ヤマカガシはヘビの日本代表メンバー

ヤマカガシは、アオダイショウ、シマヘビと並んで、日本じゅういたるところで見かけることのできる、ごく普通のヘビだといえます。

漢字で書くと「山楝蛇」または「赤楝蛇」です。

「カガシ(楝蛇)」とは、ヘビの古語ですから、「山にいる(赤い)ヘビ」というごく単純な名称であると考えてよいと思います。

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日本国内では、北海道、南西諸島および小笠原諸島以外のほぼ全域に生息する、日本固有種でもあります。ただし、朝鮮半島や中国などにはごく近縁の種が生息しています。

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ヤマカガシは例外的に毒を持つ!

ヤマカガシは、有鱗目ヘビ亜目ナミヘビ下目ユウダ科ヤマカガシ属に分類されます。

ユウダ科は30属220種が属する分類法で、かつてはユウダ亜科としてナミヘビ科に属していたようです。

まあ、専門的な話は置いておいて、ユウダ科に属する種にはその7割が「デュベルノワ(デュベルノイ)腺」という耳腺(ヒトでいう耳下腺)に相当する器官を持ち、ここから毒を分泌します。

ただし人命に関わるほどの強い毒を持つのは、ヤマカガシなど数種類のみだと言われています。

1972年までは無毒のヘビだと思われていた!

ヤマカガシは以前までは無毒とされていましたが、有毒、しかも日本に生息する三種の毒ヘビの中でも最強の毒を持っていることがわかりました。

これは1972年に中学生がヤマカガシに咬まれ、翌年に死亡したことがきっかけとなりました。

その後ヤマカガシの研究が進み、驚くべき生態がわかってきました。

現在は毒ヘビとして特定生物にしてされており、その認識も改められています。

毒へビの分類の仕方

ただし毒ヘビとは、毒牙を持つ種という定義があるので、毒牙とはいえない牙を持つヤマカガシは厳密には毒ヘビではないという意見もあります。

そのためコブラやマムシなどの大きな毒牙を持つものを前牙類、ヤマカガシなどのようにごく小さな毒牙というよりは毒の出る奥歯を上顎の後方に持つものを後牙類と分けることもあります。

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なぜヤマカガシの毒に気付かなかったのか・・

今まで、日本人の周囲にごく普通に存在してきたヤマカガシが、なぜ毒ヘビであると認識されて来なかったのでしょうか。

これは、古来より日本人がヤマカガシに咬まれるようなことがほとんどなかったからではないでしょうか。

ヤマカガシは攻撃的なヘビではありません。

ヒトが捕まえようとしてり、踏みつけたりしない限り、積極的に咬みつくことはありません。

またコブラやマムシなどと違い、その毒牙がかなり奥の方にあるので、指先などの部分以外では通常ヒトが簡単に咬まれるようなことはなかったからでしょう。

また毒牙といってもマムシのような鋭い管状のものではなく、毒トカゲのように奥歯の根元に毒素の分泌孔があるので、たとえヒトが咬まれても毒が体内に侵入しづらい構造になっているためだと思われます。

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ヤマカガシはカラフルなヘビ!?

ヤマカガシは、全長は60センチから120センチほどの中型のヘビです。

マムシなどと同様、メスの方が一回りほど大きくなります。

マムシほどではありませんが、ややずんぐりとした、けっこう太めのヘビなのです。

ヤマカガシの体色は非常にカラフルで、身体の側面に赤と黒の斑紋が交互に入ります。

 

ですから特に若い個体によってはタータンチェックをまとっているようなおしゃれなヘビに見える場合もあります。

私はずっとそれがヤマカガシの特徴だと思っていたのですが、どうやらこれは関東地方の個体群のみのようです。

ヤマカガシの西日本の個体群では、斑紋が不明瞭であったり、美しい青色を呈することもあるそうです。

ですから体色で種を識別するのは、少し難解なようです。

また頸部の後方にも独特の黄色のオビ状のライン(ここにも毒の分泌孔がある)が見られるのですが、これにも個体差があり、ないものもいますのでやはり種の特定は難しいようです。

赤、黒、黄色など、非常に多彩な色を呈する半面、個体差が大きく、地味な色合いを呈する個体もなかには存在するのです。

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ヤマカガシは見分けは腹板と顔だ!!

