夏になると猛威を奮うスズメバチ。

毎年スズメバチの被害にあう人は全国的に後を絶ちません。

 

厚生労働省の人工動態調査では2014年の1年間で14人の人がスズメバチに刺されて命を落としたそうです。

また、2017年には空梅雨の影響でスズメバチが異常発生し、全国的に大勢の人が一気にスズメバチに襲われるという被害も起こりました。

そんなスズメバチ、スズメというとどちらかというと可愛らしいイメージなのですが、どうしてスズメバチという名前になったのでしょう。

スズメバチの特徴と生態

スズメバチはハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科に分類される昆虫。

スズメバチ科は4属67種が知られていて、日本にはスズメバチ属の7種類、クロスズメバチ属の5種類、ホオナガスズメバチ属の4種類が生息しています。

幼虫時代のエサは基本的には昆虫類で、成虫が捕獲した昆虫や小動物、死体の筋肉質の部分を団子にしたもの等を摂食します。

アシナガバチの蛹やヒメスズメバチは肉団子ではなく、成虫が獲物をかみ砕いて貯めた体液を口移しで摂取します。

天敵は人間をはじめ野鳥やニワトリ、クマなどが挙げられますが、オオカマキリやオニヤンマなどの大型のトンボ、クモなどもスズメバチを捕食する存在です。

スズメバチの種類ごとの危険度レベル

また、カブトムシなども直接捕食はしませんが、同じエサ場に集まる時には攻撃を仕掛けていき、スズメバチに打撃を与える存在です。

幼虫の捕食者は同じハチだったり、ハナアブ類の幼虫だったりします。

女王バチはコメツキムシ科の幼虫に捕食されることがあり、アリなどに巣を襲われることもあります。

 

スズメバチは攻撃性が高く、1匹の女王バチを中心とした社会を形成します。

未受精卵はオスのハチになり、受精卵はメスのハチになります。

 

幼虫時代に食べたエサによって、女王バチが決定し、女王蜂は8~12月になると、終齢幼虫の栄養をたっぷりと摂取した後、巣を離れ、共に巣を飛び立ったオスバチと交尾をし、朽ち木などに越冬室を掘って冬眠に入ります。

スズメバチの種類ごとの危険度レベル

翌年の春、冬眠から覚めて女王バチは営巣を開始します。

巣材料の収集や幼虫のエサの狩猟は主に働きバチの役割ですが、働きバチが誕生するまでは女王バチが単独で行います。

何もせずに卵を産んでばかりいると思いがちな女王バチですが、しっかりと働いている期間もあり、むしろ全く働かないのはオスのハチなのです。

 

オスのハチは子孫を残すためだけの存在で、全く働かず、オスの大半は天敵に捕食されるか交尾前に力尽きてしまうという悲しい運命。

運よく、女王バチと交尾できたオスも交尾後に死んでいきます。

 

エサは、幼虫の時期は働きバチなどが集めてきた昆虫を原料とした肉団子を食べます。

昆虫の種類としてはトンボやバッタ、アブ、ハエ、カマキリ、チョウ、クモなどで、水中や地中にいる生き物以外の多くの昆虫が対象になります。

 

モンスズメバチなどはセミを好んで食べる等、特定の昆虫をターゲットにしている種類もいるようです。

成虫は終齢幼虫の唾液腺から分泌される栄養液をエサとします。

 

栄養液はたんぱく質が含まれる人乳に近い組成をしたもので、栄養液が不足したり、終齢幼虫がまだ十分に育っていない時期には、花の蜜や樹液などを摂取したり、それでもエサの足りない時には幼虫そのものを捕食することもあります。

スズメバチの名前の由来

スズメバチの名前の「スズメ」はまるでスズメのように大きいという体型的な特徴からきています。

スズメバチはハチの中でもとりわけ体が大きく、それが鳥のスズメのようだということなのでしょう。

 

またもうひとつ、スズメバチの作る巣からきているという説もあります。

スズメバチの巣の模様はよく見るとスズメの羽の模様に似ています。

 

濃い茶色とクリーム色が混在したような縞模様はまるでスズメの羽そっくりです。

これが、「スズメ」と名前がつく由来といわれても納得です。

(ライター ナオ)

スズメバチの種類ごとの危険度レベル