな群れで活動します。

エサは海棲の哺乳類が中心で、決まった活動区域を持たずに移動を繰り返します。

沖合型と呼ばれるものは、数十頭もの大きな群れを作り、沿岸から離れた地域で生活しています。

ただしデータは少なく、エサをはじめ、その生態もほとんど解っていません。

身体に傷が多く残されており、歯の損傷の程度などを考慮すると、サメなどの攻撃性の高い動物と共存していると推測されています。

シャチは、特に南北の極地付近の沿岸の寒い地域に多く生息していますので、カナダやノルウェー、アルゼンチン、インド洋のクローゼット諸島などに分布する各個体群の研究が進められています。

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シャチは世界中の海にいる!

シャチは世界中のほとんどの海に生息しています。冷水を好む傾向にありますが、地中海やアラビア海などの温暖な海域にも生息していますので、地球上で最も広く分布する哺乳類の一種だと言われています。

ときには、シャチは獲物を求めて河川を遡上して、河口から数百キロも入り込んだ地域で目撃されることもあります。

日本近海では、根室海峡から北方四島付近のオホーツク海にかけての海域や和歌山県沖の太平洋などで見ることができます。

シャチは活発に活動する!

シャチは非常に活発な動物であり、水中のみならず、たびたび水上に現れては、多彩な行動を見せてくれることがあります。

海面へジャンプして、体を打ち付けるよう大量の水しぶきを上げる「ブリーチング」、頭部だけを海面に出して辺りを窺うようにする「スパイホッピング」などが代表的な行動です。

シャチが水中を泳ぐ速さは時速60〜70キロにも達し、バンドウイルカと並んで哺乳類では最も速いといわれています。

1日の移動距離も100キロに達することもあり、行動範囲はかなり広いと言えます。

また、シャチは好奇心が旺盛であり、興味を持ったものには近づいて行き、それが何かを確認する習性があります。ヒトが乗ったボートや船にも警戒なく近付いてくるのはそのためです。

シャチは水中で会話する!!

シャチは、他のマイルカ科などのハクジラ類と同様に、音を出して仲間とコミュニケーションを取ります。水中の音を感知する能力は、非常に優れているのです。

シャチはおもに二つの音を使い分けています。

一つは「コール」と呼ばれ、群れの中での仲間同士のコミュニケーションに使われるものです。この音波でヒトのように会話していると考えられています。

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シャチは音波探知機を備えている!

もう一つは「クリック音」と呼ばれる、音波探知器のようなものです。

「クリック音」は、噴気孔の奥から出される音波で、シャチはこれを発して狙ったモノに当て、反響してきた音波を下顎骨に共鳴させて感じ取り、それを識別します。

これを「エコー・ロケーション(反響定位能)」と言います。シャチのこの能力は非常に優れており、戻ってきた反響音のわずかな違いからモノの大きさや形、距離ばかりでなく、物質の成分や内容物までも認識することが可能だと言われています。

シャチは海の王者で、長寿で知られる!

シャチは肉食性であり、海洋での食物連鎖の頂点に立っています。ですから『海の王者』と言っても過言ではありません。

そういう意味では、陸上よりも海の方が圧倒的に広いので、むしろシャチは『地球の王者』と言えるのかもしれませんね。

自然界での天敵はおらず、あえて言えば、武器を持った人間くらいのものです。

シャチの寿命は長く、オスでは平均で30年、長寿のものだと50年にも達します。メスはさらに長く、平均で50年、最高で80年に達することもあります。

シャチは獰猛で残酷な海獣なのか!?

シャチの性質は、非常に獰猛で、貪欲な捕食者であるといわれていますが、本当でしょうか。

シャチは非常に知能が高く、無駄な戦闘は避ける傾向があります。必要以上に攻撃するようなことはありません。

また満腹の時には、捕食目的で他の動物を襲うようなことはありません。海中では余った獲物を保存しておく場所などありませんので、食べ切れなければムダになってしまうからです。

シャチがアザラシを投げて『遊ぶ』のは誤解!?

