みなさんはクジャクハゴロモと聞いて、どんな生き物を思い浮かべるでしょうか。

クジャクのように色鮮やかで美しい昆虫の姿を思い浮かべた方も多いかもしれませんが、実際のクジャクハゴロモの姿は180°異なっています。

今回は、そんなクジャクハゴロモの秘密をみなさんにご紹介していきます。

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クジャクハゴロモってどんな虫?

クジャクハゴロモは、カメムシ目ビワハゴロモ科に属します。

ビワハゴロモとは漢字で「琵琶羽衣」と表します。

 

思わず平安時代に思いを馳せてしまう、なんとも風情のある字面ですが、その多くは南米など熱帯地方に分布し、趣のある字面からは想像もつかないようなド派手で奇怪な姿をしています。

日本に古くから伝わる弦楽器「琵琶」に形が似ていることからその名が付けられたといわれています。

クジャクハゴロモは、そんなビワハゴロモ科の昆虫の中でも、特に奇怪な姿をしています。

クジャクハゴロモの姿

 

クジャクハゴロモはその名のとおり、雄のクジャクの羽のような長い尻尾を有します。

色味こそ地味ですが、まるで触手のように伸びた長い尻尾は凄まじい存在感を放っています。

緑色から茶色へのグラデーションが美しい半透明の翅と奇怪な尻尾との対比が、クジャクハゴロモの外見の異様さをことさら際立てているといえます。

不気味な尻尾の正体

クジャクハゴロモは英語で「Wax-tail Hopper」または「Wax-tailed Planthopper」と呼ばれます。

どちらもほとんど同じ意味で、直訳すると「蝋の尻尾をした跳ぶ虫」となります。

 

このことからわかるように、クジャクハゴロモの尻尾の正体は、なんと蝋(ワックス)だったのです。

体から分泌された蝋がお尻で固まり、まるで触手のように長く伸びていきます。

その長さは体長の2倍以上にも及ぶことがあるそうです。

 

蝋でできた尻尾は非常にもろく、外敵から襲われたときに容易に切り離すことが可能です。

トカゲの尻尾のように外敵を欺くため、そして体を大きく見せて外敵に襲われにくくするために、このような奇怪な尻尾をもつに至ったのではないかと考えられています。

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その他にも、尻尾の表面が羽毛のように毛羽立っていることから、跳ぶときに浮力を得るためという説や、周囲の景色に溶け込んで擬態するためという説、落下した際のクッションだという説もあり、実際のところはよくわかっていません。

 

また、雌のクジャクハゴロモはこの尻尾で孵化する前の卵を守ります。

トカゲの尻尾と同じように、何度体から切り離してもまた再生することができます。

一見邪魔なようにも思える長い尻尾は、わたしたちが考える以上に万能なようです。

クジャクハゴロモの生態

前述したように、クジャクハゴロモはカメムシ目ビワハゴロモ科に属しています。

カメムシ目には、カメムシの他にタガメやアメンボ、ウンカやアブラムシなどが属しており、特にセミやツノゼミの仲間はクジャクハゴロモの遠い親戚といえます。

 

クジャクハゴロモは、メキシコ合衆国やコスタリカ共和国などの中南米の森林地帯に生息しています。

セミと同じように長く発達した口吻で樹液を吸います。

樹液には炭水化物などの栄養分が豊富に含まれているため、クジャクハゴロモは樹液に含まれる栄養分を基にして蝋を分泌します。

クジャクハゴロモと人間との関わり

クジャクハゴロモは森林地帯に生息し、また個体数もそれほど多くないため、人間との関わりはほとんどありません。

しかし、その奇怪な姿と特殊な生態は写真家や研究者の興味を強く惹きつけ、被写体そして研究対象として多くの注目を浴びています。

 

クジャクハゴロモの生態をみなさんにご紹介いたしましたが、まだまだ多くの謎に包まれています。

このまま研究が進んでいけば、いつの日か「異様な尻尾」の真の目的が解明される日が来るかもしれません。

クジャクハゴロモのように尻尾を長くして、そのときが来るのを待ちましょう。

(ライター:國谷正明)

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