6月の梅雨が過ぎると、抜けるような空の青さが気持ち良い7月。

そして、次にやってくるのが気だるい暑さの8月、9月。

 

体が十分に疲れ切って涼を求めるようになる頃、朝晩ほっとするような空気が辺りを覆いはじめます。

これが秋!

今回はすでに恋しくなりつつある秋の夜長についてのお話です。

秋の夜長の意味

日本では「秋の夜長」という言葉があり、俳句ではその名の通り秋の季語として扱われています。

では実際に秋の夜長とはいつからいつまでのことをいうのでしょうか。

風流な言葉として使われている「秋の夜長」ですが、実際のところは日の長さ、つまり日の出と日の入りの時間と関係しています。

8月下旬頃にある立秋。この日は最も日の短い日、つまり太陽が昇ってから沈むまでの時間が最も短い日になります。

 

「日が暮れる」という感覚は冬の方が断然早いかもしれませんが、それは実際の日の出日の入りとはまた別の話なのです。

12月には冬至があり、この日を境に日の出から日の入りまでの時間はどんどんと長くなっていきます。

 

日の出日の入りというのは東京の旧国立天文台から見た太陽の上限が見えた時間と太陽の上限が見えなくなった時間が基準で、それに各地域の緯度と経度分をずらし、算出されています。

ですから、「秋の夜長」とは立秋から12月にある夏至までの間ということになるのです。

実際のところは・・・?

しかし、実際の所は暦通りに…とはいかないようです。

一般的に人々が「秋の夜長」を口にするようになるのは、何となく朝晩の気温が下がって涼しさを感じるようになった頃や夜、虫の声が大きく聞こえるようになった頃、秋の旬の食べ物が美味しくなってきた頃のようで、その頃になると読書の秋やスポーツの秋などという言葉も頻繁に耳にするようになるのです。

秋の夜長を彩る秋の虫

有名な童謡、「虫のこえ」では「あ~きの夜長を鳴き通す~~♪ああ~~面白い虫のこえ~」

という歌詞があります。

 

秋の夜長にはマツムシやスズムシ、コオロギやスイッチョンなど実に多くの昆虫たちが夜の野原で美しい求愛ソングを奏でます。

その様子が見事に歌われた、日本を代表する童謡です。

秋の夜長に何をする?

「秋の夜長に何をしたいか」というあるアンケートの結果では、一番多かったのは美味しいお酒を楽しみたい、2番目は読書や映画鑑賞、3番目はゆっくりとお風呂に入るだったそうです。

 

確かに、どれも静かな夜の時間を過ごすにはぴったりなものばかり。

「読書の秋」という言葉のイメージはもともとは古代中国の「灯火親しむべし」という詩からきていると言われていて、日本ではそのことについて夏目漱石が「三四郎」の中で取り上げています。

 

静けさの中で集中して誰かの文章に目を走らせ、心や頭を充実させるというのは、静寂さを伴う秋の夜長だからできる事なのかもしれません。

また、夏の間シャワーで汗を流すだけだったバスタイムも、秋の夜長を感じる頃からだんだんと、湯船につかって体をゆっくり温めてから休むようになる、という時期でもあるようです。

アメリカでは「秋の夜長」の概念はあるか?

アメリカでは標準タイムと夏タイムというものが存在します。

「秋の夜長」という言葉自体はありませんが、ニュアンス的にはアメリカ人にも通じる概念といえるでしょう。

ちなみに英語で秋の夜長を表現すると「long night of autum」となります。

秋の夜長のまとめ

秋の夜長とは立秋から冬至までの間をいう。

実際には朝晩の気温が下がり涼しくなってきた頃や虫たちの声が夜に響き渡るようになった頃、また秋の旬の食べ物が美味しくなってきた頃に言われ始める。

 

「秋の夜長」のイメージはもともと中国の詩からきている。

秋の夜長はゆっくりと美味しいお酒を飲みたいと思っている人が多い。

(ライター ナオ)