このように、ヤマカガシの個体には体色での変異が多くみられ、これだけでは種の特定・識別は困難な場合が少なくありません。

ただし、腹にあるウロコの腹板に関してはそれほど目立つ変異は少ないと言えます。

ヤマカガシの腹板は、全体に白から黄色みがかっており、その前半部には赤や黒の斑紋が見られることが多いです。

それ以外の見分け方として、顔に表れる特徴をつかんでおくと、識別は可能であるかもしれません。

ヤマカガシの顔つき自体はシマヘビによく似ていると言えますが、相対的な目の大きさや、目の上のウロコの張り出しである眼上板の存在で、シマヘビとは顔つきがかなり異なります。

ヤマカガシの目の上にある、眼上板と呼ばれるウロコは顔から少し飛び出しているので、正面から見たときの顔つきは、目つきが鋭く、キリっとして見えますが、頭に比較して目が大きいので、クリクリっとしてかわいい印象もあるようです。

また目の下に走る黒い条(線)はヤマカガシのみに見られる特徴です。

その他に、頸部の毒腺の存在による膨隆や、ウロコに見られるキール(隆条)により、他のヘビとは異なり身体全体の手触りがザラッとしていることも挙げられますが、本来は毒を持つヘビなので、むやみに触らない方が無難だと言えます。

体表がザラザラのヤマカガシ!

ヤマカガシの身体全体を覆うウロコには、強いキール(隆条)が見られます。

これはウロコの一枚一枚に見られる特徴で、真ん中の部分が線状に隆起して盛り上がっています。

ヤマカガシを触ると表面がザラっとしているのはこのためです。

このキールは水上を泳ぐために有利なものだと考えられています。

ヤマカガシはおもにカエルを食べるので、水辺など湿気の多い場所を好み、他のヘビに比べ、泳ぐ機会がとても多いと言えるのです。

またアオダイショウでは、腹板にキールが発達しており、側稜と呼ばれています。

アオダイショウがほぼ垂直に木や壁を登っていけるのは、これがあるからです。

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ヤマカガシの毒素!

ヤマカガシの毒素は非常に強力で、体重1キロ当たりの半数致死量のLD50値では、わずか5.3ミリグラムです。

これはハブのおよそ10倍、マムシのおよそ3倍にも相当する強いものです。

つまり、日本国内に生息する3種類の毒ヘビのうち、ヤマカガシはケタ違いに強い毒を持っているのです。

ヘビ毒の恐ろしさ!

ちなみに最強の毒を持つとされるヘビは、コブラ科に属するインランド(内陸)タイパンで、LD50値はわずか0.025mg/kgですので、マムシの800倍、ヤマカガシの212倍という恐ろしい猛毒です。

また日本国内には3種類しかいない毒ヘビですが、日本近海には毒ヘビランキングで第4位の猛毒を持つセグロウミヘビ(LD50=0.067mg/kg)や第21位のエラブウミヘビ(LD50= 0.273mg/kg)などが生息しています。

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ヤマカガシの毒牙!

ヤマカガシの毒牙といわれるものは、上顎の奥の方にあり、わずか歯冠長は2ミリほどのごく小さなものです。

ですから相当大きな口を開けて力強く咬まない限り、毒を相手の体内に注入することは難しいと言えるのです。

そのためヤマカガシの開口角はほぼ水平に相当する170度にも達するといわれています。

またこの毒牙は、マムシのような管状構造にはなっておらず、毒腺の開口部はその根元にありますので、一瞬咬まれただけでは毒の注入はできず、また毒牙自体が短い(低い)ために、ヒトの皮膚などでは十分に刺入できないことが多いので、咬傷事故の件数は極めてまれであると言えます。

ヤマカガシの咬傷事故は少ない!

ヤマカガシが毒ヘビであると認定されてからまだ40年ほどです。

この間咬傷による死亡事故は、わずか5件ですので、年間10人ほどの死者が出るマムシと比べても、その危険性の低さは明らかです。

咬傷事故は、ほとんどがヤマカガシを毒ヘビと認識していない人が突っついて遊んでいた場合が多いようです。

また、ヤマカガシの存在に気付かずに踏んだり、触ってしまった場合が怖いと言えますので、マムシ同様、ヘビが潜んでいそうな地域に足を踏み入れる場合には、十分な警戒心が必要だと言えます。

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ヤマカガシは2種類の毒を持つ!

ヤマカガシで危険なのは実はこの毒牙だけではありません。

その頸部には頸腺と呼ばれる器官が十数対並び、ここを圧迫すると内部から分泌液が外に向かって噴出します。

この分泌液にも強烈な毒素が混じっており、ヤマカガシは追いつめられると、相手の目などを狙ってこの毒素を飛ばすことがあります。

この頸部にある毒液は、他のヘビ類や小動物などを殺してしまうほどの威力があるのです。

実際にイタチなどの小動物が、誤ってヤマカガシの頸腺に咬みついてしまうと、その毒によって死亡してしまうこともあります。

郊外などでイヌの散歩をしている途中に、ヤマカガシを見つけてイヌが咬みついてしまうこともまれにあるようです。

万が一、頸に噛み付いてしまうとイヌ自身に害が及ぶことにもつながりますので、飼い主の方は要注意です。

もしヤマカガシを捕まえるときには、けっして首根っこを押さえようとしたり、棒で頸部を叩いたりしないようにしてください。ヤマカガシの頸腺から毒液が飛んできます。

ヒトの皮膚に付着した程度では、すぐに洗い流せば、ほとんど問題はありません。

しかしこの毒液がヒトの眼や鼻、口などの粘膜に触れた場合、激しい炎症を起こします。

特に目に入ると強烈な角膜炎を起こすことがあり、最悪の場合失明することもあります。

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ヤマカガシはコブラのマネをする!