シャチがアザラシやオタリアを襲い、捕えた後にわざわざ空中に放り投げ、それをくり返す行動を取ることがよくあります。これをシャチの残酷な『遊び』として、世間一般では広く認識されているようですが、どうやら誤解のようです。

はっきりしたことはまだ解明されていませんが、これは幼獣に狩の練習をさせている教育の一環だと考えられています。

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実はシャチは超偏食家だった!?

シャチは前述した4つのタイプによって、捕食する獲物が異なります。

ただし、あくまでもそれらはその海域に生息している主要な獲物であって、他の生物をまったく捕食しないということではありません。

その獲物は、小型の魚類からイカ、海鳥やペンギンを始めとして、オタリア、アザラシ、ホッキョクグマなどの哺乳類も襲いますし、大型のサメも捕食しますので、かなりの広範囲におよび、何でも食べるように思えます。

しかしシャチが捕食する動物が多岐に渡るのは、実は選り好みが激しいからなのです。

同一の個体が様々な動物を捕食しているのではなく、むしろ各個体それぞれに強い「好き嫌い」があるようなのです。

ですからシャチの各個体には、特定の好きな獲物しか狙わない『偏食』傾向が強くみられるのだそうです。

シャチは弱い者を狙い、効率よく狩りをする!

タイプAのシャチは、同じクジラの仲間を中心に捕食しますし、同科のイルカも襲います。

自分の身体より大きな獲物を狙う……という記述が多いのですが、クジラ類ではまず幼獣を狙います。

いかに獰猛なシャチであっても、自分よりも大きな種には手を焼きますので、抵抗の少ない幼獣の方がはるかに狙いやすいからです。

クジラも単独で生活しているのではなく、群れをなしていますから、その中で一番弱い者すなわち幼獣を狙うのは当然なのです。

シャチの頭脳的な組織プレー

シャチは単独で狩りをすることもありますが、集団となって組織的な狩りをすることもよくあります。

その狩りの技術は非常に高度なものであり、多彩であると言えます。

氷の下に潜んで近付いて行き突如として奇襲をかけたり、群れで取り囲んで行く手を塞いだり、はさみ討ちをして追い込んだりすることもあります。

氷の上にいるアザラシなどは、周りで暴れて波を起こして氷を揺さぶったり、氷に体当たりをして、獲物を滑らせて海中に落として捕食します。

氷山の上ばかりでなく、ときには浜辺にまで這いあがって行き、油断しているアシカなどの海獣を狙うこともあります。

シャチが群れで狩りをするとき、クジラを見つけるとそれを取り囲むように徐々に包囲していきます。

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そのうちの一、二頭がわざとクジラの上を泳ぎます。

クジラは呼吸をするために水面に上がらなければならないのですが、こうすることでそれを阻止してしまうのです。苦しくなったクジラは、けっきょく逃げ切れずにシャチの餌食になってしまうというわけです。

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クリック音も武器になる!シャチの多彩な狩りの方法!

音波探知に使われるシャチのクリック音は、実は武器にもなるのです。

音波を凝集させてそれを小型の獲物に浴びせかける音波攻撃を仕掛けることがあります。

これにより魚類などはその振動で麻痺を起してしまい、一口で食べられてしまうのです。

大型のサメやエイなどに対しては、その弱点である腹の部分を真下から突き上げるような攻撃をしかけます。

この突撃で瞬殺されてしまうのです。

ただしエイには尾に毒を含むモノもいますので、思わぬ反撃を受けることもあります。

また、小魚をくわえてから一度空中に吐き出します。

それをおとりにして、カモメなどの海鳥をおびき寄せ、集まったところを一気に狙うという、実に高度な狩りをすることもあります。

シャチはスカベンジャー(屍肉食者)でもある!

シャチには、獰猛なイメージがありますし、これだけ多彩で高度な狩りをしますので、常に獲物を襲い、生きているものしか食べないと思われがちです。

でも、実はそんなことはありません。広大な海では、なかなかおいそれと好みの獲物に出会うことはありません。

獲物が少なく、飢えたシャチは、海中に浮かんでいるクジラなどの死体も躊躇なく食べるのです。

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シャチはヒトを襲わない!?

