ヤスデ(馬陸)はムカデによく似ていて醜悪な容姿をしていますが、どちらかというと害虫ではなく、益虫と考えられています。
体長は2センチ〜最大で7センチ程度、ムカデよりも一回りも二回りも小型です。

ムカデでは一つの体節から左右一対の脚が出ていますが、ヤスデでは二対出ています。そのため倍脚類と呼ばれています。ですからヤスデの見た目は、ムカデよりも更に脚が多く、モゾモゾと動く感じが強くするのです。

国内では北海道から沖縄まで全国いたるところにおり、200種ほどが知られています。また海外には巨大なものがおり、ムカデより巨大な30センチ以上のヤスデも存在します。

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ちょっとキモイけど、大人しくてノロマなヤスデ

子どもの頃、ダンゴムシを探そうとして庭石などをひっくり返すと、その下によくゲジゲジなどと一緒にヤスデがいました。虫たちは一斉に逃げるのですが、ヤスデは脚が多いくせにムカデよりもその動きは緩慢で、大抵逃げ遅れてしまいます。

それを棒などで突くと、反撃してくることもなく、くるりと丸く渦巻き状になって身を守るのです。

ダンゴ虫はコロコロ転がるのでそれはそれで面白いのですが、ヤスデは攻撃が止むとすぐに動き出します。そこで間髪入れずに突くと、すぐにまた渦巻きを作ります。

で、またしばらくするとあたりの様子を窺うように動き出すのです。それが楽しくて、何度も何度も繰り返し突いて遊んでいましたっけ・・(笑)

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益虫なのに見た目で嫌われる可哀想なヤスデ

ヤスデは雑木林や畑などの土中に生息しています。おもに落ち葉や枯れ草、菌類、きのこなど植物性のものを食べています。

またその糞は有機物に富み、植物の栄養源になります。しかもご丁寧にも、ヤスデは自分の糞中の未消化の落ち葉などを二度喰いしますので、植物は完全に分解され、土中の微生物の育成にも貢献しているのです。

ですから自然界では分解者として、良質な森づくりには欠かせない存在となっています。また肥沃な畑の土中には、多くのヤスデが自然な状態で生息しており、農薬を使用していない目安にもなっているそうです。

見た目が醜悪であっても、ぜひ益虫としてもっと大切に保護してあげるべきなのです。

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ヤスデの生態と大発生の仕組み

ヤスデの一生は、毎年秋に産みつけられた卵から始まります。卵は孵化すると幼虫となって土中で成長を重ねていきます。脱皮を繰り返し、そのたびに体節が増えて大きくなっていきます。冬を越し、6〜7月頃になると成虫として地面にも現れるようになります。

 

こうした一年サイクルの種がほとんどですが、キシャヤスデは少し異なる一生を送ります。キシャヤスデの成虫は落ち葉の下などで越冬し、初夏に1000個ほど産卵して一生を終えます。

孵化した卵は、セミのように幼虫のまま7年間を土中で過ごします。脱皮は一年に一度きりです。そして8年目になると一斉に成虫となって地表に現われます。そのため、8年おきに大発生が起こると思われているのです。

ヤスデの大発生で電車が止まる!?

1976年秋に山梨・長野県境の小海線沿線で大発生をし、線路上は轢きつぶされたヤスデの体液に覆われてしまいました。またこの区間は鉄道の日本最高地点でもあり、急勾配が続く難路のため、列車はスリップして立ち往生する事故が相次ぎました。
キシャヤスデの名は、過去にこうした大発生をして汽車を止めたことに由来するそうです。

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【大量のヤスデが線路に 車輪スリップして列車運休】

 

中部地方には、キシャヤスデの大発生場所が飛び飛びにあちらこちらにみられます。また、その発生年もずれているため、8年おきと言っても、ほぼ毎年のようにあちこちで大発生は繰り返されているのです。

ただし、小海線を止めた地域の大発生は、奇しくも今年(2016年)がその8年目に相当します。秋には何かが起こるかもしれませんね(笑)

ヤスデは益虫だけど不快害虫認定されている

ヤスデが大発生しても、こうした特別な場合を除けば、ほとんど被害はありません。イネや野菜などの農作物を喰い尽くすわけではありませんし、ヒトを咬んで危害を加えるわけでもありません。

どうやらヤスデは交尾の相手を求めてゾロゾロと集団で歩きまわるだけのようなのですが、あの醜悪な姿の虫が数万、数十万と数を揃えてこっちに向かってくれば、ゾッとしますよね。

【閲覧注意 ヤスデが大量】

 

大発生した地域では、通り道になった家屋に多数のヤスデがゾロゾロと侵入してきますから、気味悪がられて、害虫として駆除の対象になってしまうことになります。

ヤスデが嫌われるもう一つの原因は、そのにおいです。誤ってヤスデを足で踏んでしまったりすると、不快なにおいを発します。

これは体節の側面に臭腺と呼ばれる器官が備わっており、外的刺激を受けると、ここから独特のにおいのある臭液を分泌しているためです。

臭液には、ヨードやシアンなど毒性の強いものが含まれている種もいますが、国内のものにはほとんど毒性はないといわれています。ただし、直接触れるのは避けた方が良いですね。

ヤスデはムカデと違い、咬んで攻撃するようなことはありませんので、臭液はあくまで外敵への撃退のために使われています。

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ヤスデの仲間には蛍のように綺麗に光る仲間もいる

アメリカのシェラネバダ山脈には、発光するヤスデが存在しています。土中に存在する無眼(盲目)の種なのですが、身体全体が常時、青緑色に光っており、ネオンライトのように近づくと本が読めるほどの明るさだそうです。

通常、発光する生物は、ホタルのように特殊な器官を使って交尾期などに自らの意思で発光させるものがほとんどなのですが、このヤスデは特殊なたんぱく質を体表付近に持ち、表皮の内側から身体全体を常時発光させているのだそうです。

 

発光するヤスデは10種にも及び、種ごとに光の強さが異なることがわかりました。また、もっとも強く発光する種は、猛毒のシアン化合物を多く持っていることも突き止められています。

従って、当初は外敵への警戒のために発光するものだと考えられていましたが、身体の保護も兼ねていることが解ってきたそうです。

ヤスデは身体の構造上、生息地域の暑く乾燥した気候では、酸素の代謝が上手くいかずに過酸化物などの有害な副産物を生じてしまうそうです。

このため発光たんぱく質が副産物の中和に関与しているのであろうと考えられているようです。まだまだ研究段階ですので、今後いろいろな事が解ってきそうですね。

(投稿者:オニヤンマ)

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