ですからヤマカガシは敵に襲われると、頭を下げて頸部を突き出す独特のファイティングポーズを見せることがあります。

これはこの頸腺を使った攻撃をするぞという威嚇でもあるのです。

他の動物も、この頸部から噴出する毒液が、十分脅威になると認識しているので、ひるんでしまいます。

また外敵に追いつめられたり、興奮してくると、ヤマカガシはコブラのように頸部を膨らませて、立ち上がるポーズを取ることもあります。

恐らくこれは、ヘビ類に本能的に備わった威嚇の手段といえるものなのかもしれません。

ただしコブラと異なり、今にも咬みつくぞ!というような前向きのファイティングポーズではなく、わざと背中を見せて頸腺から毒を吐き出すぞ!という、まるっきり反対向きの行動なのです。

ヤマカガシは、相手に咬みつくよりも、頸にある毒の方が、威力があると思っているようです。

 

ちょっとかわいらしいですよね(笑)

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ヤマカガシは危険なヘビではない!

こうして見ていくと、ヤマカガシは、二種類の毒を持っている恐ろしいヘビでもあるのですが、その性格は穏やかでおとなしく、けっして攻撃的ではありませんので、積極的に咬むという行動に出ることはありません。

むしろ臆病な性格で、ヒトを見ればすぐに逃げ出してしまうほどなのです。

したがって威嚇はしても、それは逃げることが目的ですので、追い詰められでもしない限り反撃してくることはありません。

ですから、ヤマカガシを素手でつかもうとしたり、踏みつけたりしない限りは、遭遇しても、まず咬まれることはありませんのでご安心を。

また、自分より大型の外敵に襲われると、身体を捻って腹を見せる『死んだふり(擬死)』をすることもあります。

 

ヤマカガシは山ではなく水辺にいる!

ヤマカガシはマムシとは違い、昼行性のヘビです。生活のほとんどは地上におり、木に登ることは、ごくまれです。

ヤマカガシが生息しているのは、平地や標高の低い山地などの水田、湖沼、湿地などの湿気の多い場所です。

本来は「山のヘビ」というのが語源なのですが、実際には山よりも田んぼや池沼に生息しているのです。

本来は山のヘビであったはずなのですが、カエルを追って人の生活域にも入り込むようになったと考えられています。

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ヤマカガシの主食はカエル!

ヤマカガシが水辺を好んで生活しているのは、カエルやオタマジャクシ、ドジョウなどの小魚をよく食べるからです。

マムシと異なり、ネズミはあまり好まないようです。

ヘビ類は、うまい具合にエサに対する棲み分けができているのかもしれません。

しかし何と言ってもカエルをよく食べます。

カエルがいない、死滅した環境では、ヤマカガシの存在自体、まれであると言えます。

水田でカエルを追いかける場合には、とことん追跡しますので、たとえ泥土中に逃げ込んでも頭を突っ込んでカエルを捕食することもあります。

それほど好物のようです。

ですから人里近くでは、田んぼや河川敷などによく出現します。

こういった環境にいますので、ヤマカガシは泳ぎが得意であり、その泳ぎ方も水上を浮かぶようにスイスイと進んだり、顔だけ出して辺りをうかがいながら泳いだり、ウミヘビのように完全に水中にもぐって音を立てずに泳いだりと多彩に富んでいます。

外敵などから逃げる時には、陸上よりもむしろ水中を選ぶほどです。

 

ヤマカガシの大好物は、ヒキガエル!

ヤマカガシは、カエルやオタマジャクシをよく食べますが、特に他のヘビが嫌がって襲わないヒキガエルを積極的に狙います。

実はヤマカガシはカエルの中でも特にヒキガエルが大好物なのです。

ヒキガエルは後頭部から毒液を分泌します。

また体表にあるイボ状の突起から白く濁った牛乳のような毒液も分泌しています。

毒液には強心ステロイドや、セロトニンなどの神経伝達物質、痛みを発する物質などが含まれています。

これはヒキガエルが自分の体表に付く細菌や寄生虫などから身を守るために分泌しているのです。

ですからヒキガエルをヒトが素手で触ることは危険なことなのです。

他のヘビがヒキガエルを嫌がるのも、この毒をさけるためです。

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ヤマカガシはヒキガエルの毒を有効利用している!