シャチは、捕食目的で人を襲うようなことはありません。

シャチは偏食家ですから、ヒトの肉は好まないのかもしれません(笑)

ただし、シャチに襲われて、ヒトが殺されてしまった例は多数あります。

その中でも驚くべきは、仲間に危害を加えたヒトに対して、報復したというケースがあるということです。

またシャチは好奇心が旺盛なので、ヒトが泳いでいると寄ってくる場合があります。

人なつこいので、じゃれたり、つついたりすることもありますが、なんにせよ体格差がありますので、シャチが軽く触れただけでも、ヒトが大ケガをさせられることもあるのです。

水族館の飼育員が、このシャチのいたずらのために、殺される例が多数あります。

シャチは害獣なのか!?

シャチは、漁業関係者においては、害獣と考えられている場合も少なくありません。

大型の魚類を狙って養殖池などに入り込んで食い荒らしてしまうことがあるからです。

また、捕えたクジラを曳航している最中に、それを狙って食いつくこともあるのです。

かつての北欧のクジラ漁では、捕えたクジラを狙って集まるシャチを追い払うために、専門の狙撃手が船に同乗していたというほどなのです。

シャチの群れは、メスが作る!

シャチは単独で生活しているものもおりますが、多くは数頭から数十頭の群れをなして、社会的な生活を送っています。

群れは、アザラシのような一頭のオスを中心にしたハーレムのようなものではなく、一頭の母親を中心としたその血族で構成されている場合がほとんどです。

したがって、オスはその一生涯を同じ群れの中で過ごしますが、メスは成熟期になると群れを離れ、新しく自分自身の群れを形成することがあります。

ある海域では、年に一度複数の群れが大集合して、100頭以上の巨大な群れ(スーパーポッド)を形成することがあります。

これは近親での交配を避け、家族に新しい血を入れるために、他の群れのオスと交雑を行うものだと考えられています。

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違う群れでは通じない?シャチのコールは方言!

シャチの群れの中でのコミュニケーションは、「コール」と呼ばれる音(声)を出して会話のようなやりとりをしているようです。

この音は各群れごとに微妙に異なりますので、群れの内部独特の一種の方言のようなものであると考えられています。

したがって、その群れの中で親から子へと代々受け継がれていくようです。

群れの中は大家族のような生活!

シャチは、群れの中では、ヒトのような社会性に飛んだ行動を取ることが知られています。

子を持つ母親がエサを取りに行く場合、他のメスがその間、その子の面倒を見るというベビーシッター的な行動を見せることがあります。

また、取ってきた獲物をまだ満足にエサが取れない若い個体に与えたり、弱らせて狩りの練習をさせたりする教育的な行動を見せることもあります。

シャチの群れは血族社会ですから、大家族のような生活をしているようです。

シャチは本当に『海の王者』なのか?

さて、シャチが海の王者で、海洋生物最強だというと異論が上がることがあります。

それはサメ、特に「ヒト喰いザメ」と言われるモノの代表格であるホオジロザメという存在が強烈だからです。

映画『ジョーズ』のモデルにもなっているこの巨大で獰猛なサメとシャチが、もし食うや食わずの死闘を繰り広げたらどうなるのか?

動物好きでなくとも興味の沸くところですが……

ホオジロザメよりもシャチがその戦闘能力で圧倒的に優越している!

最初に申し上げておきますが、はっきり言ってまったく勝負になりません。

シャチの方が圧倒的にホオジロザメを上回る戦闘能力を持っているのです。

そもそも自然界で格闘技のような最強の王者を決めることなどありませんし、どちらかが親のカタキのように相手を見つけたら必ず攻撃を開始するということなどありません。

ですから、まともに戦うことなど皆無に等しいのですが、それでも飢えていれば相手を恰好の獲物として捕食しようとしますし、子連れのシャチであれば子を守ろうと近寄ってくるホオジロザメを撃退しようとするでしょう。

食うか食われるかの世界では、勝負は水ものともいえます。

他の動物との闘いなどで傷ついて戦闘能力を失くしているシャチや、まだまだ子どもで群れからはぐれてしまった小さなシャチであれば、ホオジロザメに捕食されてしまう可能性は十分にあります。

うっかり油断するような場合があって、奇襲を受けることだってあるかもしれません。

まあそれはそれとして、その能力を比較すれば、勝負は一目瞭然です。

ヒトで言えば、大人と子どもほどの差があると言ってもよいほど大きな違いがあるのです。

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両者の体格差は一回りシャチが上回る!

