海の妖精として人気のあるクリオネ、彼らの持つ触手はバッカルコーンと呼ばれています。

そんなバッカルコーン、クリオネにとってはどんな意味を持つ器官なのでしょうか。

クリオネの特徴と生態

クリオネは軟体動物門足鋼裸殻翼足類ハダカカメガイ科ハダカカメガイ属に分類される貝の一種です。

巻貝なので幼生の頃にはツボ上の殻に覆われていて、見た目も巻貝のようですが、成長とともに完全に貝殻を失い体は透明で前部分に局在する内臓だけが不透明になっています。

内蔵は食性によって赤色や緑色をしています。

胴体の前部には透明な1対の翼足があり、翼足を動かして遊泳する姿が海とのコントラスでとても優雅で美しいことから流氷の天使や氷の妖精と呼ばれています。

 

両極をかこむ寒流域に広く分布していますが、日本でも北海道沿岸の海でも一年中見られます。

クリオネの繁殖は2匹のクリオネが腹部をくっつけることで始まります。

 

雌雄同体で、繁殖の際に片一方がオスになり、もう片方がメスになって繁殖します。

メスになった方の腹部に卵を産み付け、4時間後には生殖孔からゼリー状の塊を海中に放出します。

 

塊の中の卵の数は100~1000個ほど。

約一年で性成熟し、寿命は2~3年と言われています。

クリオネの食性とバッカルコーン

クリオネは幼生の頃は植物プランクトンをろ過捕食していますが、大きくなると肉食性に変わり、ッカルコーンと呼ばれる6本の触手を伸ばして餌を抱え込むようにし、養分をゆっくりと吸収します。

 

クリオネのバッカルコーンはクリオネの頭と思われている部分にあります。

実は何となく私たちが頭と思っている部分は本当は腹部に当たり、内部に口と内臓が存在している部分でもあります。

 

バッカルコーンは普段は腹部の中に収納されていて、捕食する際に腹部の先端の触角が開いて、中から6本のバッカルコーンがでてくるというわけ。

後に書きますが、私たちが一般的にクリオネと言っているのはハダカカメガイという種類で、この種類の

 

捕食の対象となるのは同じ位の大きさのふわふわ泳いでいる巻貝、ミジンウキマイマイです。

クリオネは6本のバッカルコーンを伸ばしてミジンウキマイマイを抱え込むようにして口で養分を吸い取るのです。

 

その姿はとても妖精とは言い難い・・・・まるで人!?が変わったかのようなありさまで、クリオネの可愛らしい印象が覆ってしまうほどです。

生きとし生けるもの、やはり綺麗ごとだけでは済まされないということを教えられているようです。

クリオネの種類

クリオネには5種類が存在すると言われています。

そのうちの最小種は2017年に富山湾で見つかり、日本海の固有種とされて深海でも生息しているクリオネがいるということが明らかになりました。

その他のクリオネは以下の通りです。

ハダカカメガイ

北極海、北太平洋の寒流域に棲息する表層0~600mまで生息し、表層200m以浅を中心に分布しているクリオネ。体長は1~3㎝で、体はほぼ円筒形をしています。

ダイオウハダカカメガイ

北極海、北大西洋に分布する世界最大のハダカカメガイです。体長は10㎝にもなります。

ハダカカメガイとは違う餌を食べているので、内蔵が緑色をしています。

ナンキョクハダカカメガイ

南極海に棲息するクリオネ。

ダルマハダカカメガイ

オホーツク海に棲息する小型のハダカカメガイで幼形成熟し、体長は8mm程度です。

緑のクリオネ、ダイオウハダカカメガイも見てみたい気もします。

 

赤と緑だとクリスマスカラー。

2色のクリオネの展示はクリスマスシーズンにぴったりかもしれませんね。

緑って海中ではほとんど目立たない存在なのではないかと思ったりもしますが、ダイオウハダカカメガイに関する情報はあまりなく、残念。

(ライター ナオ)