皆さんはムラサキシジミと言われる蝶を知っていますか?

幻想的な色合いで、美しい蝶として知られています。

 

日本全国に幅広く生息している蝶では無いので知らない方も多いかと思います。

今回はそんなムラサキシジミの生態や特徴、そして見分け方などについて紹介していきたいと思います。

ムラサキシジミってどんな蝶?~生態と特長について~

ムラサキシジミはチョウ目シジミチョウ科に属する蝶の一種です。

ムラサキシジミ属はおよそ200種類からなる蝶としては大きなグループと言われています。

生息地は台湾や中国西部、日本では近畿より西の方に多く生息しています。

環境は平地から山地の常緑カシ類の多い雑木林周辺を好んで集まります。

 

基本的に雑木林に集まる蝶なので、明るい草原などでは見る事は出来ません。

一時期、関東地方では完全に絶滅したと言われていましたが、最近では復活し常緑カシ類の多い林ではよく見かけるようになりました。

体長は約30mm~40mmで、成虫で越冬し年3回~4回、時期としては6月から翌年3月にかけて現れます。

 

習性としては、木々の枝先や露出した岩などに止まり、よく羽を開いて日光浴をしています。

その時に見せる羽の表面の深い紫色が美しく、雌の方が色合いが明るいので雄よりも美しさが際立ちます。

 

雄の羽の表面の外側は黒色で縁どられていて、雌の羽の表面は黒色の地色で、前翅には青紫色の斑紋があります。

後翅中室の基部近くには紫色の鱗粉が散布されていて、裏面は暗褐色の地色で、色の濃い斑紋が浮き上がります。

 

成虫が花に訪れる事は無いので何を食べているのかは不明ですが。幼虫はアラカシ・イチイガシ・スダジイなどのブナ科常緑樹、これらが少ない場所ではクヌギやコナラなどのブナ科落葉樹を食べています。

ムラサキシジミの見分け方

ムラサキシジミはよくルーミスシジミと見間違えられます。

パッと見た感じや大きさなどがそっくりなので、見分けるのが難しいです。

 

ですが観察して見ると、色味や模様などに細かな違いがあるのが分かります。

まず体の色としては、ルーミスシジミは紫色ですが、ムラサキシジミは紫がかった深みのある青色です。

そして、後翅の黒の縁取りがルーミスシジミは狭く境界がはっきりしていませんが、ムラサキシジミは縁取りが広く境界がはっきりしています。

 

他にも飛んでいるときに、ルーミスシジミの裏面は白っぽく見える特徴があります。

パッと見た感じはよく似ているので分かりにくいと思いますが、じっくり観察するとその違いが分かってくるかと思います。

ムラサキシジミとアリの関係

ムラサキシジミの幼虫とアリは共生して生きています。

幼虫は蜜線から糖とアミノ酸に富んだ蜜を分泌してアリに与えて、アリはその蜜を貰う代わりに天敵からムラサキシジミの幼虫を守ってあげています。

 

しかし最近の研究では、仲良く共生しているのでは無く、ムラサキシジミの幼虫がアリを洗脳して操っている事が分かったそうです。

ムラサキシジミの幼虫から出される分泌液には、アリの脳の化学的作用を変化させる力があり、その力を使ってアリを奴隷化しているんだとか。

 

この二種は互恵的関係だと考えられていたものは、実際には非常に利己的な操作だったのです。

ムラサキシジミはアリの攻撃的な本能を利用して、自身を守らせるために操ってボディーガードとして使っていたんです。

ムラサキシジミについてのまとめ

今回はムラサキシジミについて紹介しましたが如何でしたでしょうか?

ムラサキシジミの幼虫が結構な魔性な性格なのには驚きでしたね。

幼虫も面白い性質を持っていますが、成虫になると美しく飛び回るので是非観察してみて下さいね。

ライターMISAKI