細長い寄生虫といえばサナダムシですが、寿命はどのくらいなのでしょうか?

サナダムシの特徴

サナダムシはサナダさんが発見した虫ではなく、サナダムシの形状が和装の際に使用する真田紐に似ているからついた通称名です。

という事は、日本人がまだ和服で生活していた頃からお馴染みの寄生虫なのかも知れません。

サナダムシの外見は、水で戻す前のかんぴょう、またはきしめんに似ています。

白っぽく、長いです。体の表面から栄養を吸収するようです。

 

サナダムシの体表はクチクラでできています。

経口で栄養を吸収しないので口はありません。サナダムシは雌雄同体で体内に生殖器官をもつとされます。

人間に寄生するサナダムシ

サナダムシは条虫(ジョウチュウ)とも言われます。

条虫の仲間は世界に3000種ほどいるとされます。

 

サナダムシの種類は疑葉目と円葉目に分かれます。

現代社会で人間に被害をもたらす主なサナダムシは、円葉目のテニア属の有鉤条虫(ユウコウジョウチュウ)の幼虫の有鉤嚢虫(ユウコウノウチュウ)、無鉤条虫(ムコウジョウチュウ)の幼虫の無鉤嚢虫です。

 

有鉤条虫(taenia solium)は頭の方にはトゲのようなものや吸盤がありますが、目視で見る事はあまりないでしょう。

体長は2,3mである事が多く、稀に10mのものも発見されるようです。人間の小腸に寄生する寄生虫で、ブタ条虫症ともいわれます。

 

豚肉を非加熱で食べるとその人間の体内に入り寄生します。

これは一次寄生です。体内に入った有鉤条虫の幼虫は腸で成虫になり、排便の際には卵が一緒に出てきます。

 

この排泄された卵のついた水や食品、あるいは土壌に卵がある場合もあるのでブタのみならず人間の体内に直接侵入し、二次寄生する事もあります。

寄生する箇所は様々です。症状は下痢や嘔吐ですが、皮膚の下にこぶ状のできものができる事もあります。

万が一脳や脊椎など中枢部に寄生した場合は、てんかんなど神経系の発作が引き起こされ死に至る事もあります。

 

無鉤条虫(taenia saginata)は棘がないものです。ウシ条虫症ともいわれ寄生原因は牛肉のため、英語ではbeef tapewormと呼ばれます。

非加熱の牛肉を人間が食べ、無鉤条虫の幼虫が腸に寄生します。それが卵と共に排泄され、大便などからまた寄生されてしまう事になります。

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アジア条虫

これらテニア科のサナダムシによる寄生は、2010年以降、関東地方を中心にアジア条虫の寄生例が確認されるようになりました。

アジア条虫は豚肉の肝臓の生食による症例だそうです。

アジア条虫(tenia asiatica)は、豚レバーや牛のレバーの生食によって人間に寄生します。

 

いわゆるレバ刺しですね。韓国や中国、フィリピンなどアジアで見られる寄生虫の一種で日本国内での症例は最近ではないとされていましたが、2010年頃に国内患者が発生したようです。排便の際にちぎれた虫の白っぽい体節が出てきて気付いたようですが、いずれもアジアへの渡航歴がないので国内で感染したものと確認されたようです。

 

いずれにしろ生肉を避ける事が予防策です。

治療法は虫下しのような処置で済めば良いのですが、寄生先や症状によるようです。

サナダムシの寿命について

サナダムシの寿命ははっきり分かりませんが、宿主の体にいつ入り、いつ出て行ったのかを考えるとそう短くはないようにも考えられます。

ブタの肝臓を生で食べ寄生したサナダムシの場合は、いつからサナダムシがブタの肝臓にいたのかは定かでありません。

 

体内に入りこんだまま治療をしないでおくと、ずっと一緒に生きている事もあり得ます。

人間を中間宿主としているのか、固有宿主なのかによっても異なります。

 

中間宿主の場合は人間の体の中で卵を発生し、多くは排泄とともに出てきます。

しかし人間が固有宿主の場合のサナダムシの寿命は長いかも知れません。

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サナダムシの歴史

サナダムシの卵が遺跡から発見される事があります。

日本海裂頭条虫というのはサケやマスなどに幼虫として寄生し、非加熱でそれを食べた人間を含む哺乳類を最終宿主とする寄生虫です。

 

マイナス20度以下で24時間以上冷凍すると寄生は防げるようです。

しかし古来は冷凍保存の技術がなく、日本海裂頭条虫の卵が発見されるという事は、サケなどをルイベとしてそのまま食べていたらしいという当時の食生活がわかります。

サナダムシについて

サナダムシは種類が多く、どのような経路で寄生しているのかつかみにくい事もあります。

国内でもアジア条虫による寄生例があるようです。

食肉の生食はブームのようでもありますが、様々なリスクがある事を認識した上でいただくのが賢明のようです。

(ライター:おもち)

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