水族館で暗闇の中にライトアップされたクラゲの姿に癒されたことのある人は多いはず。

実は今回ご紹介するミズクラゲには毒があって・・・。

やっぱり美しいものには何か一癖あるようです。

ミズクラゲの生態

ミズクラゲは鉢虫網旗口クラゲ目ミズクラゲ科に分類される生物です。

北緯70度から南緯40度の世界中の海に生息しています。

日本海で最も一般的にみられるクラゲで、傘の中には胃腔と生殖腺が4つあり、まるで四葉のクローバー。

このことからヨツメクラゲと呼ばれることもあるようです。

 

体長は15~30㎝ほどで縁辺部に中空の細く短い触手が一列に無数に並んでいます。

刺胞はありますが、人間がひどい痛みを感じるほどではありません。

 

海水を遊泳している時に頬などの柔らかいところに当たると痛みを感じることがある程度です。

毒性はハブクラゲの4分の1ほどと言われています。

 

ちなみにハブクラゲに刺されると、激痛が走り、ミミズ腫れになり、その痛みは1週間続くこともあるのだそう。

雌雄同体で繁殖力が強く、幼体にはそれぞれの段階で名前がついています。

 

段階的にプラヌラ、ポリプ、ヌトロビラ、エフィラ、稚クラゲ、成体となりますが、一部の地域ではプラヌラから一気にエフィラに成長する現象がみられるそうです。

遊泳することはあまり得意ではなく、浮遊していることが多いのですが、動物性プランクトンを食べるためや、循環機能を働かせるための運動として遊泳します。

 

傘を開閉することによって海水がろ過され、触手にプランクトンがつき、それらのプランクトンは触手の刺胞によって麻痺したところを捕食するという仕組みです。

傘の縁には光の明暗を感じる眼点があり、バランスをとるための平衡器を備えた感覚器もあります。

この平衡器のあるおかげで、クラゲはひっくり返らずフワフワと浮いていられるのです。

ミズクラゲと人間の関係

ミズクラゲはしばしば日本海沿岸で大発生します。

漁網を破損したり、発電所の取水口に詰まったりして発電停止になったりといった被害が報告されています。

 

しかし一方、研究分野では繁殖力の強さから様々な実験などに使われるなど、損益は五分五分。

透明で優雅に浮遊するクラゲの様子はきれいにライトアップされ、水族館などでも人気の展示です。

 

東海大学のグループの研究ではミズクラゲのコラーゲンはブタやウシに比べて再生効果が高いことがわかり、低コストでもあるため、商品化に期待が寄せられています。

また、昨年は一度死んだクラゲの細胞から、ポリプが発生したという報告もあり、今後のがん細胞の研究などに役立てられそうです。

ミズクラゲの飼育

綺麗でどこか幻想的な雰囲気を持つクラゲを部屋のインテリアとして、置いている人も多いのですが、

ミズクラゲの飼育には専用の水槽やろ過装置が必要のようです。

 

一般的な水槽やろ過装置ではろ過装置に詰まったりしてすぐに死んでしまいますので、長く飼育するのは簡単ではありません。

世界で初めてミズクラゲの飼育に成功したのは日本の江の島水族館なのだそう。

 

江の島水族館には現在、60年の飼育経験を生かしたクラゲファンタジーホールというスペースを設けられていて、球形の水槽での展示や珍しいクラゲの展示などでクラゲたちを盛り上げています。

ミズクラゲのまとめ

ミズクラゲは日本海に一般的にいるクラゲ。

世界中の広い範囲に生息している。

 

ミズクラゲの棘はそれほど強くなく、刺されてもちょっと痛みを感じる程度。

ミズクラゲの毒瀬はほとんどなく、ハブクラゲの4分の1程度。

 

日本沿岸で大発生し、漁網を破損したり、発電所の取水口に詰まって発電が停止することもしばしば起こる。

ミズクラゲの飼育は難しい。

水族館などでは暗い場所にライトアップされるなどして、綺麗に展示してある。

(ライター ナオ)

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