トックリバチというハチを見たことがありますか?

ちょっと変わった芸術的な巣をつくるハチ。

今回はそんなトックリバチについて詳しくお話していきます。

トックリバチの特徴

トックリバチはミカドトックリバチともいい、スズメバチ科に分類される体長10~15㎜程のハチ。

黒色でやや光沢があり、胸部は細長く、体のところどころに黄色い細線があります。

胸部には1対の小さな黄色紋があり、泥でトックリのような形をしたつぼ状の巣をつくることから名前がついたとされています。

トックリバチの種類は全部で15種類。キアシトックリバチやサムライトックリバチ、キボシトックリバチ、ムモントックリバチ等がいます。

トックリバチは枯死が細くくびれていて針が強調され、いかにも攻撃的に見えますが人を刺すことはほとんどない大人しいハチです。

トックリバチの生態

スズメバチ科でありながら、生態的にはジガバチやベッコウバチなどと並んで狩人バチと位置付けられます。

幼虫の食料の為に獲物を生きたまま麻酔針で捕らえ、巣に貯蔵して産卵するという生態が狩人バチの特徴で、トックリバチはそのような生態を持っているということ。

 

トックリバチの巣は、比較的小型で、見た目はただの土くれのようですが中心に穴が開いていて、その周辺が襟のように突出しています。

トックリバチの中でも完璧な巣をつくると言われているのはキアシトックリバチで、直径1.5㎝程の、まるで陶芸家がろくろを回したかのような精密な巣をつくります。

 

材料は自らの唾液と摂ってきた土。唾液に含まれる高タンパク質が人間の住協の外壁の漆喰のような役割を果たして丈夫な巣が出来上がります。

更なる工夫として、敢えて乾燥した土を選び、それに唾液をたっぷりと混ぜることで強度を高くしているということ。

産卵される卵はひとつで、巣の大きさは自分の体長に合わせて作られます。このような巣は気に入った場所が見つかるとあちこちに作られていきます。

 

エサはヨトウムシ、メイガの幼虫などで、様々な種類のイモムシを捕らえ、巣がいっぱいになるまで巣に押し込みます。

ぎゅうぎゅうに押し込んだ巣の徳利の天井に卵を産み付け、入り口を泥で固め、ふたをして完成させます。

 

トックリバチは孵化後この幼虫を食べて成長し、孵化後に入り口の蓋を破って外に出てきます。

母バチは産卵後、幼虫の世話をすることはありません。

トックリバチの天敵

トックリバチの天敵はドロバチヤドリニクバエというハエで日本、台湾、旧北区、北米、アルジェリアに分布しています。

ドロバチヤドリニクバエはドロバチの幼虫が育つ小部屋の中に幼虫の入った卵を産み付け、幼虫は母トックリバチが自分の子孫を残すために集めたイモムシを横取りして食べてしまいます。この寄生を労働寄生というのだそうです。

 

多くのニクバエの種類は動物の死体などに卵を積みつけ、すぐに孵化した幼虫はそこで発育します。

肉の中で5~10日間過ごした後は土にもぐり、成虫になります。

トックリバチの巣の駆除

トックリバチは人に危害を加えるハチではありませんし、益虫の側面が強いので、蜂の巣だからといって駆除しなければ危険ということはありません。

母バチは巣をつくればその場から立ち去りますので、ずっと同じハチがウロウロとしているということもありません。

 

ただ、どうしても気になるという人は巣を駆除すると、諦めて他の場所で営巣活動をするようです。

余り知らないトックリバチの世界。思わずクスッと笑ってしまうような巣をつくるトックリバチが愛嬌たっぷりに見えてきます。

 

ハチの世界は本当に奥深く、広いものです。

古くから人間とのかかわりが深いのも何となく納得です。

(ライター ナオ)