ヤマカガシが特にヒキガエルを好んで食べるのは、ヒキガエルの持つ毒の摂取という意味合いがあるのです。

ヤマカガシはヒキガエルの持つ毒素「ブフォトキシン」を体内に取り込み、それを頸腺に集めてため込むのです。

前述したように、ヤマカガシの頸腺には、毒牙とは別の毒素があるのですが、その正体は、実は捕食したヒキガエルの持つ毒なのです。

したがってヒキガエルが生息しない地域のヤマカガシは、ヒキガエルを食べられませんので、頸腺に毒はありません。

頸腺の毒素はヤマカガシが自ら作り出すことができないからです。

 

ヤマカガシは獲物を脚から丸呑みする!

通常ヘビ類は、獲物を頭部から丸呑みしていきます。

その方が飲み込みやすいからです。

ところが、ヤマカガシは脚や尾から獲物を飲むことが多いのです。

これはカエルなどを追いかけながら捕まえ、咬みついてじっくりと毒をしみこませ、そのまま弱ってきたところを飲み込むことに起因しているようです。

インターネットでも、ヤマカガシが補食中の写真が多数出回っていますが、ヒキガエルをお尻から飲み込んでいる姿をよく見かけます。

こういう写真では、ヤマカガシの頭部がカエルの身体と重なってしまい、一見するとカエルの頭部からヘビの身体がつながっているような変な生物に見えてしまい、ギョッとさせられることがあります。

また、飲み込まれていくヒキガエルの目がとても悲しげであり、切なくもなります。

ヤマカガシの天敵たち

ヤマカガシの天敵は、トンビ、イヌワシ、クマタカ、ノスリ、モズなどの猛禽類、イタチ、テン、タヌキなどの小型哺乳類、アオダイショウやシマヘビなどの大型のヘビが挙げられます。

ヘビ類同士は共食いを始めとして、自然環境下では、食うか食われるかの関係なのです。

ですから自分より小型のヘビはもちろん、多少大型のものであっても補食の対象になってしまいます。

 

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ヤマカガシの一生

ヤマカガシは秋に交尾して、土の中などに潜り込み、ジッとしながら冬眠をします。

越冬したら、翌年の初夏くらいに産卵をします。

通常は8~20個ほどの卵を産みます。

ただし、交尾できなかった個体は、冬眠から目覚めた春の時期に相手を探して交尾することもあります。

産卵は落ち葉や石の下などのやわらかい場所にうみつけられ、卵は1〜2ヶ月で孵化します。

幼体(幼蛇)は全長20センチ程度です。成体も色鮮やかなのですが、幼体は更に目立ち、くっきりした色を呈しますので、とても美しいのです。

脱皮をくり返して成長し、およそ3年で全長1メートルほどになり、成体と呼ばれるようになります。

その後鮮やかだった体色は次第にくすんでいきます。

自然下での寿命はおよそ5年程度と考えられていますが、飼育下ではもう少し長生きするようです。

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毒ヘビの頭は三角形!?

毒ヘビはマムシやハブのように、頭の形が三角形をしているものがほとんどです。

これは頰にあたる部に毒腺を持ち、ここで大量の毒液を産生しているため、そこが膨らんでいるからです。

ヤマカガシの頭部は細長い楕円形をしています。毒液を作る「デュベルノワ(イ)腺」と呼ばれる器官はとても小さく、やや後方にあるためだと思われます。

ヤマカガシの毒の本質『溶血毒』

ヤマカガシの持つ毒素は出血毒に分類され、強い血液凝固作用があります。

血管内に侵入すると、血液を固まらせて血栓を形成しますので、各所で特に細い血管では多数の梗塞が起こってしまいます。

このとき血液中に含まれる凝固因子のフィブリノーゲンおよび血小板が大量に消費されてしまいますので、循環している血液中の凝固能が極端に低下します。

ですから『溶血毒』と呼ばれることもあります。

したがって全身的に非常に止血しにくい状態になっていますので、ちょっとした刺激により毛細血管からわずかな出血が起こっただけでも血が止まらず、大量の出血につながってしまいます。

特に咬傷部や、慢性的な出血部を持つ部位、鼻粘膜などでは非常に止血しにくい状態で出血が起こります。

咬まれた直後に何も起こらないのがむしろ怖い!

マムシやハブと異なり、ヤマカガシの咬傷事故では、咬まれた直後にすぐに症状が現れることはほとんどありません。

ヤマカガシの毒素は、組織や細胞の破壊を起こさないので、咬傷部に腫れは起こらず、毒素による痛みも起こりません。

ですから逆に、咬まれてもたいしたことはないと軽視されがちになってしまうのですが、後々重篤な症状となって現れることになりますので要注意です。

現実に数日、数週間後、あるいは数カ月後に死亡例がありますので、ヤマカガシの咬傷は、けっして軽視してはいけません。

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咬傷後、脳出血や脳梗塞が原因の一過性の頭痛が起こることがあります。

こういった場合には重篤化しやすいので、特に注意が必要です。

また腎臓での出血が起こると血尿や褐色尿となって現れることもあります。

もう一つの毒素『頸腺』も危険!

