コミスジは小さな蝶です。

飛んでいても見逃しそうなどちらかというと目立たない蝶です。

どのような蝶なのでしょうか。

コミスジやコミスジの産卵について

コミスジはタテハチョウ科イチモンジチョウ亜科の蝶です。

北海道から九州までの本州地方に分布し、公園や林縁部など森林以外のところでも見かける蝶です。

 

幼虫時代にはマメ科のクズやニセアカシア、ハギ、フジなどの葉を食べるので、コミスジの卵はマメ科の植物の枝や葉などに産卵される事が多いようです。

コミスジのメスは産卵場所に葉の表の先端という実に目立つ場所を選びます。

 

卵は薄い黄緑色で葉と同じような色です。

大きさは0.75mm~0.96mmほどです。

 

よく見ると網目模様のようなものがあります。

産卵は夏から秋にかけて行われ、コミスジの幼虫の生態には特徴があります。

コミスジの幼虫の姿や蛹化に至るまで

コミスジの幼虫は孵化すると、葉でカーテン付きの巣のようなものをこしらえます。

マメ科の植物の緑色の葉の先から枯れた葉のような物体が垂れているのを見た事があるでしょうか?

 

あれを作るのがコミスジの幼虫です。

コミスジの幼虫は葉の周りから齧って食べ進み葉の中脈を残し、枯葉色になった葉にぶら下がります。

 

コミスジの幼虫は黒いのですが、こうすれば姿を紛らわせる事ができます。

コミスジの幼虫は体が大きくなると、枯葉に包まれた姿になり、他の葉も食べるようです。

 

体長は終齢になると28mmほどだそうです。コミスジの幼虫は終齢幼虫で越冬します。

コミスジの幼虫はこのようにして育ちますが、その姿も形容するに困るような姿です。

 

ボロボロの茶色のスウェードブーツをさらにボロボロにした感じでもあり、既に蛹のような形にも見えます。

ハギの葉などにくるまるようにして越冬するようです。越冬から覚めると蛹になります。

 

蝶の蛹にも様々な形態があります。

コミスジの蛹はぶら下がり式の垂蛹(すいよう)です。

 

タテハチョウ科の特徴でもある、突起のある頭を下にして樹の枝にぶら下がります。

もともと葉のような姿になっているので、コミスジの蛹化は冬が過ぎるとすぐです。

 

蛹になるのはだいたい明け方などです。

茶色の幼虫がしばらく動かなくなり、ごそごそと茶系の皮を脱ぎ、蛹化します。

 

コミスジの蛹の色は初期はクリーム色のように見えますが、徐々に金色になります。

羽化が近づくと、中にいるコミスジの姿が透けて見るようになります。

蛹が金色で突起がある事もコミスジの蛹の特徴です。

コミスジの羽化

コミスジの金色の蛹はやがて濃い黒になり、縦に割れます。

頭を下にしているので、蝶の特徴である複眼に口吻や触角なども見えてきます。

 

姿が黒く突起があるので蛹時代の黄金色とは打って変わってぶら下がった黒猫のような姿です。

やがて触角が出てきて黒に白い模様のコミスジが出てきます。

コミスジの見分け方や外見の特徴

コミスジは翅を広げ丈の低い葉にとまっている事も多くあり、見つける事ができれば観察しやすい蝶です。

コミスジの成体は春から秋にかけて見られます。

 

本州だと5月~10月頃までです。蝶は近づくとすぐ逃げてしまいますが、こちらが大人しくしていれば大丈夫です。

コミスジの前翅には3つの白い線があります。標準和名の由来でもある3本線です。

 

前翅の長さは約22mm~30mm、開張時は45mm~55mmほどです。

オスとメスが分かりにくいのも特徴です。止まっていると、左右のラインがつながっているようにも見えます。

 

翅の裏側は濃い茶色に白いスジが入る事が多いようです。胴体は黒です。

天気の良い日中なら日差しによってコミスジの頭部が虹色に光るのを見る事もできます。

構造色です。頭部にある1対の眼も印象的で白に黒の偽瞳孔が確認できます。

コミスジの飛び方や好む蜜

蝶の成体はいずれも独自の飛び方があるようです。

コミスジの飛び方の特徴はですーっと低いところを飛ぶ事です。

 

滑空するようで、あまりふらふらとは飛びません。

ちょっと羽ばたくと滑空するような感じです。

この様子は人によっては優雅なダンスの様に見えるそうです。

 

蝶の飛び方というと浮遊したり、羽ばたきを繰り返す種もいますが、コミスジはそういう飛び方ではないようです。

コミスジのオスには縄張りがあり、それを見張っているのではないかとも言われています。

 

飛翔する姿でも判別できそうです。

また、コミスジはシシウドやクリなどの蜜を餌としますが、人間の汗にも反応すると言われる事もあります。

 

クリの蜜を好む蝶は意外にも多く、白く垂れた花のようなものに様々な種の蝶が止まる光景を見た事があるという方もいるかも知れません。

一般に栗の花の匂いというと微妙な匂いな気がしますが、蝶にとっては好ましいものでありコミスジもその例外ではないようです。

コミスジの見分け方

コミスジの成体は5月~10月頃まで林縁部や公園などで見る事ができます。

わりと低いところをすーっと飛ぶ事が多いのも特徴です。

体は小ぶりですがこのような飛び方をする蝶はあまり多くない気がしますし、ひらひらしない黒く小さい蝶はコミスジの可能性が高そうです。

(ライター:おもち)