タテハチョウ科に分類される多くのチョウは多くが大型種で、翅に特徴的な模様が入っています。

その模様や色合いには黄色や赤色といった明るいものから黒色、褐色のような暗い色であること、そしてそれらの組み合わせによってカラフルな見た目をしたチョウまでいます。

 

しかしタテハチョウ科にも数千単位にも及ぶ種が属しています。

中にはとても似た模様をしたものもいます。

日本でよく見かけるホシミスジにも翅の模様が似ており判別がつきにくい近縁種がいます。

ホシミスジの模様

ホシミスジは成虫で2センチ強の大きさになり、これはタテハチョウ科の中ではやや小さめの部類に入ります。

翅には白い斑点が帯のように並んでおりその帯が3本入っているのが特徴です。

 

また、ホシミスジの名前の由来にもなった黒い斑点が翅の裏側に付いています。

ホシミスジはあまり翅を閉じてくれないためなかなかこの黒い斑点を見ることはできませんが、そもそもホシミスジ自体珍しい種ではないので何匹か観察していればその姿を確認することができるでしょう。

食性と生息地

ホシミスジを簡単に見つけることが出来る理由は、幼虫期の食性がコデマリやユキヤナギといった園芸植物を好むことに関係しており、ユキヤナギなどは公園や道路沿いに植えられることが多いためです。

 

この他カエデやシモツケもホシミスジの幼虫が食草として食べています。

ホシミスジの成虫は幼虫が食べ物に困らないようこれらの葉に産み落とします。

 

ユキヤナギが市街地や住宅地で多く利用されているのには、あまり手をかけなくても元気に育ってくれる性質を持っているからです。

こうした面で人工的に植える植物としては優秀ですが山地などで自生しているものはやや性質が異なり一部の地域では絶滅の危惧もされています。

ホシミスジの生息地は食草の分布に大きく依存し、日本では北海道以外のほとんどの地域、中国などの近隣国でもホシミスジが生息しています。

近縁種との共通点

白い斑点が並ぶ翅の模様を持っている近縁種としてコミスジやミスジチョウがいます。

ぱっと見では違いがほとんど確認できないほどこれらの種は似ています。

 

さらに滑空するような、特徴的な飛び方をするのも共通しています。

飛び始めに数回羽ばたきその後数秒間翅を開いたまま滑空することができます。

他の多くのチョウがパタパタと翅を羽ばたかせて飛んでいるのと比較すれば違いが分かりやすいです。

ホシミスジの見分け方

最も判別のつきやすいポイントは翅の裏にあります。

星のように散りばめられた黒い斑点はホシミスジに特有の模様でコミスジなどには存在しません。

 

詳しくは後翅裏の付け根付近になります。

しかしすでに説明した通りコミスジは花に止まった時も翅を開いたままであることが多いので黒い斑点は見にくいです。

 

そこで、やや難易度が上がりますが、翅の表側の白い斑点で判別をしてみます。

写真を撮るなどしてよく見る必要があるかもしれませんが、ホシミスジの最前列に並ぶ斑点の帯はやや細切れになっているのが見えます。

 

一方でコミスジはこの部分の帯が横に伸びており斑点状にはなっていません。

ミスジチョウに関しても同様です。

ホシミスジの前列に並ぶ斑点と裏側の模様によって見分けが可能

以上のことをまとめるとホシミスジの判別法としては主に2つです。

1つは翅の裏側を見ることで、黒い斑点があればホシミスジです。

 

もう1つは翅の前面に帯状に連なった白い斑点が不連続であればホシミスジであるということです。

近縁種のコミスジとミスジチョウでは長く伸びた模様になっていることとの違いに注意深く観察する必要があります。

これらは親戚のようなものなので生態もよく似ており模様での判別が一般的になります。

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