ヤマカガシの場合には、前述したように、毒牙以外にも頸部背面の皮下に頸腺と呼ばれる毒腺があります。

この部を圧迫すると、内部から毒素が噴出しますし、追いつめられるとヤマカガシ自ら噴出させることもあります。

この毒素は、皮膚に付いただけであれば、洗い流すなどすればたいした害はありませんが、目や鼻、口などを通じて体内に侵入した場合には厄介です。

死に至るほど強力なものではありませんが、激しい炎症を引き起こし、特に目に入った場合には強烈な角膜炎を起こし、最悪の場合失明に至ることもあるのです。

この毒素の本質はヒキガエルが持つ毒素「ブフォトキシン」ですので、ヤマカガシ自身では産生することはできません。

ヒキガエルを補食することでこの毒素を得ているので、ヒキガエルの多い地方では、より大量に持っている可能性が高いので、要注意です。

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ヤマカガシの咬傷事故を想定しておこう!

理屈の上では、ヤマカガシは攻撃的なヘビではありませんので、こちらから何かしない限り咬みついてきたりすることはありません。

また咬傷事故に至るには、諸条件が揃わないとなかなか起こり得ないと言えます。

たとえば、ヤマカガシに大開口をさせて奥にある牙を露出させる、短い牙が確実に皮膚に食い込むようにしっかり咬ませる、毒牙の根元から分泌する毒素が浸み込むようにより長い時間をかけてじっくり咬ませる・・こういう条件が必要かと思われます。

ですからヤマカガシの咬傷被害に遭うこと自体が極めてまれな出来事であると言えるのですが、実際には自然下ではいろいろな偶然が重なることもあります。

どんなことが起こるのかわかりませんから、万が一にも、ヤマカガシに咬まれた場合を想定してその対処を知っておくことはけっして無駄なことではありません。

むしろおもしろがってヤマカガシをかまっているうちに、頸腺を刺激してしまい、こちらからの毒が目に入ったりする事例の方が多いのかもしれません。

ヤマカガシに咬まれてしまったら・・・

さて・・もしヤマカガシに咬まれてしまった場合ですが、まずはヘビの特定が先決事項になります。

そのヘビが、マムシなのか、ヤマカガシなのか、それ以外なのか・・でその対応も、必要な血清も異なるからです。

マムシの場合はすぐに腫れが起こり、痛みが始まりますので、緊急性の認識がありますが、ヤマカガシでは、初期症状がほとんどないので、軽視されがちになります。

もしかしたら、咬まれなかったのかもしれないと勘違いしたり、傷が浅いから大丈夫だろうなどとタカをくくってしまったり・・それが怖いのです。

ヘビに咬まれた場合は、なにがなんでも、まずは、一分一秒でも早く医療機関を受診しなければならないと自覚して下さい!

そのうえで軽傷であったのなら、それで良しとすればよいのです。

野生動物はさまざまな雑菌や寄生虫を持っています。毒がないからといってけっして安心はできません。

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可能ならやっておいた方が良い前処置!

病院に向かいながらでもかまいませんので、可能なら毒の吸引、もしくはきれいな水で傷口の洗浄はしておいた方が良いです。

ポイズンリムーバーなどの道具があればベストですが、通常は持ち歩くことなどありませんので、傷口をつまんで毒をしぼり出す程度でも効果があります。

口で吸い出すのは、口腔内には傷口などが無数にありますので、あまりお勧めできません。

また、咬まれた場所から10センチほど心臓よりの場所を少しきつめにタオルなどで縛っておくとよいでしょう。

ただし完全に血流を止めてしまうと、傷口の治りを悪くしてしまったり、指先などの先端部は壊死を起こして腐ってしまうこともあるので禁物です。

マムシ同様、走ってでも構わないので、すこしでも早く病院に駆け込むことが一番です。

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やっぱり有効なのは血清療法!

通常、毒ヘビによる咬傷事故は、早期に血清療法で治療を開始すれば、重篤な症状や後遺症を引き起こすことは少ないと言えます。

ところが、ヤマカガシの咬傷事故自体がまれであり、血清が準備されていない医療機関がほとんどです。

ですから一分一秒でも早く医療機関を受診し、その状況を説明した上で対処してもらう必要があるのです。

ヤマカガシの場合、毒素自体は非常に強力なのですが、牙が小さく、毒素の侵入量も少ないはずですから慌てることはありません。

けれど早急な対応は不可欠です。

緊急の場合の連絡先はココ!