ホオジロザメは最大で体長11メートルに達するものもいるらしいのですが、それは正式な記録ではないそうです。

平均的な大きさは、4~5メートルほどです。

シャチとは逆にメスの方が一回り大きくなります。

ちなみに映画『ジョーズ』での設定は、体長約8メートルで体重は約3トンとのことです。

前述したようにシャチはオスで6メートル、メスは一回り小さく5~5.5メートルほどですから、シャチの方が一回りほど大きいと言えます。

体格が違うのだからシャチの方が強くて当然と言えましょうが、それだけが問題ではありません。

もし史上最大級のホオジロザメが、平均的な大きさのシャチを襲ったとしても、まったく話しにならないでしょう。

圧倒的な違いは、両者の体重差だった!

ホオジロザメとシャチでは、体重が圧倒的に違うのです。

もし両者が、ほぼ同じ6メートルクラスだったとしても、シャチならその体重は4トン以上にもなりますが、ホオジロザメならせいぜい2トン程度がいいところでしょう。

柔道にしろ、ボクシングにしろ、格闘技では、身長差はあまり関係なく、体重でクラス分けが決められています。

それが倍以上も違えば、勝負にならないことは目に見えています。

なぜ同程度の体長であっても、倍以上もの体重差になるのかと言えば、骨格がまったく違うからなのです。

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実はホオジロザメはクニャクニャだった!

サメは魚類の中でも古くから存在する軟骨魚類に分類されています。

全身の骨格が軟骨でできているのです。

軟骨はヒトで言うと、骨の先端や関節などにあり、鼻の先や耳などの軟らかさを持った部分です。

サメの骨格は、頭部と胸部それに尾までの脊柱があるのみです。

ヒレの部分は独立しており、内臓を守る肋骨さえありません。これでは体幹がしっかりしておらず、クニャクニャの身体だということになります。

ですからホオジロザメがいかに獰猛で攻撃力があろうと、防御力は皆無に等しく、反撃されればひとたまりもありません。

同じ魚類でも、哺乳類と同等の硬い骨を持った硬骨魚類のマグロやカジキなどでは、体幹がしっかりしているので時速80キロ以上もの遊泳スピードを発揮するのに対し、クニャクニャのホオジロザメではせいぜい時速30キロ程度だと言われています。

シャチは全身を硬い骨格でしっかり守られていた!

それに対して哺乳類であるシャチは、全身を硬い骨が形作っており、後脚こそ退化して痕跡程度ですが、前脚に相当する胸ビレでは、太く頑丈な5本の指……というよりもヒトの腕ほどの太さの骨が走ります。

この頑丈な骨格を使ってクジラを追いまわし、時速60~70キロ以上ものスピードで泳ぐことができます。

シャチが4トンもの体重で体当たりを食らわせば、いかに強靭なアゴと、鋭い歯を持つホオジロザメでさえ、ひとたまりもありません。

特に下から突き上げるような腹部への攻撃は、サメの弱点を突いた非常に有効なものです。

これによりホオジロザメを撃退するばかりか、その内臓を破壊して、死に至らしめてしまうこともあるほどなのです。

現にその子どもを襲おうとするホオジロザメに対して、はるかに小さなイルカ類でさえ、その腹部に体当たりして、反撃をするようです。

シャチはホオジロザメを相手にせず!?

