美味しいお吸い物等、貝独特の旨味はたまらないものがありますが、皆さんはアサリとハマグリ、両方の貝を見分けることができますか?

一見似ているようで実は学問上は全く違うアサリとハマグリについて詳しくお話していきます。

アサリの特徴

アサリは異歯亜鋼マルスダレガイ上科マルスダレガイ科に分類される二枚貝の一種です。

最大で殻長は6㎝程になる2枚貝で貝殻の模様は横縞や様々な幾何学模様などとても変異に富んでいます。

色は黒無地で白黒、白茶、茶色無地、青無地、青色等多様。一つとして同じ模様をした個体はいないとまで言われていますが北海道の個体だけは大型で貝殻に目立った模様がなく、皆同じく黄褐色がかかった色をしています。

 

日本、朝鮮半島、台湾、フィリピンまで広く分布し地中海、フランス、ハワイ諸島、北アメリカの太平洋キシ煮移入されています。

汽水状態を好み、成貝は海岸の潮間帯から干潮線下10mほどまでの浅くて塩分の薄い砂や砂泥底に分布します。

特に稚貝は泥分の少ない所を好んで生息しています。

アサリの生態

アサリは産卵によって増え、冬を除いて通年産卵しますが特に春と秋が一般的です。

産卵条件としては親貝が10ヵ月以上で20~25㎜程度あり肥満していること、水温が春は19~24℃、秋は23~15℃程度あることが挙げられます。

 

通常の産卵の他に環境の変化に伴う産卵があり、オスが水中に精子を放出することによってメスが受精します。

受精卵は10時間ほどで孵化して浮遊幼生になり2~4週間で底に着いて足糸と呼ばれる分泌物を出して砂礫などに付着します。足糸は成長と共に退化していきます。

アサリの成長速度は生息する場所の環境によって大きく違いが出ます。

 

着床場所は地盤高が大潮干潮線から06~0.9mほどのところで、流れが穏やかで渦流が生じやすく干出時間が2時間以内の砂や砂泥層で、着底してからの移動距離は非常に小さく、数m程度です。

 

浮遊幼生の頃は植物プランクトンをエサとしていますが、稚貝や成貝は珪藻類やデトリタスという生物の遺体や破片などを餌にします。

一般的に岸付近ではエサが少ないため貝は団子状に丸く殻も厚くなりがちですがエサの豊富な沖縄などの地域では貝の成長が速く殻は薄く肥満度が増す傾向にあり、味も濃厚と言われています。

ハマグリの特徴

ハマグリはマルスダレガイ上科マルスダレガイ科に分類される二枚貝の一種。

長さは8㎝、幅3.5㎝、高さ6.5㎝程の丸みを帯びた三角形の貝殻を持ちますが、良く成長したものでは殻長が10㎝以上になる場合もあります。

本来の分布域は日本本土の東北地方以南の地域と朝鮮半島の一部で、淡水の影響のある内湾の砂泥底に生息しています。

 

しかし日本では昭和後期に急激に減少し、少なくとも1980年代以降は干拓や埋め立て、海岸の護岸工事などによって生息地の浅海域が破壊されたので瀬戸内海西部の周防灘の一部や有明海の一部などの局地的な生息地を除くほとんどの産地で絶滅状態になりました。

 

主として熊本県産のものが流通していますがほとんどはシナハマグリという品種の輸入品が出回っています。

アサリとハマグリの違い

アサリとハマグリは貝殻に違いがあり、見た目や触った時の感じに違いがあります。

アサリは手に触れると貝殻の表面がザラザラとしていて、様々な模様が入っていますがハマグリの方は殻の表面が滑らかで殻もアサリと比べると大きいのが特徴です。

 

旬の時期はアサリが3~6月、ハマグリは2~3月。

生息環境もアサリの方がハマグリよりも泥の多い干潟を好む傾向にあり、砂抜きが必須とされるアサリに比べてハマグリはほとんど砂を吐きません。

栄養価を見てみるとビタミンや鉄分がハマグリよりもアサリの方が多いようです。

(ライター ナオ)