蜘蛛と言えば、私は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」という短編小説を思い出してしまいます。

悪行の限りを尽くして地獄に落ちた男が、生前にたった一つだけ善いことをしていましたので、お釈迦さまが救いのために蜘蛛の糸を垂らしてくれたという話です。

そのたった一つした善いこととは、蜘蛛を踏みつぶさずにその命を助けたということです。

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俗に「朝の蜘蛛は見逃してやり、夜の蜘蛛は見逃すな」などと言われています。

蜘蛛は、ゴキブリ、ダニ、ハエ、蚊を捕食する益虫だが

そもそも蜘蛛は、ゴキブリ、ダニ、ハエ、蚊など人間にとっての害虫を捕食してくれる益虫なのです。

ですから蜘蛛がいても朝だろうと夜だろうと見逃してあげなければいけないと思うのですが・・。

夜の蜘蛛を見逃さずに殺してしまうことについては諸説ありますが、布団に潜り込んでヒトを咬むからだとか、泥棒が入る前兆なので不吉だとか言われていますが、そもそも日本にいる蜘蛛は積極的にヒトを咬んだりしません。

朝に蜘蛛を見かけると良いことが起こる前兆だと言われていますので、どうやらその対語として夜は・・になったのかもしれません。まあ、迷信の類であろうと推測されますので、夜も見逃してあげて下さい。お釈迦さまもご覧になっていることでしょう(笑)

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それにしても、容姿が悪いからなのでしょうか、気持ちが悪いなどと蜘蛛を嫌う人は多いようです。

私が子どもの頃、近所に神社があり、その境内に大きなジョロウグモがたくさんいて、かなり大きな巣を張っていました。

薄暗い木と木の間などに巣をかけるので、神社の境内を走りまわっていると、巣が顔にへばりついたり、服にまとわりついたりします。

ですからときどき大掃除だと称して、棒を使って、巣の糸を絡め取ったりして遊ぶこともありました。大きな巣だと、棒の先端が綿あめのようになることもありました。

蜘蛛からすれば、せっかく作った巣を壊す悪者ですよね。

また今思えば残酷なことですが、蝶を追いこんで誘導したり、バッタを捕まえてきて、蜘蛛の巣にわざとかからせたこともあります。

 

バタバタともがいているところに蜘蛛が走り寄り、あっという間に糸を巻いてしまいました。

そんな事をして、蜘蛛が獲物を取る様子を観察したこともありましたっけ。

ジョロウグモはかなり大きな蜘蛛ですが、直接触ったり、こっちに向かってくるわけではありませんので、怖いと感じことなど一度もありませんし、咬まれるなどとは思ってもいませんでした。

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蜘蛛は昆虫の仲間ではない

蜘蛛は、ムシの代表格と言われていますが、昆虫ではありません。節足動物クモ綱のクモ目に属します。昆虫との大きな違いは、触角が無く、脚が8本であることです。

蜘蛛の仲間は、世界には約3万種、日本国内でも約1400種、東京都内だけでも約480種もいるそうです。

大小さまざまな大きさですが、共通しているのは牙と毒腺を持ち、6つある出糸突起(糸いぼ)から糸を出すことができるということです。

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蜘蛛はそのほとんどが肉食ですが、なかには花の蜜などを吸う種もいます。

いわゆる蜘蛛の巣を張って獲物を捕食するのは半数程度で、残りは他の肉食昆虫などと一緒で徘徊しながら獲物をさがし、捕獲するという行動を取ります。

毒についてもヒトを死に至らしめるほど強いものを持った種はごく一部で、せいぜい咬まれても腫れる程度ですし、通常はヒトを咬むことなどない種がほとんどです。

■「戦慄!!その大きい蜘蛛の正体は?」本当はゴキブリを食べる良い奴だが…

■「ゴキブリの天敵!アシダカグモ」でもどっちも気持ち悪い…

■「夜の蜘蛛」は殺すべきか殺さざるべきか?

■「女郎蜘蛛」って毒持ちなの?

■「蜘蛛」は昆虫ではなく、こいつらの仲間だよ!

