大きなカタツムリ、アフリカマイマイ。

馴染みのあるカタツムリの仲間だが、実は危険がいっぱいの生き物だった!!

アフリカマイマイの生態

アフリカマイマイは東アフリカ原産の世界最大の陸産巻貝です。

殻高は20㎝近くにもなり、殻の色は食性によって多少の違いはありますが茶褐色です。

食性は雑食で、植物はもちろん、昆虫や同じアフリカマイマイの死骸も共食いします。

殻を形成する時に必要となるカルシウムやミネラルは泥や土を食べることによって補い、時にはコンクリートまで食べることもあるのだとか。

 

夜行性で、普通のカタツムリのイメージとは異なり、移動速度も速く、一晩で50mほど移動することもあるそうです。

雌雄同体で産卵期には2匹が交尾をし、両方ともが産卵します。精子は2年ほど保存が可能で、10日周期で産卵し、一回の産卵戸数は100~1000個ほど。

 

とにかく繁殖力は並外れていて、1年で成貝になり、寿命は3~5年です。

もともと東アフリカの乾燥地帯原産なので、乾燥には強く、仮死状態で半年は生きられますが、低温には弱いようです。

日本のアフリカマイマイ

日本には1932年にシンガポールから台湾を経て輸入されました。

当時は食用として輸入され、戦後の食糧難の時代の貴重なたんぱく質として重宝されたのですが、もともと日本人に陸生の貝を食べる習慣がなかったことも手伝い、徐々に放置されるようになりました。

 

その後、持ち前の繁殖力で一気にその数を増やし、現在に至っているというわけ。

アフリカマイマイは雑食ですから、農作物などにも甚大な被害を与えます。

また、あまりにも数が増えた時には道路いっぱいにアフリカマイマイがいたこともあるのだとか・・・・・

そこで今度は駆除に乗り出しました。

 

ナメクジ用の防除剤や肉食性のカタツムリ、ヤマヒタチオビを使った大規模な駆除が各地で行われるようになると、1985年頃から徐々にその数は減少したようです。

しかし、今度は二次被害が!!肉食であるヤマヒタチオビは大きなアフリカマイマイには手を出さず、小さくて食べやすい貝類を捕食し始めまたのです。

 

このことは島などの閉鎖された空間の固有種においては致命的。アフリカマイマイがいなくなるどころか、固有種が絶滅した例も数多かったようなのです。

現在日本では奄美大島が北限と言われていますが、2007年には鹿児島県での目撃例があり、近年はもしかしたら、もっと上昇しているかもしれません。

アフリカマイマイの危険性

中国や台湾などでは今でも養殖され、輸出までしているアフリカマイマイ。

ヨーロッパではエスカルゴの代わりにアフリカマイマイを代用することもあるそうです。

 

安めのエスカルゴの缶詰などの中身は、アフリカマイマイだという話もあります。

でも、ちょっと待ってください!!

 

アフリカマイマイには広東住血線虫という怖~~い寄生虫がついている可能性があるんです。

この寄生虫は体長が22~23㎜程度の線虫で、ナメクジやカタツムリを中間宿主とし、最終宿主をドブネズミやネズミにする寄生虫。

 

人が感染すると髄膜炎になり、激しい頭痛や麻痺、昏睡症状が表れ、ひどい時には死に至るとこともあります。実際沖縄では死亡事故も起きています。

特に死んだアフリカマイマイに寄生するのですが、生きているからと言って安心も出来ません。

 

アフリカマイマイの這った跡に触ったり、アフリカマイマイの這った野菜を生のまま食べるということはとても危険です。

素手でアフリカマイマイに決して触らないことと、生野菜などは綺麗に洗ってから食べることが重要です。

しっかりと熱を通してしまえば心配はないようです。

アフリカマイマイのまとめ

アフリカマイマイは世界最大級の陸棲巻貝。

日本にはもともと食用として輸入され、のちに野生化して定着している外来種。

 

アフリカマイマイには広東住血線虫という寄生虫がつくことがあり、人間が感染すると命に係わることもあるので注意が必要。

感染しないためには、素手でアフリカマイマイに触らないことと、生野菜は綺麗に洗って食べること、加熱すること!

(ライター ナオ)

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