海には不思議な生き物がたくさん住んでいます。

今回はその中から「タコブネ」という生き物について紹介していきたいと思います。

 

「タコなの?タコじゃないの?」「どんな生き物か想像もつかない」など、名前を聞いただけで様々な疑問が出てきますよね。

一体、どんな生き物だと思いますか?

タコブネの生態

タコブネは、貝殻を持ったタコの仲間です。

頭の部分が貝殻の中に入っていて、見た目はアンモナイトやオウムガイといった生き物に似ていますね。

この貝殻はヤドカリのように何か他の生き物の貝殻を使っているのではなく、タコブネが自身で作り出したもの。

腕から貝殻の基となる物質を分泌して作っていくのです。

 

似たような形態であるカタツムリは、殻と体が一体化していて本体を引っ張り出すと中身の内臓まで一緒に出てきてしまいますよね。

確実に死んでしまいます…。

 

しかしタコブネは殻と体は全くの別物なので、殻を取ったからといって死ぬことはありません。

太平洋や日本海の温暖域に分布しており、主に海の表層で浮遊生活をしています。

 

なんとなく、見た目から深海の生き物というイメージがあったのですが、違うんですね。

名前の由来は「フネ(貝殻)に乗っているタコ」というところから。

 

「フネダコ」と呼ばれることもあるそうです。(どっちか言うと、こっちのほうがしっくりきますね。)

体長は7~8cmほどですが、これはメスの場合。

 

オスはなんとその20分の1ほどの大きさしかないのです。

メスが8cmとしても、20分の1と言ったらたったの4mm…。

 
しかもオスは貝殻を作らないそうなので、同じ種の生き物には見えません。

小さすぎるせいか、いまだに自然に泳いでいるオスを発見した例はないそうです。

 

オスはメスに寄生して暮らし、生殖時には生殖腕と呼ばれる腕をメスの体内に挿入(この腕の中に精嚢がある)、挿入後はその腕を切断します。

自ら切断するのか、切断されるのかははっきりとはわかりませんが、どちらにしろなんだか少し哀れ…。

 

メスは受精後、貝殻の中に卵を産み付けて守ります。

メスにしか貝殻がないのはこのためだったんですね。

 

タコブネはタコの仲間ですから、当然肉食で、小魚や甲殻類などを餌としています。

移動する際は、体内に取り込んだ海水を噴射して進むことも。

タコブネは食べられる?旬は?

奇妙な姿をしたタコブネですが、タコの仲間ですので食べることができます!

が、しかし…基本的には食用として流通はしないので、旬などの情報については出てきませんでした。

 

たまに漁網に引っかかる程度なので、お目にかかる機会がほとんどないのも原因でしょう。

食べたことがある人の話によると、味や食感は普通にタコらしいです。

 

もしもタコブネを手に入れられる機会があったら、食べてみてはいかがでしょう。

ものすごく貴重な体験ですよ!

貴重なのは貝殻

タコブネの貝殻は、コレクターに人気があります。

破損などの訳ありで安いものは数百円から、大きくて形が綺麗なものは数万円になることもあるそうです。

 

タコブネ自体を見つけて捕獲するのは難しいですが、海が荒れた日の翌日などは浜辺で貝殻が拾えることもあるようなので、探してみるのも楽しいかもしれませんね。

ネットオークションでも出品されていることがあるので、上手くいけばタコブネの貝殻で稼ぐことができるかも?

 

タコブネの貝殻は、普通の貝殻と違ってとても薄く壊れやすいので、綺麗な状態のものはかなりレアです。

取扱には気を付けてくださいね。

タコブネについてのまとめ

知れば知るほど、不思議で興味深い生き物でしたね。

元々タコやイカは貝類が進化した姿なんだそうです。

 

その証拠に、イカには「フネ」と呼ばれる硬い部分がありますよね。

それが貝殻の名残なんです。

なので、タコが貝殻を持っていてもなんら不思議ではないということです。

(ライター もんぷち)