蜘蛛は獲物に消化液を流し込む

蜘蛛の食餌は一風変わっています。

捕えた獲物に咬みつき、体内に消化液を注入します。

消化されて液体になった肉などを飲み込むのです。これを体外消化と言います。

血を吸うという行為とはちょっと異なります。

従って蜘蛛に捕えられた獲物は、頭から食べられてしまうわけでも、血を吸われて干からびてしまうのでもなく、中身を溶かされて外側の皮だけが残った状態になってしまうのです。

これをヒトに当てはめるとすれば、胃液を吐きだしてその肉を溶かし、それを飲み込む・・といったところでしょう。やれと言われてもムリです(笑)

体外消化は、余分なものをほとんど含みませんので、体内での消化効率がよく、エネルギー消費が少なくて済みます。ですから蜘蛛はほとんど排泄をしないのです。

蜘蛛がいるところには必ず他の害虫がいる

小さな蜘蛛であれば、その存在になかなか気付くことがないほどですが、家の中のどのような所であっても、たいてい蜘蛛は存在しています。

いわゆる蜘蛛の巣を見つけたり、蜘蛛の糸が顔に触れたりすることで、その存在に気付くことが多いといえます。

それを不快に感じてしまうと、蜘蛛の駆除を考えてしまうことになりますが、蜘蛛がいるということはそこに蜘蛛のエサになるムシたち=ほとんどがヒトにとっての害虫が、いるということです。

蜘蛛だって、獲物の居ないようなところに無駄に巣をかけているわけではありません。

あるデータでは、水田近くに数十匹の蜘蛛が巣をかけているのを調べたところ、一晩で約300匹ものヨコバイが捕獲されていたそうです。

そういう意味では、大変効率がよいと言えますし、獲物の行動を把握してよく通る場所を選んで巣をかけているということなのです。それだけの害虫を駆除してくれるわけですから、もっと大切にしてあげてほしいものです。

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鋼鉄の5倍の強さ?小鳥をも捕獲する強靭な蜘蛛の糸

蜘蛛の出す糸ですが、タンパク質からできており、非常に強靭で驚くほどの力を秘めています。

強さは鋼鉄の5倍もあるのに、重さは6分の1しかなく、300度の熱にも耐えられます。

理論上の話ですが、直径1センチの太さの束にした蜘蛛の糸で網を作れば、飛んでいるジャンボジェット機を昆虫のように捕えることができるほどだそうです。

実際には蜘蛛の体長よりも数倍以上も大きな小型の鳥類が絡め取られる例もあるほどです。

 

蜘蛛の糸恐るべし・・

蜘蛛は割合頻繁にその巣を張り替えますが、その際古い糸を食べてしまい、アミノ酸に分解してから再利用します。

蜘蛛の糸は、体内では液状のタンパク質として蓄えられており、体外に出て空気に触れることで線維化される構造になっているのです。ですからお腹の中で絡まるようなことはありません。

蜘蛛は移動する際にも常に糸を出しており、高いところから飛び降りたりする時にも、自分の身体を支えて落下を防ぐだけでなく、その糸を手繰ることで元の場所に引き返すことができるのです。

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9種類の糸を自在に操る蜘蛛はまさにスパイダーマン

驚くべきことに、蜘蛛はその目的に応じて9種類ほどの糸を使い分けて出すことができるのです。

獲物を捕える時には、獲物に絡みつくような粘着性の高い粘液の付いた糸を出します。

円形で放射状に張ってある蜘蛛の巣を観察すると、同心円状の横糸には粘液が付いていますが、放射状の縦糸には粘液が付いていません。

蜘蛛は自分の巣を移動する際に、縦糸を伝わって歩くので、その脚に糸が絡まることなく巣の中を行き来することができるのです。

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蜘蛛は風にのって海を渡る事もある

蜘蛛は卵生です。複数の卵をその糸で包み込んで卵嚢というものを作ります。

物陰や葉などの裏に貼り付けて放置する種もいますが、巣の脇に吊り下げたり、自分で抱え込んだりして保護する種もいます。

孵化して幼生となると、最初の脱皮までは卵嚢内で過ごします。

その後は自ら這い出して自活を始めることになります。

蜘蛛の子を散らす」という表現がありますが、これはこの卵嚢を突っついたとき、中に入っている蜘蛛の幼生が驚いて四散することに由来しています。

 

蜘蛛には羽根はありませんが、実は空を飛び、海を渡ることができます。

バルーニングと呼ばれる蜘蛛独特の移動方法があるのです。

糸を出してぶら下がった状態で風を待ち、その風に乗って遠くに移動するという技術なのです。

大きくて広い巣をかけるときにもそういった方法を使うのですが、主に幼生が長距離を移動するときに使うことが多いのです。

うまく風に乗れば、なんと上空3千メートルにまで達することもあるそうです。移動距離も数キロから程度から、海を渡り大陸間を移動することも可能なのだそうです。

実際に南極大陸に飛来した例もあります。南極には蜘蛛のエサになるような生物はいないでしょうから、すぐに死んでしまったことでしょうが・・。

こういう驚くべき技を持っているので、蜘蛛類は同じ種が世界中に広く分布しているのです。

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蜘蛛の天敵は?

