冬になると懐かしくなるかぶのほっこりとした食感。

小さいころ、絵本「おおきなかぶ」は何度も繰り返して読んだものです。

そんなどこかほんわかしたイメージの強いかぶについて詳しくお話します。

かぶの特徴

かぶはアブラナ科アブラナ属の多年草で代表的な野菜の1つです。

カブは世界中で栽培されていますが分類上はアフガニスタン原産のアジア系と中近東から地中海沿岸原産のヨーロッパ系との2変種に分かれています。

原産地についてはヨーロッパもしくは中央アジア起源の一元説や二元説があります。

肥大した球形の根を可食部として利用しますが、本当の根はその下に伸びたひげ状の部位に相当します。

かぶの旬の季節

かぶは通年出荷されている野菜ですが、やはり寒い時期の方が甘みも増し、美味しいと言えます。季節的には11月頃から1月頃に多くの量が出回り、味も美味しくなるのでこの時期が旬でしょう。

かぶ栽培の歴史

かぶの歴史は古く、中国では詩経に記載され、ヨーロッパ系も古代ギリシャの史料に見られました。

ヨーロッパで広く普及したのは16世紀頃で、その頃は飼料用とが多かったと言われています。

 

東ヨーロッパなどの寒冷地では冬場の貴重な食糧源や救荒植物として活用され、日本では古事記に記載のある「吉備のあおな」がかぶを指していると言われている他、日本書紀に持統天皇が栽培を推奨したと記載されています。

 

京野菜など西日本で見られる中国伝来のアジア系とともに東日本でヨーロッパ系が在来種として確認され、シベリア経由と見られています。

現在日本での主産地は千葉県で全体の3割も占める生産量を誇ります。これに次いで埼玉県、青森県で全国生産量の約半分を占め、ほぼすべてが小カブです。

かぶの種類

かぶには80種類ほどの品種があり、多様な品種が存在した伝統野菜の代表でもあります。

大きく分類すると小かぶと大かぶ、色で分類すると赤かぶと白かぶ、また長い形をした日野菜かぶ等があります。

 

金町小かぶは最も生産量が多い株で、通年栽培が可能です。根は白く柔らかいのが特徴です。

聖護院かぶは日本最大とされる京都名物千枚漬けの材料として使われるかぶです。と手も大きくなり、重いものでは5kgにもなります。

 

天王寺かぶは西日本で利用される代表的な中型種で、大野紅かぶは北海道で江戸期から栽培されてきたアジア系のかぶです。

温海かぶは山形県鶴岡市温海地区の特産で焼き畑栽培が特徴の赤かぶです。

 

日野菜かぶは滋賀県特産で大根のように細長く、首が赤いのが特徴で、漬物にされます。

他にも金沢青かぶや今市かぶ。片平あかねなどの品種が知られ、欧米種ではゴールデンボールやパープルトップ等があります。

かぶの栄養分

かぶにはカリウム、カルシウム、カロテン、ジアスターゼ、食物繊維、ビタミンB1、B2、C等が含まれます。

春の七草のひとつのすずなはかぶのこと。

 

葉にはほうれん草の約5倍と言われるカルシウムが含まれている栄養満点の食材です。

かぶにはジアスターゼという酵素が含まれていて、これは熱に弱いので生で食べることによって生きてきます。

これは消化を助ける役割をしてくれるので積極的に摂りたい酵素のひとつです。

 

かぶの保存は緑の葉をつけたままで保存すると水分がなくなってしまうので、葉の部分と根の部分、いわゆるかぶの部分を切り離して保存するようにします。

かぶの葉の部分は葉を茹でた後に冷凍庫で保存すると良く、白い根の部分は新聞紙に水をつけて冷蔵庫で保管すると良いでしょう。

かぶの意外な利用方法

かぶは食用として利用されるのが一般的ですが実はイギリスのスコットランドではルタバガと呼ばれるかぶがハロウィンのように眼と口をくりぬかれた状態で飾られます。

 

ルタバガは正確には株ではなく、別種になります。原産地所スウェーデンで北欧からロシアにかけて栽培されていた品種で、もともとハロウェインのジャックオランタンはかぶやタバガで作られるものです。

(ライター ナオ)