ヤマカガシの血清は、ほとんどの医療機関には用意されていません。

血清が届くのに時間がかかる場合は、成分輸血や人工透析などで対応します。

ただしあくまでも応急処置であり、血清療法にまさる処置は他にありません。

血清が確実に用意してあるのは、群馬県太田市にあるジャパンスネークセンター、正式名称=財団法人日本蛇族学術研究所です。

必要な場合は、

0277−78−5193

へ連絡して下さい。

1972年のヤマカガシの咬傷事故での死亡例は肺浮腫によるものです。

その他の4例では脳出血が原因だとされています。

ヤマカガシの血清作りは1984年ごろからその試作が始まったようです。

血清は前述したように、ジャパンスネークセンター、正式名称=財団法人日本蛇族学術研究所のほか、国立感染症研究所や杏林大学でも保管されているそうです。

ヤマカガシを飼うには許可が必要!

非常にカラフルで、おとなしく、かわいらしい顔をしたヤマカガシですので、ペットとして人気もあるようです。

しかし、けっして忘れないでください、ヤマカガシは毒を持つヘビなのです!

ヤマカガシは動物の愛護および管理に関する法律(通称動物愛護法)の規定により、毒へビとして特定危険生物に指定されています。

したがってヤマカガシの飼育や保管には、関係機関の許可が必要になります。

万が一ということを考えると、飼育はお勧めできるものではありません。

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ヤマカガシも悪臭を放つ!

これはヤマカガシに限らず、むしろヘビ類全体にいえることですが、外敵に襲われた場合、特にヒトがその身体をつかんだような場合、総排出孔(腔)近辺にある臭腺によって悪臭を伴うニオイ物質を噴出することがあります。

ヤマカガシのそれが特に悪臭と言えるものではないようですが、そういったこともヘビ類の特徴として認識しておいた方がよいでしょう。

ちなみにこの総排出孔(腔)がヘビ本体の身体(腹)と尾との境目にあたります。

ヘビをひっくり返すと、この周辺だけ横長で一列に並んでいる腹板が左右に二分割されているので、比較的見つけることは容易です。

ただしそこを刺激すると、大変なことになりますよ(笑)

ヤマカガシとの思い出・・

今考えると恐ろしいことですが、私も子どもの頃は、ヤマカガシを毒ヘビと認識していませんでした。そして、ヤマカガシを見つけると、ついつい構って遊んでいました。

田舎の田んぼに行くと、たまにヤマカガシを目にすることがありました。

さすがに素手でつかもうとは思いませんでしたが、長い棒を使って巻きつかせてみたり、擬死(死んだふり)をさせてみたりしていました。頸腺の毒についてもまったく認識がありませんでしたから、本当に恐ろしいことをしていたのですね・・(汗)

ヤマカガシは色彩が鮮やかですし、それほど大きいものではないので、捕まえて連れて帰ろうと思ったことは何度もありますが、家人の反対が目に見えていたので無理でした。

持ち帰って飼っていたとしたら・・恐ろしい話です。

それでも、ヤマカガシには、ずいぶんと遊んでもらった記憶があります。

宝石のように美しいブームスラング

ヤマカガシに近い種で、「ブームスラング」という美しいヘビがいますので、ご紹介します。

ブームスラングは、ナミヘビ科ブームスラング属のヘビで、サハラ砂漠以南のアフリカに生息しています。

鮮やかで美しい体色と大きな目を持ち、かわいらしい外見をしていますが、実は強力な毒を持っているのです。

毒ヘビといっても、ヤマカガシと同じ後牙類に属します。ただし上顎の奥にある毒牙には溝が切れ込んであるので、ヤマカガシよりも獲物に対して毒の注入が容易な構造になっています。

ブームスラングは、オスとメスによりその形態が大きく異なるので、「性的二型性」と呼ばれる特性があります。

メスは茶色単色の場合がほとんどですが、オスは緑、黄色、ピンクに近い赤などが入り、とても鮮やかな体色をしており、眼も緑色のものが多いのです。

おもに樹上で生活しており、トカゲ、カエル、カメレオン、ネズミ、小型の鳥類などを食べています。

性質もおとなしく、攻撃性もほとんどないヘビですから、ヒトを咬むことはほとんどありません。

臆病なので、大きな生物が近づくとすぐに逃げ出してしまうほどですので、この点でもヤマカガシによく似ています。

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ブームスラングは猛毒の持ち主だった!

ブームスラングの持つ毒は、ヤマカガシ同様の『溶血(血液)毒』と呼ばれるタイプの出血毒です。

半数致死量であるLD50値は、わずか0.5mg/kgですから、単純にヤマカガシの10倍もの強さになります。あるサイトの毒ヘビランキングでは第11位でした。

ブームスラングの毒は、赤血球を破壊し、血液凝固因子フィブリノーゲンを不能にしてしまいますので、脳内はもちろん、体中に内出血を起こしたり、体外に開く外孔=口、鼻、眼、耳などのあらゆる場所から持続性の出血が起こり、止まらなくなるのです。

アフリカ、体中から出血という語から致死率83%といわれる恐怖の「エボラ出血熱」を連想してしまいます。

このような強烈な毒を持つブームスラングなのですが、記録を見る限りでは、実際に咬まれて死亡した例は10人にも満たないのです。

現在ではブームスラングの生息域では血清が用意されていますので、万が一この地域でブーム

スラングに咬まれたとしても、すぐに治療を受ければ重篤な症状には至りません。

この点もヤマカガシと同じです。

ブームスラングの毒を命をかけて追及した爬虫類学者!

