マメハンミョウという昆虫を見たことがありますか?

一見毒など持っていなさそうに見えるいたって普通の昆虫ですが、実は結構な毒の持ち主。

体液に触れると厄介なマメハンミョウについて詳しくお話します。

マメハンミョウの特徴

マメハンミョウは鞘翅目ツチハンミョウ科に分類される体長12~17㎜程度の昆虫で本州、四国、九州に分布しています。

全体的に光沢のない黒色で菅、頭部の大部分は光沢のある赤色で前胸背の中央縦条は灰白色で、上翅の縦条は寒地のものでは退化していることも多いのが特徴です。

 

東部は頬部が強く張り出し、前胸は小さく、前方に狭まり頸状になります。

上翅は細長く、両側縁はほぼ平行です。

マメハンミョウの生態

幼虫は過変態を行います。

過変態とはツチハンミョウ科のツチハンミョウにも見られる現象で、幼虫の時期に形態や機能の異なる複数の段階があることを言います。

 

マメハンミョウの幼虫は春から初夏に孵化して土から出てきます。

1齢幼虫は扁平な紡錘形の体を持ち、湾曲した大きな大顎と、よく発達した歩脚を持ち、その先端には爪が良く発達し、更にその脇の剛毛も爪状になって一見3本の爪を持つように見えます。

 

この段階でイナゴなどの背中に乗り、よく発達した大顎と爪でイナゴにしがみついてイナゴと共に移動します。

イナゴが産卵を終えると卵塊を食べて2齢となります。

 

その後はシロツメグサやヨメナ等幅広い食性で成長しますが、農作物では大豆やジャガイモ、ナス、人参の葉を食べることも知られ、特に大豆栽培では大害虫として知られています。

 

戦後、大量に農薬を使うことによって水田のイナゴが激減したことに伴い、マメハンミョウの生息数も減ったと言われていましたが、最近になり農薬の種類が変わりイナゴが復活したことに伴いマメハンミョウの数も増えていると言われています。

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マメハンミョウの毒

マメハンミョウは体内にカンタリジンという毒を持っています。

カンタリジンは斑猫粉ともいわれ、斑猫粉はトリカブトと共に毒薬として利用された歴史があります。成虫4~10頭くらいで致死量に達します。

 

日本では夜間に灯火に飛来するアオカミキリモドキによって皮膚に水疱を生じることが多いとされています。

漢方薬としてはイボ取りやごく少量の服用で利尿材、媚薬などの効果があるとされます。

体内に毒を持っているので、誤ってマメハンミョウを潰してしまうと皮膚がただれるので注意が必要です。

毒成分カンタリジンとは

カンタリジンは昇華性がある結晶で水にはほとんど溶けません。皮膚に付くと痛みを感じ、水疱を生じるのが特徴でツチハンミョウ類、ジョウカイボン類、カミキリモドキ類、アリモドキ類、ハネカクシ類などの甲虫類が分泌する体液に含まれています。

 

ヨーロッパに分布しているツチハンミョウ科のスパニッシュフライ、ジョウカイボンかのカンタリス・ウェシカトリアも保有しています。

カンタリジンを含むカンタリスは古くから難病を治すことに使われていました。

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皮膚外用によって水疱が出来、炎症や神経痛の治療、イボ取りなどに用いられ、内服では尿失禁や膀胱炎の治療などにも用いられています。

かつて乾燥下虫の粉を暗殺用の毒薬や媚薬として用いたり、発毛剤としても使われていました。

適量を用いると中毒を起こし、10㎎以上摂取すると脂肪するとされています。高度の中毒では2~3時間以内に、中等度では1週間以内に死亡するとされるほどの猛毒です。

毒液を出す虫たち

体に有毒物質を含む昆虫は他にもたくさんいますが、カンタリジンの他にはベデリンという化学物質がカンタリジンと同じように皮膚炎や眼の炎症を起こします。

また、ヤスデ類は生産を含んだ体液を分泌し、皮膚炎の他中毒事故を起こす例もあるので注意が必要です。

(ライター ナオ)

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