こうして見ていくと、潜在能力では圧倒的にシャチが勝りますので、サメの勝機は皆無とも言えましょう。

ただし、実際に海中で両者が出会ったとしても、ホオジロザメは隙を突いてシャチに襲いかかろうとするかもしれませんが、シャチは相手にせずにさっさと通り過ぎてしまうのではないでしょうか。

シャチは強い偏食傾向ゆえに特定の獲物しか狙わないと言われています。

なかには、サメを専門に捕食する個体がいないことはないかもしれませんが、少数派だと思われます。

捕食しないのであれば、知能の高いシャチがホオジロザメを襲う理由はありません。

いかに戦闘能力が勝っていたとしても、ヘタにかまえばホオジロザメのあの鋭い歯で身体を傷つけられてしまう可能性はあります。

野生動物は、ムダな争いを避けるのがごく当然の行動ですから、相手にせずにさっさと逃げてしまうことでしょう。

ホオジロザメはシャチの遊泳スピードにはかないませんので、こちらも執拗に追い回すようなことはないはずです。

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なぜヒトは、サメにより強い恐怖を感じるのか!?

なぜ、ヒトはシャチよりもサメの方に恐怖を感じるのでしょう。

それは、サメがヒトを躊躇なく襲うのに対し、シャチはヒトをまったくと言ってよいほど襲わないことに起因しているのかもしれません。

シャチは人なつこく、また偏食が激しく特定の獲物しか狙わないと考えられていますので、ヒトを捕食することはまずありません。

それに対して大型の肉食系のサメは間違いなくヒトを襲います。

これはサメの好物がアザラシであり、ヒトが泳ぐ姿がアザラシに似ているので誤認するという見方があります。

しかしサメは嗅覚が抜群ですので、そのニオイからヒトとアザラシを誤ることはないのではないかと思うのですが……。

そう考えるとその味はともかくとして、ヒトもサメにとっては十分捕食の対象になりうると思われますので、海に入れば常にサメに狙われる恐怖におびえなければならないのだと考えられます。

シャチはパンダ同様に愛嬌がある!?

それに対してシャチはいかに巨大で獰猛であっても、多くのヒトは襲われる恐怖をあまり持ち合わせていないのではないでしょうか。

またあの白黒の色合いとややタレ目のアイパッチの部分が、ジャイアントパンダ同様に愛嬌のあるカワイイものに写るので、そういったイメージからもシャチに対する敵愾心や恐怖心を生み出さないのではないでしょうか?

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シャチの生きた実物をナマで見るには水族館へ!

シャチは獰猛で知られていますが、ヒトにはなつきやすく、また知能が高く、訓練での順応性もあるので、水族館で飼育されて展示されるだけでなく、イルカやアシカのようにショーに利用されることもあります。

シャチは、アメリカ、カナダ、フランスをはじめ6カ国11の施設(2008年現在)で飼育されています。

日本では1970年から千葉県の鴨川シーワールドにおいて飼育が始まりました。

日本国内では、学術目的以外のシャチの野生個体の捕獲は禁止されていますが、鴨川シーワールドでの飼育下で、次々に繁殖されています。

現在、この鴨川シーワールドと、愛知県の名古屋港水族館で実物の生きたシャチを見ることができます。

日本にいるシャチは、すべて一家族!

日本国内にいるシャチは、すべて1985年にアイスランド沖で捕獲されたオスのビンゴとメスのステラの子どもと孫で、鴨川シーワールドの飼育プールが手狭になったために、名古屋港水族館に移動(無償貸与)されたという経緯があります。

2015年12月から5年間の契約で貸し出し中のオスのアースについて、名古屋港水族館では購入の計画が持ち上がっているそうです。

その額はおよそ4億8千万円とのことです。高すぎるという意見もありますが、その希少性から妥当な金額だとも言えるようで、果たして高いのでしょうか、安いのでしょうか……。

シャチのショーは一見の価値あり!!

けっして宣伝というわけではありませんが、鴨川シーワールドのシャチのショー(パフォーマンス)は、一見の価値があります。

野生下でのシャチを見ること自体、非常に難しいことではありますが、ここでは、水族館のように遊泳している姿を見ることができるばかりでなく、シャチとヒトとが共演し素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるのです。

シャチが海面から飛び跳ねるその姿は、同じ仲間であるイルカと比較にならないくらい壮大なものであり、見る者を圧倒します。

人間ロケットというパフォーマンスでは、トレーナーを空高く放り投げますが、その軽々と投げ飛ばす威力は、想像を絶するほどです。

これほど巨大で破壊力抜群であるので、一歩間違えば大惨事にもなりかねないのですが、海の猛獣とも言える獰猛なシャチを意のままに扱うトレーナーの高い技術は特筆モノですし、それにも増して、シャチとヒトとの強い絆や信頼関係を感じることができるのです。

通常、シャチが人を襲うことはありませんが、あまりにも親しくなりすぎて、シャチに悪ふざけをされたトレーナーが、その圧倒的な力を受けて死亡するという事故がアメリカの水族館で起こっています。

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シャチの和名には『サカマタ』というものもある!

