絵本やお話の世界ではのんびり、おっとりとしたキャラクターで描かれるカバ。

確かにそういう一面もあるのですが、実はとっても凶暴な一面も持っていることをご存じだろうか?

カバの生態

カバはカバ科カバ属に分類され、サハラ砂漠より以南に生息しています。

体長3.5~4mで体重は1400kg、陸上生物としてはゾウに次ぐ重量があります。

分厚い脂肪と真皮、上皮で覆われていますが、表皮は非常に薄く、毛細血管現象により水分は外側に放出され、皮膚は乾燥すると避けてしまう性質を持っています。

耳介と眼と鼻が一直線上に並んでいるので、水面から顔をだし、あたりの様子を伺いながら呼吸することが出来ます。

 

鼻孔は内側の筋肉が発達していて、自由に開閉でき、水中では浸水しない仕組みになっています。

顎筋が発達しているので150度まで口を大きく開くことも出来ます。

 

門歯と犬歯があり、犬歯は50㎝に達することもあります。

昼間は水中にいて、夜は陸に上がり採食します。

食性は基本的に草食ですが、時として死んだカバや他の動物を食べたりもします。

1997年にはインパラを捕食する映像が公開され、衝撃を呼びましたが、普段はあくまで草を食べて生活しています。

 

1日に40kgのエサを食べますが、これは他の動物に比べ、体重あたりの量は少ないと言われています。

その理由は、昼間水中で温度変化を極力抑えた省エネの暮らしをしているからだと考えられています。

 

水中では水底を歩いて移動し、平均で1分、最長で5分ほど潜っていることが出来ます。

肺の中に空気をため、浮かぶことも可能です。

陸上では時速40㎞もの速さで走ることが出来ますが、持久力はなく、長距離は苦手です。

オスの縄張り

カバのメスは普段10~20頭からなるメスと幼獣で群れを成して生活しています。オスはそのなわばりの近くにいるか、もしくは単独で行動します。

縄張り意識の強いカバは、オスが縄張りに近づくと大きく口を開き、糞をまき散らし、後ろ足を蹴り上げるなど、体全身を使って相手を威嚇します。

鼻から水を噴射したり、唸り声をあげることも。

 

一匹のオスが8年間同じなわばりを維持したという記録や、最大では12年間という記録も残っています。

威嚇してもなわばりに侵入してくるオスに対しては、死闘の戦いが行われます。

 

普段の穏やかな姿とは、別カバ(別人?)のような激しい戦いぶりに、一方が死んでしまうこともあるそうです。

また、新しくなわばりのボスとなったカバは先代のボスの子供を殺すこともしばしばだそう。

メスの気性も荒くなる

獰猛な姿を見せるのはオスだけではありません。

メスも出産前にはオス以上に気性が荒くなり、ワニを真っ二つに食いちぎったという話もあります。

 

アフリカでは野生動物の被害で最も多いのがカバと言われています。

年間で2900人もの人がカバに殺されているのだとか。そのほとんどが、縄張り内に誤って入ってしまった時だそうで、普段、動物園のカバを見ている私たちにとっては想像しにくい現実です。

カバと人間の関係

カバの牙は象牙の代わりとして、工芸品やハンコの材料として使われています。

動物園では水中を歩くカバの様子がわかるよう、面白い展示をしているところも多く、子供たちの人気を集めています。

絵本のキャラクターになったり、マスコットになったりと、カバの存在は私たちにとってとても身近なものです。

カバのまとめ

カバはアフリカのサハラ砂漠以南に生息している。

草食動物だが、時に動物の死体を食べることや、生きている哺乳類を捕食することもある。

 

おっとりした印象の強いカバだが、野生のカバは縄張り争いになるとオス同士が激しく戦い、時には一方のカバが死ぬこともある。

メスのカバも出産前には獰猛になり、ワニをかみ殺した例もある。

日本では動物園の展示やマスコットなどで人気がある。

(ライター ナオ)