「蛾」と言えば、茶色くてなんだかもっさりしている地味なやつ、というイメージが強いのではないでしょうか。
しかし蛾の中にも、まるで蝶のように鮮やかで美しいものもいるのです。
それが「オオミズアオ」。

 

名前からして、繊細で美しい姿を想像しちゃいますね。
今回はそんなオオミズアオについて、詳しく見ていきたいと思います。

オオミズアオってどんな蛾?

オオミズアオは国内では北海道から九州にかけて、広く生息している蛾です。
特徴は何と言ってもその美しい翅。

 

緑がかった薄い青白色の翅は、蛾と言われても信じられないくらい綺麗な色合いをしており、神秘的ですらあります。
かつては学名がギリシャ神話の月の女神「アルテミス」だったことからも、どのくらい美しいのかが伺えますね。

 

さらに大きさは翅を広げると8〜12cmにもなるので、迫力満点。
発生時期は5月と7〜8月の2回で、ここで生まれた卵は孵化したあと蛹となって越冬し、再び初夏から夏にかけて緑色の美しい姿を表すのです。

 

しかし「美人薄命」という言葉があるように、この美しい蛾の寿命は成虫になってから長くても2週間程度。
口が退化していて一切餌を食べないので、そう長くは生きられないのです。

 

ですので、もしオオミズアオを見つけてもできるだけ捕まえないようにしてあげてください。
短い寿命を狭いケースの中で何もせずに過ごすのは可哀そうすぎます…。

 

卵から成虫になるまでは約1年あるので、もし飼育したいのならば卵や幼虫から育てていき、成虫になった段階で野に放ってあげるのがベストではないでしょうか。
さすが大型の蛾だけあって、幼虫も体長7〜8cmとかなりの大物なので、見つけるのはそう難しくないかと思います。

 

見た目は緑色で完全に「青虫」という感じで、体には毛が生えていますが毒はないので安心してください。

また、よくオオミズアオは絶滅危惧種だと言われているのを目にしますが、実はそんなに絶滅の危機に瀕しているわけではありません。

 

日常で見かけることは少ないですが、いるところにはいます。
オオミズアオによく似ている「オナガミズアオ」という蛾は準絶滅危惧種に指定されているので、そちらと混同してしまっているのかもしれませんね。
幼虫はモミジ、サクラ、ウメ、ブナ科の木などの葉を食べるので、それらの木がある場所であれば例え都心のビル街でも見つけられる可能性があります。

見分けがつかない!オオミズアオとオナガミズアオ

名前からしてそっくりなオオミズアオとオナガミズアオですが、その姿もまた見分けがつかないほど似通っています。
色も形も大きさもほぼ同じで、むしろ違う蛾として扱われているのが不思議なほどです。
ただし、やはりよーく観察すれば細かなところで違うポイントが見えてきます。

 

まずは翅に注目してください。
オオミズアオは前翅の先端が丸みを帯びており、後翅の模様が楕円形です。
対してオナガミズアオは前翅の先端が角ばっており、後翅の模様が円形になっています。

 

また、それ以外で分かりやすいのは触角の色。
オオミズアオは黄色、オナガミズアオは緑色をしています。
ただしそれぞれに個体差もあるので、単体で見ただけで見分けるのはかなり難易度が高いかもしれませんね。
確実に見分けるには交尾器をみるしかないようです。

オオミズアオについてのまとめ

オオミズアオを見ていると、蛾という虫のイメージがガラリと変わりますね。
実際、オオミズアオの画像を見た人からは「可愛い」「美しすぎる」と人気を集めています。

 

もしかしたら見過ごしているだけで、私たちのすぐ近くにいるかもしれません。
初夏から夏にかけて、ちょっと意識してオオミズアオを探してみてはいかがでしょうか。

(ライター もんぷち)