フカヒレなどの高級食材として有名なサメのヒレ。

実はその多くはヨシキリザメのヒレだったということをご存じだっただろうか?

ヨシキリザメの生態

ヨシキリザメは世界の熱帯から温帯域にかけて広く分布しているメジロザメ科に分類される全長2~3mほどのサメです。

サメの中では最も広範囲な分布域を持っているサメで、日本では黒潮と親潮のぶつかる辺りのやや南側に棲息しています。

水深は350m、水温は12~20度を最も好むと言われています。

 

吻は長く円錐形、背側の体色は鮮やかな藍青色をしており、アオタやアオナギ、アオブカなどの別名がついているほど。

上顎の歯は幅広の三角形、先端が口角に向かってやや傾いており、下顎の歯は単尖頭で細身の三角形をしています。

小型のサメやクジラ類の死骸、海鳥などを捕食しますが、最も多く食べているのはイカ。

 

逆にアシカやアオザメ、ホホジロザメなどに捕食されます。

オスは4~5年、メスは5~6年で性成熟し交尾をするとメスは卵殻腺に精子を長期保存します。

9~12か月の妊娠期間を経た後、35~80㎝の子ザメを平均35匹ほど産み落とします。

 

ヨシキリザメの幼魚は黒潮と親潮のぶつかる境目辺りで成長し、次第にオスは南に、メスは北へと移動していきます。

これはメスがオスに食べられないようにするためと言われていますが、確かなことはわかっていません。

成長したメスはオスの海域に南下してきますが、繁殖期以外は行動を別々にするのが一般的だと言われています。

ヨシキリザメと人間の暮らし

ヨシキリザメは1992年から2009年にかけての水揚げが8700~160000tと言われていて、サメの水揚げの中で最も多いサメになっています。

多くはマグロなどの混獲なのですが、スポーツフィッシングなどのレジャーでヨシキリザメを釣り上げる人はいるようです。

 

かまぼこやはんぺんなどの練り製品の原料としては欠かせないヨシキリザメの肉は、多少アンモニア臭はするものの、その需要から、同じく水揚げ量の多いネズミザメよりも高値で取引されます。

 

ヒレはフカヒレとして珍重され、軟骨はコラーゲンとして健康食品などに加工されるなど、あらゆる部位を利用できます。

しかし、一方で危険なサメでもあり、過去には4件ほどの死者が出るなど、遊泳中には気をつけなけらばならないサメでもあります。

 

人間を襲う時にはゆっくりと周りを旋回しながら近づき、一度に噛みつかず、試し噛みをして、次にとどめを刺すという方法なのだそう。

遊泳中にサメを見つけたら、すぐに海水から上がることが先決です。

ヨシキリザメの軟骨は!?

サメの軟骨と一言に言っても、細かく分けると3つの軟骨に分けられるようです。

まず、カルシウムの割合の高い中骨軟骨、様々な栄養成分が豊富に含まれているフカヒレ軟骨、そしてカマ軟骨です。

 

サメの軟骨には血管を作らせないという性質があり、人間の血管が出来ることによって起こる病気を防いだり、症状を楽にしてくれる効果があります。

また、軟骨のムコ多糖体と言われる粘性物質に含まれるコンドロイチンが細胞に作用することによって、新陳代謝が活発になり自然治癒力を高める効果もあると言われています。

 

また、サメには癌にかかる個体がないと言われ、人間のがん細胞の抑制にも効果があるのではないかとも言われているようです。

サメの軟骨をパウダー状にしたものやカプセル、錠剤にしたもの等様々なタイプの製品が販売されており、これらを上手に活用することで色々な効果が期待できるようです。

ヨシキリザメのまとめ

ヨシキリザメは日本での水揚げが一番多いサメ。

凶暴な一面ももち、人を襲うこともあるので注意が必要。

ヨシキリザメの軟骨は様々な病気の予防や症状を和らげるのに効果的らしい。

(ライター ナオ)