「シャチ」は正式な名称なのですが、他に「サカマタ」という呼び方もあります。

これは逆叉または逆戟と書きます。

「戟」は古代中国の鉄製の武器で、矛(ホコ)から二本の枝が出た三叉のものです。

シャチの海から突き出た背びれが、これをひっくり返した形に似ていることから名付けられたとのことです。

ラテン語の学名の後半部である「オルカ」と呼ぶ場合もあります。

アイヌ語では、「レプン・カムイ」「アトゥイコロ・カムイ」「カムイ・フンペ」などと呼ばれ、多くは「カムイ」がつけられています。

「カムイ」は神の意味ですので、アイヌではシャチは海にいる神として崇められていたようです。

シャチという名の由来は伝説上の動物『鯱』から来た!

和名でもある「シャチ」は、伝説上の動物でもある「鯱」に由来しています。

「鯱」はお城の屋根にある鯱鉾(シャチホコ)でその名が知られています。

その全身は魚の姿をしていますが、波を起こし、雨を呼ぶ海獣だと言われており、火除けをしてくれるものとして崇められています。

頭はトラを模していますが、鋭い牙を持つのではなく、同じ伝説上の動物である獅子(獅子舞で知られる)のような、ガッチリとした歯を多数持ちます。

鯱の尾ひれはサソリのように反り返っていて、空を向いています。その背中には、何重もの鋭いトゲが並んでいます。

なぜ海獣の鯱が、屋根の上にいる?

鯱の姿を模したといわれるシャチホコは、鬼瓦などと同様に家の守り神として屋根の両端に取り付けられることが多く見られます。

前述したように火除けの守り神として置かれているのです。

これは織田信長が安土城建立の際にその天守の装飾に用いたのが始めと言われ、その後城廓や寺院でそれに倣って用いられるようになったそうです。

もっとも有名なのが名古屋城の金のシャチホコ!

シャチホコの材料としては、陶器(瓦)を始めとして、木彫りのもの、セメント(石)、金属(おもに青銅)を鋳造したものなど多数の種類があります。

その上に金箔や銅板などを貼り付けて装飾を施したりして豪華にしているものもあります。

特に金色に加工・装飾した鯱鉾を金鯱(キンシャチ)と呼び習わしています。

金鯱には、漆を塗って金箔を貼り付けたものと、金の薄い板を貼り付けたものがあります。

もっとも有名な名古屋城の天守に輝く一対の金鯱は、木造の鯱に金板を貼り付けて作られています。

高さは2.7メートルにも及び、創建当時には、一対のシャチホコに使われた金は大判約2千枚、215キロにもなったそうです。

ちなみに尾張藩では、財政難でたびたびこの金板が剥されて純度の低いものに鋳造し直されたそうで、江戸時代後期には、ほとんど金の輝きが失われてしまったそうです。

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驚きの昆虫、シャチホコガ!!

