両生類は英語でamphibiansといいます。

「amphi」は両方、水陸両用の意。ですが、二重人格という意味もあるそう。

 

心を奪われるほど美しい生物が毒をもっている。

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しかも猛毒。動きもゆっくりしており見た感じは罪のないつるりとしたカエルといった印象のフィロベテス・テリビリスには、特に相応しい気がします。

モウドクフキヤガエル

モウドクフキヤガエルこと、フィロベテス・テリビリスは、黄色いカエルです。

英名はgolden poison flog、湿度とカエルの皮膚のぬめりで黄金に見えることもありそうですね。

体は5㎝ほどですが、熱帯の湿度が高い濃い緑の中ではさぞかし目立つことでしょう。南米コロンビアなどの熱帯雨林地域に生息しています。

 

学名はphyllobates terribilsです。

名前に恐怖が入っています。

 

ヤドクガエル科のカエルの毒は、熱帯地方に住む現地の人々が吹矢の先に塗り使っていたということです。

 

それにしても、現地ではどのようにして安全にカエルから毒を抽出したのでしょうね。

そこには公にできない秘密があるのでしょうか。シャーロック・ホームズの『四つの署名』にもそんなシーンが出てきます。

現地人が小舟から毒を塗った吹矢をシュッと飛ばすのです。百発百中。おそろし矢~。

モウドクヤドクガエルの毒、バトラコトキシンとは何ぞや

モウドクヤドクガエルの毒は、バトラコトキシン(batrachotoxin)というものだそう。

これが聞きしに勝る猛毒なのです。

 

ギリシア語でBatrachosはカエル、toxine(トキシン)は毒の意味。

トキシンとは、生物由来の毒に使用される用語だそう。化学式はC31H42N2O6

 

神経毒性や心毒性を持つアルカロイド系の毒物です。

一億万が一摂取すれば神経は麻痺し、心臓は不全を起こし死に至る事が予想されます。

動物が持つ毒の中では、最強に恐ろしい毒と言われています。

強力な毒ゆえ採取に困難が伴い、また研究に注意を要するので、バトラコトキシンの構造決定には時間がかかったようです。

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一匹のモウドクフキヤガエルに

このバトラトコキシン1㎎でヒトは20人、象2頭の命を奪う事になるそう。

1㎎というと毒物の計り方にしては少々多いようですが、例えば体重が68㎏のヒトに対する致死量は0.17gだそうです。

 

そんなモウドクフキヤガエルですが、やはり飼育下では毒性は持たないようです。

とはいっても、肝心の毒をつくるメカニズムが解明されていないので、恐ろしい気はします。

毒と薬は紙一重、かもしれない

この猛烈な毒物を、医療に役立てようという研究がされています。バトラコトキシンから抽出した成分を使い、合成物質を作り強力な鎮痛剤をつくる研究だそう。

 

まるでモルヒネのようですね。

植物のケシからアヘンを取り出して、モルヒネという強力な鎮静・鎮痛剤を生成した人類の歴史。

モルヒネの発明は医療の歴史上、エポックメイキングな出来事です。

 

アヘンに関しては戦争まで起こりました。しかし案外、植物や動物から抽出されるような成分が、人類の役に立つという事例は珍しくもなくありそうな気がします。

どんなに科学が進歩しても、人間が一から作りだせないものはどの時代にも必ずある気がするのです。

 

シャーロック・ホームズは架空の人物ですが、アヘンを日常的に使用しており毒物の研究にも非常に熱心です。

現代に生きていたら、彼はバトラコトキシンの研究に興味津々かも知れません。いや、勝手に研究してたりして。

実は天敵がいるのだ

このようにテリブルなモウドクフキヤガエルですが、何と天敵とされる生き物がいます。

ノハラツヤヘビ属です。彼らは一体、どのようにモウドクヤドクガエルの毒に対する耐性を身につけたのか、謎は深まるばかりです。

テラ・インコグニタ、未知の領域

複雑で精密な生態系を織りなす生物の世界は、面白さが尽きることがないな、と思う一方で、まるでテラ・インコグニタのようにどんなに知ろうとしても知りえない領域が厳然として用意されている気がします。

(ライター:おもち)

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