1957年に最初の死亡咬傷事故が起こるまで、ヤマカガシ同様にブームスラングも無毒のヘビだと信じられていました。

1957年9月に、爬虫類学者として有名であったカール・シュミット氏が、鑑定のために預かっていたブームスラングに咬まれ、死亡しました。

シュミット氏は、咬まれてからしばらくして、身体の変調を覚えたので、それを細かく記録し始めました。そしてその24時間後に脳出血と呼吸停止によって死亡しました。

死の1時間前に医者を呼ぶか問われた博士は、それを拒否しています。

どうやら博士はブームスラングの毒を死に至るほど強いものとは思っておらず、一過性と思われる症状の回復を待って自ら体験したその記録を発表するつもりだったようです。

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ナミヘビというヘビはいないけれど・・・

ヤマカガシはナミヘビ下目に分類されますが、かつてはナミヘビ科に属していました。

ナミヘビは並ヘビで、ごく普通のヘビという意味です。

ですから、マムシやハブ、コブラのような毒は持ちません。

例外的にヤマカガシやブームスラングのように後牙類に分類される有毒のものもいますが、国内ではアオダイショウ、シマヘビに代表されるような、本当にごく普通のヘビだと言えます。

これらの無毒なヘビは獲物に巻き付いて絞め殺してから丸呑みします。

ヤマカガシは、深く咬みつくことで毒を注入できますので、咬みついたままで獲物が弱るのを待ってからそのまま丸呑みします。

ですからお尻から飲み込む場合が多いのです。

こういった食餌の方法の違いが、有毒なヘビと無毒なヘビとの見分け方にもなるようです。

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ヒトは本能的にヘビを恐れる!

ヒトはヘビに対して本能的に恐れを抱いているのでしょうか?

世界中を見渡してみても、ヘビはどの地域にも存在しており、ヘビを恐れない文化は存在しないといわれています。

以前からヒトはヘビを本能的に恐れるのか、それとも恐怖体験等の学習によって恐れるのかが論争されてきました。

その実験と研究を京都大学の正高信男教授が主導して、2011年にその結果が発表されました。

それによれば、ヘビによる恐怖体験がない3歳児でも大人と同じようにヘビに対して敏感に反応し、特にトグロを巻いてかま首をもたげた攻撃姿勢をしっかりと見分けていることがわかりました。

またチンパンジーもヘビのおもちゃを見せるだけで怯える反応を見せることから、共通の祖先である猿の時代から私たちは本能的にヘビを恐れていたことがわかりました。

ヘビは神か、悪魔の化身か?

ヘビには脚が無く、そのニョロニョロした動きやトグロを巻いた姿が嫌悪と畏れの対象になっています。

紀元前の時代から世界各地で「ヘビは悪魔の化身あるいは悪魔そのものの姿」だとされてきました。

その一方で、ヘビは脱皮を繰り返して成長をし、捕えてエサを与えなくてもひと月以上平気で生き続けることから、その強い生命力にヒトは憧憬と畏怖の気持ちをいだき、永遠の生命の象徴としてもとらえられているのです。

古代エジプトでは、歴代のファラオの王冠にヘビの記章がありますし、日本国内でも神の使いとして崇める風習があるのです。

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ヘビは空を飛ぶことができる!

ヘビは陸海空において、すべての移動が可能です。

実は、ヘビには羽こそありませんが、空を飛ぶことができるのです。

飛べるというよりも、ムササビなどのように大空をグライダーのように滑空するという感じですが・・。

これはヘビの肋骨がほぼ水平に開き、身体を扁平にすることができることに由来しています。

特に風に乗って100メートル以上も滑空することがあるトビヘビという種については、「日本最強の毒蛇マムシ」の項で紹介していますので、ぜひ合わせてお読みください。

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ヘビは海にもいる!

海中で活動するものには「ウミヘビ」がいます。

ウミヘビと呼ばれるものには、爬虫類のいわゆるヘビ類と、ウナギの仲間である魚類のものとがいます。ヘビ類の「ウミヘビ」はおもにコブラ科の種が多く、2種を除いて猛毒を持ちますが、魚類のものには毒はありません。
本項では、ヘビ類の「ウミヘビ」についてお話ししていきます。

ウミヘビのすごい生態!

