小学生の頃、夏休みに一度は持って帰ってきたことのある朝顔。

決して華やかではありませんが、どこか透き通った風が吹いていくような爽やかな花です。

今回はそんな朝顔の害虫のお話です。

朝顔の特徴

朝顔はヒルガオ科サツマイモ属に分類される一年生の植物です。

日本で最も発達した園芸植物で古典園芸植物の1つでもあります。

つる性で葉は広尖形で細かい毛があります。花は大きく開いた円錐形で真夏に開花し、一つの花は外側からがく5.花弁5、おしべ5、めしべ1となります。5枚の花弁は漏斗状になって融合し、子房は3つの子房室から作られます。

 

原産地は熱帯アジア、ヒマラヤ山麓で、日本への到来は奈良時代末期に遣唐使がその趣旨を薬として持ち帰ったものが初めとされています。

朝顔の種の芽になる部分には下剤の作用がある成分が沢山含まれていて、奈良時代や平安時代には薬用植物として扱われていたこともあります。

朝顔の種類

朝顔は世界で多種多様に変化している園芸植物ですが、ほとんどの変異は江戸時代に生まれたという古い歴史も持っています。

朝顔の中には種子が作れない種類もあります。八重咲や花弁が細かく切れたり、反り返ったりして本来の花型から様々に変化したものが生まれ、世間の注目を浴びました。このタイプの朝顔は変化朝顔と呼ばれ、日本でも非常に流行しました。

 

特に珍しく、美しいものはオモトや菊などと同様に非常な高値で取引されるものもありました。

江戸時代に盛んだった朝顔の品種改良は、戦後大輪朝顔が主流を占めるようになり、直径20㎝以上にもなる花を咲かせることの出来る品種も現れました。

現在は江戸時代に作られたと言われる黄色の朝顔や黒色の朝顔の再現が試みられています。

ハダニの特徴

そんな歴史ある朝顔について悪さをするのがハダニです。

ハダニは節足動物門鋏亜門クモ鋼ダニ目ケダニ亜目ハダニ上科に属する動物の総称です。

 

体長は0.3~0.8㎜でオスよりメスの方が大きく、吐糸管から糸を出すのが特徴。

葉の上で一生を過ごし、時には何世代も同じ葉の上で経過することも珍しくありません。

個体群密度の上昇や葉の状態が悪化すると分散し、この時糸を使って分散することもあります。

 

卵、幼虫、第一静止期、第一若虫、第二静止期、第二若虫、第三静止期を経て成虫になります。

オスは単相でメスは未交尾でオスを産むことができ、そのため巣内の血縁度は高く、社会性を持つ種類も見られます。

メスは複相で、通常交尾をしないとメスは生じません。

朝顔のハダニ対策

朝顔の葉にハダニがつくと、葉の色が抜けたように薄い黄緑色から黄色になります。

葉脈を残して葉色が悪くなることが多く、進行すると白っぽくなって最終的には茶色くなり枯れてしまいます。

 

対策としては、ハダニの好む高温乾燥の環境を作らないようにすることです。

葉水を与えるようにすると予防につながります。また、ハダニがついているのを見つけたら勢いのある水で葉の裏を洗うようにすることで駆除できます。

薬剤を使う場合はベニカXファインスプレーやマラソン乳剤が有効です。

 

朝顔にはハダニの他にもアブラムシやホコリダニなどの害虫がつきます。

どの害虫の害なのかは葉の状態を見ればわかり、ホコリダニの場合は新芽の頃から葉がくしゅくしゅと縮れる傾向にあり、葉が大きくなってもちぢれがなおりません。ホコリダニは肉眼で確認することが難しいほど小さい虫です。

 

また、アブアラムシは植物の汁を吸い、徐々に弱らせますので、数が少ないうちは吸われる汁の量も少ないですが、繁殖力がとても強いので爆発的に増えることもあります。

ホコリダニにはハダニと同じ薬剤が有効で、アブラムシは粘着テープなどで取り除くか、オルトラン粒剤やスミソ乳剤等が有効です。

(ライター ナオ)