ハサミムシを見たことのある方は多いと思いますが、その実態はあまり知られていません。

今回は、嫌われ者になりがちなハサミムシの実態を、みなさんにご紹介していきます。

ハサミムシってどんな虫?

ハサミムシは、ハサミムシ目に属する昆虫類の総称です。

名前のとおりお尻には開閉可能なハサミがついており、爬虫類や鳥類などの天敵からこのハサミで身を守ります。

このハサミは雌雄両方に備わっていますが、メスのハサミが直線状に伸びているのに対して、オスのハサミは大きく反り曲がっているので、雌雄の判別は比較的容易です。

ハサミムシの生態

ハサミムシは日本全国の至るところに生息している身近な生き物です。

成虫の体長は1.5~3.0cmと比較的小ぶりで、4~10月にかけて目にすることができます。

ハサミムシの多くは夜行性で、昼間は岩やブロックなどの物陰にひっそりと隠れていることが多いです。

ハサミムシは肉食性が強い雑食で、小型の昆虫類を捕食しますが、植物を食べることもあります。

 

ハサミムシの種類

ヒゲジロハサミムシは、わたしたちにとって最も身近なハサミムシの一種で、北海道を除いた全国各地に分布しています。乳白色の脚が特徴的です。

 

ハマベハサミムシは、世界中に広く分布しています。その名のとおり、浜辺などの湿った環境に好んで生息しており、淡黄色の脚が特徴的です。

コブハサミムシは、沖縄以南を除く日本全国に分布しています。母卵から孵った仔虫に母親が自分の体を食べさせるという変わった習性があります。

 

ハサミムシって害虫なの?

ムカデのような細長い体型とゴキブリを思わせる茶褐色の体色から忌み嫌われることも多いハサミムシですが、結論からいうとハサミムシは害虫ではありません。

前述したようにハサミムシは肉食性が強いため、他の虫たちを積極的に捕食します。

ハサミムシが生息する環境では結果的に虫の数が少なくなることから、むしろ益虫だといわれることもあります。

ハサミムシのハサミには毒がある?

ハサミムシが毒を持っていると思っている方も多いそうですが、実際には無毒です。

ハサミムシに挟まれた指が腫れてしまったという報告を時折り耳にしますが、それは傷口から侵入した雑菌が引き起こした炎症である可能性が高いでしょう。

 

また、肉食性の昆虫にしては珍しくおとなしい性質の持ち主で、自ら危害を加えてくるようなことはほとんどありません。

上記のように、ハサミムシに指を挟まれてしまうという事故も、人間に期限を加えられたハサミムシが身を守るため反撃に転じたものだと考えられます。

ハサミムシの飼育法

ハサミムシは人間の住環境にも生息しています。

庭や公園に転がっている石やブロックをひっくり返してみると、高い確率でハサミムシを発見することができます。

ハサミムシを採取したら、植木鉢の破片や落ち葉など隠れ家となるものと一緒に、土を敷き詰めた飼育容器に入れてください。

特に、落ち葉はハサミムシの非常食にもなるのでおすすめです。

脱走を防ぐため、飼育容器は必ず蓋の付いているものを使用します。

飼育容器は風通しが良く直射日光の当たらない場所に置いておくと良いでしょう。

蒸れはハサミムシが死亡する原因にもなりますので、床砂が乾燥してきたら適宜霧吹きをかけるようにしてください。

霧吹きのやりすぎは厳禁です。

 

餌には、イモムシやダンゴムシなど、ハサミムシの生息域で捕獲した小型の昆虫類を与えます。

餌となる昆虫類を常備することが難しいという場合には、ペットショップで爬虫類などの餌用に販売されている、幼齢のコオロギやミールワームなどを購入すると良いでしょう。

害虫のイメージが強かったハサミムシも、その実態を知れば、とても魅力的な生き物だということがわかります。

みなさんもこの機会に、ハサミムシの魅力を見つめ直してみては如何でしょうか。

(ライター:國谷正明)

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