ウミヘビは、世界で60種ほどが確認されており、太平洋とインド洋(大西洋にはいません)のおもに温かい海に生息していますが、海流に乗って亜寒帯域まで現れることもまれにあります。

海中生活に適応したヘビとして進化してきましたが、爬虫類ですのでエラ呼吸ではなく肺呼吸です。

ですから呼吸をするため水面に上がってこなければなりませんが、1時間近くも水中に潜っていることが可能です。

これはヘビが変温動物であるので、基礎代謝量が少なく、酸素の消費が非常に少ないためだと考えられています。

その身体は泳ぐのに適したように進化しており、身体自体が扁平になっている種がほとんどですので、遊泳能力は抜群といえます。

その生殖活動も、海水中で交尾をし、卵胎生として体内で卵を育てて孵化させてから海水中で出産するのものが多く、ほとんど陸上に上がることはありません。

陸上に上がることもまれにありますが、腹板が退化しているものがほとんどなので、まともに移動することができません。死の間際に、波打ち際に打ち上げられている場合がほとんどなのです。

■ 「ウミヘビ」の毒の強さってどれくらい?

■ 「ウミヘビ」はどうやって呼吸しているの?

■ エラブウミヘビってどんな味?

リクヘビとウミヘビの両方の特性を持つエラブウミヘビ

沖縄で食用として捕獲されるエラブウミヘビという種がいます。

エラブウミヘビは、陸上のヘビ類と一般的なウミヘビとの中間的な性質を保持している唯一のヘビだといえます。

これは東南アジアに生息するベニヘビの種が、海中生活に適応していったものだと考えられており、他のウミヘビよりもかなり遅く海生になったものと思われます。

したがって身体は陸上のヘビ同様の円筒形で、尾のみが扁平になっています。

腹板はほとんど退化しておらず、陸上で活動することも十分可能なのです。

夜行性ですので、昼間は岩場などに潜んでいます。その場合、海水中であったり、陸上であったりします。小さな魚や甲殻類を主食としています。

エラブウミヘビは、80~150センチほどで、実はハブの70~80倍もの猛毒を持ちます。

ただし性質はおとなしく、口も小さいので、めったにヒトを咬むことはありません。

ただし沖縄では素手で捕らえることが多いので、そのとき咬まれることがあるようです。

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海で生活し、陸上で交尾をして産卵する!

一般のウミヘビとは異なり、エラブウミヘビは卵生です。

交尾期と産卵期には陸上に上がります。

10~12月ごろに交尾をし、岩かげなどで数個~十個の卵を産み、産卵後また海に戻っていきます。

孵化した幼体(幼蛇)は、青と黒の鮮やかな色をしており、海に向かい這い出します。

ウミヘビは猛毒をアピールしている!

ウミヘビ類はコブラ科に属すものがほとんどですので、猛毒を持つものがたくさんいます。

体色も独特の横ジマのものが多いのです。

これはある意味警戒色となっており、毒を持っていることを他の生物に対してアピールしているのです。

したがって、あの凶暴なサメであってもウミヘビを避けて通り、けっして襲うことはありません。咬まれれば、大変なことになることがわかっているからです。

■ 「ウミヘビ」の毒の強さってどれくらい?

■ 「ウミヘビ」はどうやって呼吸しているの?

■ エラブウミヘビってどんな味?

蛇行は物理学的に最も効率が良い!

ヘビ類が地上を移動する場合、いわゆる「蛇行」と言われるように、ニョロニョロと身体をくねらせながら前に進んで行く場合がもっとも一般的です。実はこのような進み方が物理学的にも一番効率が良いとされています。

また水上や水中を進む時にも、この蛇行を繰り返しながら上手に泳いでいます。

その他の移動方法として、ニシキヘビなどの体重のある大型のヘビは、腹面の筋肉を前後に動かすことでほぼ直線的な移動をすることがありますし、サイドワインダーなど砂地に住むヘビ類は、横方向に身体をねじりながら移動する「横ばい」をします。

また木登りなどをするときの垂直面や表面が滑らかで滑りやすい場合には、一度身体を縮めてから一気に伸ばして進む「アコーディオン運動」をすることもあります。

これはアコーディオンのようにその身体を伸縮させることに由来しています。

ヘビは時と場合に応じて、もっとも効率的な移動方法を取っているのです。

ヘビは意外と慎重派だった!

ヘビは木などに巻きつきながら登って行くとき、必要な力の5倍以上ものエネルギーを使っていることが判りました。

こういった研究によれば、垂直に立てたシリンダーに圧力計を取りつけて、5種類のヘビに登らせてみたところ、実験したすべてのヘビが自分の体重を支えるよりもはるかに強い力を使っていることがわかったのです。

その数値は平均で5倍にも達するそうです。

このことから、ヘビは効率よく登るよりも、確実に安全に登って行くことを重視しており、エネルギーを温存するより、落ちる危険性を恐れていることがわかります。

これはヒトも同様で、重いものを持つときや、ぶら下がるときに、必要な力の2~4倍もの力を使っているのだそうです。

意外にも、ヘビは慎重派であったということです。

(ライター オニヤンマ)

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