シャチホコガ(鯱鉾蛾)という昆虫がいます。

チョウ目(鱗翅目)シャチホコガ科に属します。

シャチホコガ科の仲間は、世界で1000種、日本国内でも約120種が分布しています。

成虫はどこにでもいそうなありふれた形態のガなのですが、幼虫の風体は異様なもので、シャチホコムシという別名もあるほどなのです。

このシャチホコガの幼虫は、イモムシというよりもヤゴ(トンボの幼虫)のような細長い形態をしており、前足が異様に長いのが特徴です。

幼虫は危険を感じると体を縮ませながら頭と尾(腹端)を持ち上げます。

この様子が、まさしくシャチホコそっくりなのです。

尾部にも細長い管状の尾脚が一対伸びていますので、こちら側から見ると舌を出したコブラのような顔つきに見えます。

シャチホコガは、枯れた葉に擬態しているのだが……

本来は、枯れて丸まった葉に擬態しているのですが、どう見てもやり過ぎという感じで、われわれ日本人が見れば、その姿はすぐにシャチホコを連想してしまうほどです。

ヨーロッパでは、この幼虫の姿をエビに見立てて「ロブスターモス」と呼ばれています。

幼虫は全国の山林にある落葉広葉樹を好み、ケヤキやサクラ、カエデなどにつきます。サナギのまま越冬して、夏ごろに羽化します。

シャチもどきの正体は、シャチの近縁種のオキゴンドウ!

シャチモドキと呼ばれる動物がいます。

シャチのニセモノという意味ですが、実はシャチとはきわめて近い種で、正式にはオキゴンドウといいます。

オキゴンドウはクジラ目ハクジラ亜目マイルカ科オキゴンドウ属に属するクジラです。オキゴンドウ属はシャチ同様、1種のみの構成です。

オキゴンドウは黒から濃いグレーの体色で、胸の辺りに灰色の模様があります。

体長6メートル、体重は1500キロほどで、大型でシャチと同等の大きさですが、細身の身体をしていますので体重は半分ほどしかありません。

背ビレは長く、30センチ以上にもなりますが、シャチに比べればかなり小さめです。胸ビレは、途中から肘のように曲がっているのが特徴でもあります。

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オキゴンドウはクジラを食べる!

オキゴンドウは、シャチモドキの名前ばかりでなく、シャチ同様イルカなどの小型のクジラを襲い、捕食します。

オキゴンドウの性格は、シャチ同様に獰猛なのですが、シャチ以上にヒトになつきやすく、多くの水族館で飼育されています。知能が高いので、調教されてイルカショーを行なっていることもあります。

オキゴンドウの寿命は長く、60年ほども生きると言われています。

静岡県の下田海中水族館では、36年0ヶ月(推定年齢は40年)という世界最長の飼育記録があります。

オキゴンドウの組織プレー!

オキゴンドウは、通常10〜50頭ほどの群れをなして行動しています。非常に素早く、活発に活動します。他のクジラ類同様、ブリーチングと呼ばれる、水面から飛び上がり、身体の側面を水面に激しくぶつけて着水する行動を取ることがあります。

またシャチ同様、好奇心が旺盛で、ヒトの乗るボートや船舶に近づいてくることもしばしばあります。

オキゴンドウが集団で大型のクジラを襲うときには、その尾ビレを集中的に狙って攻撃をしかけます。

尾ビレを食いちぎられたクジラは、泳ぐことができなくなってしまい、動きを止めてしまうのです。そこに襲いかかるというわけです。

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オキゴンドウは暖かい海を好む

オキゴンドウは、温帯域から熱帯域の海に広く分布しています。太平洋、大西洋、インド洋を始め、地中海や紅海にも生息しています。

オキゴンドウの名の由来は、沖合に生息するゴンドウクジラから取られています。したがって、沖合いを好む外洋性の種でありますが、沿岸域にも生息しており、浅い海域や沿岸域に現れることもあります。

オキゴンドウは捕獲しても問題ない!?

オキゴンドウについては、情報量が不足しているので、生態はもちろんのこと、その生息数もほとんど把握されていません。

東太平洋においては、およそ4万頭以上が生息していると推測されています。ただしアメリカ合衆国のハワイ州では、その生息群についてのみ絶滅危惧種に指定されています。

オキゴンドウは、西インド諸島やインドネシアでは、多数ではありませんが、普通に捕獲されており、食用に供されています。

日本においても、毎年少数ながらも正規に捕獲されています。

オキゴンドウは害獣だった!?

オキゴンドウはマグロなどの大型の魚類も食べますので、延縄(はえなわ)などにかかったマグロ類を横取りして捕食してしまうので、漁業被害も報告されています。

実は、害獣として駆除の対象になっているのです。

かつて、壱岐島では、1965年から1980年までの15年間で900頭のオキゴンドウが害獣として駆除されていました。

(ライター オニヤンマ)

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