アクセサリーなどのモチーフとしても人気のすずらんの季節はいつでしょうか?

すずらんの種類

現在公園や道端で見られるすずらんの多くはドイツスズランという園芸品種です。

ユリ科のスズランは高地を好み、本州中部以北に見られる耐寒性多年草です。

成長すると葉と花をつける茎の背丈がちょうど同じか、花丈の方が高くなり、鈴に似た花が見えやすいのも特徴です。

日本スズランと比べてみると、葉に厚みがありしっかりしています。

 

日本にもともと自生していたとされる日本スズランは貴重です。

笛吹川が流れる山梨県笛吹市には源流付近に、日本スズランの群生地があります。

 

標高1300m、2,6haの土地に約260本のすずらんが群生しているのだそうです。

見頃は5月末頃のようです。すずらんの特徴として綺麗な水が流れる傾斜などに群生する性質があります。

 

すずらんは冷涼な気候を好み半日陰で育ちます。そのため、山地の沢付近に群生している事があります。

白い花をつけるすずらんですが、ドイツスズランの品種に淡いピンク色の花をつけるスズランがあります。贈答用などに人気があるようですよ。

すずらんの花の仕組みや特徴など

下向きに花をつけるすずらんの花の中を見た事はありますか。

蕊がうっすら赤みを帯びているのがドイツスズランで、そうでないのが日本スズランだそうです。

花弁の先は6つに分かれ、雌蕊の先は3つになっています。その周りにあるのが雄蕊です。

夏が終わり花の季節が過ぎると、赤い実ができます。葉は長細く花の周りを覆うようになっています。

 

草丈は20cm程、葉の長さは15cm~20cmです。すずらんの根はひげ根です。

すずらんの花を切り花で購入する場合、根がついていると比較的花のもちが良いかもしれません。

すずらんの日

元気に育ったすずらんの花は、青っぽく強い香気をもちます。

すずらんはフランス語でミュゲ(muguet)もしくはlys de vallessといわれますが、香水の香料としても使われます。

 

主にフローラル系グリーンノートなど、フレッシュで上品な香りとして調香されている事が多いですね。

5月1日はすずらんの日といわれます。

 

フランスが発祥の風習とされ、そのままジュール・デ・ミュゲ(jour de muguet)といわれます。

1561年の5月1日に、幸運をもたらす花として宮廷の女性にすずらんを贈る事を時の国王が定めたとされます。

すずらんの特徴

すずらんの特徴のひとつに毒をもつという事があります。

含まれる毒物の成分はコンバラトキシンなどの猛毒です。

 

ペットがいる場合は気をつけましょう。植物は動物と違い自ら動く事はできませんので、人間が気をつければ間違いは起こりません。

すずらんの葉はニラなどと間違えやすく、春先になると北海道の毒草に関する書籍の最新版が出版されます。

谷間の百合

すずらんは英語でlily of the valleyと呼ばれる事もあります。

バルザックの膨大な著作の中の「谷間の百合」は読み方によっては長大であり同時に純真です。

 

彼はフランスの人ですが、時代的にはフランス革命の起こった時期と重なる激動の時代を生きた人物です。

すずらんに関する言い伝えの中にこんなものがあります。

 

森の中で毒をもつ竜と戦い竜を倒した青年から滴り落ちた血液が染みこんだ土地を清らかな場所とし、そのしるしに白いすずらんの花が咲いた、というのがその言い伝えの概要です。

 

全草に猛毒があり古くから欧州では花嫁のブーケとして人気であるというすずらんにはぴったりな気もします。

また、すずらんの別の呼び方として君影草、というものもあります。

すずらん灯

すずらんというと、昔ながらのすずらん灯を思い出す方もいるかも知れません。

すずらん灯の歴史は古く、大正13年に京都の寺町通りに40基設置されたのが始まりとされています。

 

銀座にすずらん灯が設置されたのは昭和初期です。

銀座は日本で最初にアーク灯という電灯が灯された土地です。明治11年の3月25日だそうです。

日本のすずらんの群生地

すずらんは北海道札幌市を代表する花です。

街のあちこちにすずらんがデザインされたマンホールがあります。

 

札幌市以外にも岐阜や奈良、兵庫など各地ですずらんは親しまれています。

奈良県の宇陀市はすずらんが自生できる南限の土地とされています。

 

北海道平取町では町の花にもなっています。

道南の平取町(びらとりちょう)にある芽生(めむ)すずらん群生地は、野生のすずらんの群生地の面積が約15haと日本一です。

 

白樺に囲まれた森のようなこの土地は、1950年頃まではそのまま野生を保っていたようですが、70年代以降から乱獲されるようになり、野生のすずらんはほぼなくなりそうになったそうです。

 

それを復活させたのが平取町のすずらん群生地です。

すずらんと周囲の自然を守る為に、公開は年に一度、すずらんが見頃を迎える5月中旬から6月上旬までと徹底しています。

 

利用料などは無料です。新千歳から南東に車で約1時間と利便性も良いです。

平取町はアイヌの言葉で「ガケの間」という意味です。すずらんは、谷間やガケの間といった地形を好むようです。

すずらんの季節は初夏まで

すずらんは昔から人気がある花のひとつです。

すずらんの季節は春先から初夏、群生地では6月上旬までのようです。

各地にすずらんの群生地がありますし、行楽には良い時季ですね。

(ライター:おもち)