エキノコックス症という名前を聞いたことがあるだろか。

潜伏期間が10~15年という、沈黙の病気。

北海道だけの地域的な病気として知られていたが、最近は本州の動物にも感染が報告されるようになっている、地味に怖い病気です。

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エキノコックスって?

エキノコックスには2種類あり、単包状虫と多包状虫にわけられます。

このうち、北海道にいるのは多包状虫の方で、小さな多包の袋の集塊が寄生する病気です。

エキノコックスは3段階の成長過程をたどり、その段階ごとに感染する対象が変わってきます。

虫卵の段階ではその大きさは0.03㎜程度ととても小さく、肉眼で確認することは不可能です。

幼卵は地面や水、植物、動植物の糞などを通して、野ネズミの口に入ります。野ネズミの体内で幼虫になり、その野ネズミを捕食した犬やキツネの体内に入ると、1か月ほどかけて成虫になり、その後1~4か月ほどかけて卵を産み続けます。

卵を産むと成虫は死んで、その体の一部や成虫そのもの、もしくは卵が便となって再び外界に放出されるというサイクルです。

エキノコックスの成虫の大きさは1.5~4.5㎜程です。

幼卵の段階では人や豚に偶然感染してしまう場合もあります。

この時にエキノコックスの幼卵は小腸で孵化し、その後肝臓や肺に移り、そこで幼虫になり、全身に転移していく可能性があるんです。

ヒトからヒトに移ったり、野ネズミからヒトに移るということはありません。

エキノコックスの発症例

北海道だけと考えられていた病気が近年では本州にも広がっていると先に書きましたが、実際には2005年に埼玉県の犬の便からエキノコックスの卵が見つかり、2014年には愛知県の犬からも見つかっています。

もともとエキノコックスは1937~1965年にかけて礼文島で島民8,200人のうち114人の感染が発覚したのが始まりで、その後1998年に北海道エキノコックス症対策協議会が発足した時には383人の感染者が報告されました。

近年でも北海道では毎年10~20人の感染者が報告されています。

エキノコックスの症状

エキノコックスは潜伏期間が10~15年ですから、自覚症状のないまま数年が過ぎることがほとんどです。

自覚できる症状としては上腹部の不快感、膨満感などを感じるようになり、症状が進むにつれ、肝機能障害に伴うだるさやひどい時には黄疸等の症状が現れます。

脳や肺に病巣が転移することもあり、こうなると重症で、意識障害や発作を起こすようになります。

症状が現れてから、そのまま放置しておくと5年後の死亡率は70%、10年後には94%にまでなるといわれています。

犬の場合の症状

北海道で飼育されている犬のうち、1%ほどがこのエキノコックスに感染していると言われていますが、実際に症状として表に現れてくるとしても、下痢のような便をするぐらいです。

このため、飼い犬がエキノコックスに感染していたとしても、飼い主がそのことに気付くのは極めて困難と言われています。

本州でもエキノコックスに感染した犬の例が報告されていて、2005年には埼玉県の犬の便から、また、2014年に愛知県でも同じく犬の便で見つかっています。

北海道から年間7000頭ほどの犬が本州へ移出していて、本州で人間の感染が報告されるのも時間の問題と言われています。

エキノコックス症の治療方法

成虫が寄生している犬の場合には薬が有効です。プラジクアンテルというくすりを飲ませることにようって、犬の症状は改善します。

しかし、人間の場合はそう簡単にはいきません。

感染した人間の体内にいるのは幼虫です。幼虫の場合は薬が効かないことが多いらしく、実際の処置方法としては、感染した部分を切除する以外に有効な手段はないようです。

他の臓器などへの感染を防ぐためにも、完全にきれいに感染部を切除することが必要になってくるので、本格的な外科の手術が必要ということになります。

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万が一脳などに感染してしまったら、その手術はとても大掛かりなものになってしまいます。

エキノコックスの感染を予防するには

そんな恐ろしいエキノコックスにはできるだけ感染しないようにしたい!というのは誰もが思っていることでしょう。

感染を予防するにはまず、野山に出かけて帰ってきた時にはきれいに手を洗うのが必須です。洋服についている泥などもきれいに落とすようにしましょう。

また、万が一キツネを見かけても、キツネに触れたり、エサを与えたりしてはいけません。もちろん、キツネのエサになるような残飯などもきれいに持ち帰ることが必要です。

野山の山菜や果実を食べる時はよく洗ってから食べるか、しっかりと熱を通してから食べる必要があります。

沢水や湧き水をそのまま飲むことは絶対にやめましょう。どうしても必要な場合は一度沸騰させてから利用するようにしましょう。

 

もちろん、犬を飼っている人は飼い犬についても予防が必要です。

犬と一緒に山に入る場合、犬が野ネズミなどを食べないように注意しましょう。

普段から放し飼いなどにしていて、犬の行動が見えないのは危険です。放し飼いはやめましょう。

散歩時などに落ちているものを犬が食べたり、口をつけたりすることもさせないようにしましょう。

散歩のときの糞便は必ず持ち帰りましょう。

犬を触った後は必ず手を洗うようにしましょう等々、基本的なことのように思いますが、エキノコックス予防にはこれが一番です。

エキノコックスの検査と予防薬

人間の場合、感染の心配がある方は保健センターなどで無料の血液検査を行うことができます。

しかし、エキノコックスが症状として現れた場合には、しっかりと病院で血清検査と画像検査の2種類を行う必要があります

包虫が成長しきっていなくて小さい場合にはどちらの検査でも見つからないこともありますので、その場合は野外でのキツネとの接触回数などに応じて、何度か検査することも必要になってきます。

 

飼い犬の予防としては、フィラリアなど、寄生虫の感染を抑える予防薬などを飲ませておくのも一つの手です。

万が一感染が疑われる場合には、動物病院で便を検査するとすぐにわかります。

もし、感染してしまった場合は感染後、20日以内に駆除の薬を投薬すれば、糞便として外に放出するのも防げるので、人間への感染リスクを抑えることができます。

感染から20日を過ぎてしまってからは、定期的な投薬が必要となってきます。感染の頻度に合わせて駆虫薬をどれくらい投薬する必要があるのか、獣医さんとの相談が必要です。

この薬は副作用などもなく、効果的なので定期的な投薬も十分可能な薬と言われていて、安心です。

エキノコックス症のまとめ

北海道のイメージキャラクターとして人気の高いキタキツネですが、やはり野生の動物との共生!?には一定のルールが必要になってくるということなのだと思います。

北海道の農業地帯などでは頻繁にキタキツネの姿を見ることがあり、札幌などの大きな都市でも中心部から外れるとその姿を見かけることがあります。

子供連れのキタキツネの姿はまるで映画の世界のようで、とても可愛らしいのですが、エキノコックスという病気のことを忘れてはいけないということは肝に銘じておかなければなりません。

容易に近づかない!(もちろん、野生のキタキツネは近づいたら大抵はすぐに逃げていきますが・・・)

野山の大自然を名いっぱい満喫した後は必ず手洗いを忘れないようにする!

基本的なことですが、これからの季節、野外に出かける機会が多くなれば尚更に、しっかりと対策したいものです。

(ライター ナオ)

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