蜘蛛の天敵として知られるものは数多くいます。

小型の肉食動物はほぼすべて天敵だといっても過言ではないでしょう。

またムカデやサソリなど、お互いに油断すると捕食されてしまうような、喰ったり喰われたりの関係のものも多くいます。

狩りバチの仲間は、蜘蛛を専門に狩ることで有名です。

 

特に世界最大のハチであるオオベッコウバチは、体長が6センチ以上もあり、タランチュラと呼ばれるオオツチグモなどの大型の蜘蛛を麻酔針で刺して眠らせ、それを巣に運んでいきます。

眠らせた蜘蛛に卵を産みつけて孵化した幼虫のエサにしてしまうのです。

蜘蛛の敵は蜘蛛だった・・などということもあります。

オナガグモなどの種は、他の小さな蜘蛛を捕食します。こういった蜘蛛も多数いるのです。

他の蜘蛛の巣に居候や獲物を横取りする蜘蛛

イソウロウグモはその名の通り、他の大きな蜘蛛の巣に居候しています。

巣の片隅にひっそりと待機しており、巣の主が食べないような小さな獲物がかかるとそれを失敬して暮らしています。

ときには、その巣に張ってある糸そのものも盗み食いすることもあります。

また巣の近くに家主の卵嚢がある場合には、スキを見て卵や幼生を捕食したりすることもあります。

家主の蜘蛛が油断したり弱ってくると、主を喰い殺して、その巣を乗っ取ってしまうこともあるのです。おもしろい習性というより、とんでもないヤツですよね。

 

もっとひどいヤツもいます。ヤリグモです。ヤリグモは、巣から巣を渡り歩いて暮らしています。

かかっている獲物を横取りしたり、その巣の主を捕食したりする強盗のような習性で知られています。

同じ蜘蛛なのに油断できない種が数多くいるのです。

猛毒を持つ危険な毒蜘蛛たち

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日本に定着しつつある外来種 セアカゴケグモ

毒グモとして近年一躍有名になったのは、セアカゴケグモです。

オーストラリアが原産で、その分布は世界中に広がりつつあります。

1995年に初めて国内で発見され、パニックに近い騒動を巻き起こしました。

 

体長はわずか1センチほどで、黒い背中に赤い砂時計型の紋が入っていますのですぐにわかります。

メスだけが毒を持ち、毒の成分はαーラトロトキシンといわれるもので、神経毒に分類され、神経の伝達を麻痺させるものです。刺されると、けいれんや手足に麻痺がおこります。

ただし国内でセアカゴケグモに咬まれたことによる死亡例はありません。

国内最強の猛毒を持つ カバキコマチグ

国内で最強の毒を持つ蜘蛛は、カバキコマチグモです。

体長はセアカゴケグモより少し大きいくらいの1~1.5センチほどで、アゴは黒くて大きく、全体はオレンジ色をしています。ススキなどにその葉を折りたたんで丸めた巣を作り暮らしています。

 

通常はめったにヒトを咬むことはありませんが、産卵期のメスはとても攻撃的になります。

その毒性は、セアカゴケグモの180倍と言われますが、アゴが小さく、ヒトの皮膚を食い破るほどではないので、咬まれても毒の侵入はわずかです。

アナフィラキシーショックを起こさない限り、死に至るほどではありません。ただし傷口はかなり腫れあがり、強い痛みを伴います。

この蜘蛛は、孵化した幼生たちが母グモをエサにして食べて育つのです。

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毒蜘蛛の代名詞 タランチュラの毒は大した事はないが牙の威力は危険

蜘蛛としてのイメージが強いのは、タランチュラの別名があるオオツチグモの仲間です。

全身が毛むくじゃらで、かなり迫力がある大型の蜘蛛です。

世界最大の蜘蛛といわれるルブロンオオツチグモ(別名ゴライアス・バードイーター)では体長10センチ、脚を拡げると20センチ以上にもなり、大人の手のひら以上の大きさです。別名がバードイーターです。

鳥を襲って食べるという意味ですから、恐怖心をかきたてられますよね。

 

しかし、実際にタランチュラ(オオツチグモ)の毒はあまり強くありませんし、ヒトの死亡例もありません。

ただし、オオツチグモの仲間は腹部に刺激毛と呼ばれる細い針のようなものを多数持っており、それを脚で蹴り飛ばして攻撃することがあります。

忍者が使う手裏剣のような感じで、毛針を飛ばすのです。

これが顔などに刺さると痛みやかゆみなどの不快感が起こり、特に目に刺さると炎症を起こして激しく痛みますので、要注意です。

ガラスケースで観察するか、眼鏡をかけないと近付くのは危険です。

更に空き缶を食い破るほどの強力な大アゴも脅威です。

これに咬まれると、毒よりもその傷の大きさや深さを心配しなければなりません。

オオツチグモの仲間は、毒はたいしたことがなくとも、危険な蜘蛛であることに変わりはありません。

(投稿者:オニヤンマ)

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