淡水魚である天然のどじょうを水田などで見かけた人は今では数少なくなっていると言っても良いでしょう。

日本固有のどじょうは絶滅危惧種だといわれます。

そんなどじょうには口の周りにヒゲがありますね。あれは何本でしたかね?

どじょうの種類

意外にもどじょうにはたくさん種類がいます。

どじょうの生息地は日本全国ですが、北海道や沖縄などにいるどじょうは自然分布でないかも知れません。

日本産のどじょうは数が少ないのです。東アジアなどの淡水にも広く分布しているようです。

 

コイ目ドジョウ科はシマドジョウ亜科、アユモドキ亜科、フクドジョウ亜科に分かれ、最も多くの種がいるグループはシマドジョウ亜科のようです。

マドジョウやドジョウが入ります。自然に生息しているとみられる日本のどじょうは3亜科6属11種とされています。

 

シマドジョウ亜科のドジョウ属にはドジョウ、シマドジョウ属にはシマドジョウなど、アユモドキ亜科はアユモドキ属、フクドジョウ亜科にはホトケドジョウ属、フクドジョウ属などに分かれます。

 

岡山県内や琵琶湖の淀川水系などに不連続に分布し、小型の昆虫を食べているとされる綺麗な水を特に好むアユモドキは1977年に天然記念物に指定されています。

実はどじょうの分類は定まったものではありません。自然に分布している魚類は詳しく分ける事が難しくどじょうの姿は皆よく似ているからです。

どじょうは浅い淡水に生息しますが、アユモドキやホトケドジョウなどは比較的中層も泳ぐ事から、体内に浮き袋を持つとされます。

どじょうの外見

日本に生息するどじょうで最も大きいどじょうはドジョウ科シマドジョウ亜科のドジョウです。

体長は20cmくらいになり、目の下のトゲがないのが特徴です。

 

どじょうの体の色ですが、薄い茶やグレーに見えるものや青みがかった個体もあり、環境によって違う事もあります。

保護色と考えられています。模様に特徴があるのはシマドジョウです。

 

白っぽい体に茶系のはっきりした斑紋があります。

種類によりますが、どじょうはメスの方がやや体が大きいようです。

どじょうの呼吸法は3種類

どじょうは「泥鰌」または「鰌」と書かれる事もあるように、主に淡水のあるところの水底にいます。

どちらかというと流れが少ない淡水を好むようです。

 

底に溜まった泥の中にいるプランクトンなどの有機物などを濾しとるように食べています。

どじょうが底にあるものを食べると、泥や砂が巻き上がると同時に、中に含まれる微生物が水中の酸素を消費します。

 

そのため、どじょうは時折水面から口を出して酸素を取り入れます。

取り入れた酸素は腸にある毛細血管を使い吸収します。

余分な二酸化炭素などのガスを肛門から排出するので、川の水面がポコポコとしていると、どじょうがおならをした、などという事があります。

 

どじょうはエラ呼吸も行いますが皮膚呼吸もできることから、小さな小川や池、水田、溜池や用水路などの淡水が少なくなってもエラ呼吸以外の呼吸法で酸素を取り入れることができるそうです。

 

その為かどじょうの寿命は意外に長く5年は生きるといわれています。

また、冬にどじょうはどうしているかについてですが、水底の泥に潜り冬眠のような状態だそうです。

潜る深度は浅く5㎝~20cm程度だそうで、体が大きいどじょうほど深く潜る傾向にあるそうです。

どじょうの活動期

どじょうの活動期は春から秋とされます。

水温は15度から30度ほどですが、どじょうが活発になるのは25度程度だそうです。

 

繁殖に適した水温はおおよそ18度から22度とされます。

また、夜行性で何かに驚いたり危険を察知するとすばやく泥に潜り込む習性もあるようです。餌を食べるのも夜間が多いといわれます。

どじょうの産卵

どじょうの産卵は4月から6月にかけて行われます。

産卵時期が近づくと、発情したどじょうのオスは水底でメスをじっと待ち、メスのどじょうがやって来ると、数匹のオスがメスを追いかけ、一匹のオスが体に口で吸い付きメスの円筒形の体を締め上げ、メスが産卵すると共にオスは卵に精子をかけて受精させます。

 

卵は水田や浅い川、用水路などにある水草などに産み付けられる事が多いようです。

産卵数は多くて3万個ともいわれ、大きさは1mm程度のようです。

 

水温によるようですが、孵化するまでは2日ほどで、透明な稚魚が出てきます。

生まれて暫くすると少しずつ泳ぎ始め、餌も摂るようになります。

 

体が小さいうちは小さい甲殻類なども食べるようです。

体長が70mmほどになるとイトミミズなども食べるようになり、成魚になると雑食性が強くなる傾向にあるようです。

 

どじょうの餌は生息地や種類により異なります。どじょうの繁殖は水温の影響も大きく、秋でも気温が高いと年に2回繁殖期があるともいわれます。

どじょうの卵の主な捕食者はゲンゴロウ類、タイコウチなどの水生昆虫です。

どじょうのヒゲの数

どじょうのヒゲは10本です。しかし、これはマドジョウやドジョウ、カラドジョウのヒゲの本数であり、どじょうのヒゲの本数は種によって異なります。

シマドジョウ亜科のドジョウやマドジョウのヒゲは、口の上に3対、下に2対で合わせて10本です。

 

役割は味蕾だといわれます。人間でいえば、口の中にある舌のぶつぶつしたところです。

ヒゲに欠損のあるどじょうは元気がなくなってしまう事もあるようです。他の種類のどじょうのヒゲはどうでしょうか。

 

まず、日本のどじょうの中でも希少種とされるアユモドキです。

アユモドキは本当にアユに似て体は円筒形というより淡水にいる魚類に見えます。

 

体長は10cm~20cmほどです。ヒゲは口の上に3対、下に1対の計6本です。

他、シマドジョウたちのヒゲも6本です。ホトケドジョウのヒゲは8本です。

 

口の上にある一対のヒゲが鼻孔のあたりから出ているのも特徴です。

ホトケドジョウ類はほぼ全国に生息するとされますが、あまりよく分かっていないどじょうの種類です。

姿も円筒型というより頭は平たく、より他の魚類に近いような姿です。

どじょうの利用

食用としてのどじょうの旬は8月頃です。

取引量は平成28年度で約14トンほどです。

 

主などじょう料理というと、柳川丼、唐揚げ、ご当地ものとして、どじょう掬い饅頭もあります。

「うなぎ一匹どじょう一匹」というどじょうの栄養価の高さがわかる言葉まであります。

 

どじょうには豊富なカルシウムやビタミンB群が含まれています。

江戸時代には「どぜう」といわれ親しまれていたどじょうは、今や養殖が殆どです。

 

天然のドジョウが食用とされていたのは、昭和30年代頃までのようです。

四国地方でも香川県は溜池が多い地方です。溜池にもどじょうは生息していたようで、どじょう汁という鍋物料理もあります。

田植えによる疲労回復効果のあるものとしてどじょうは食用とされていたようです。

どじょう掬いについて

かつて宴会の余興としてトップレベルの人気であったと聞くどじょう掬いですが、宴会自体が既に廃れ気味であり、どじょう掬いを目撃した、若しくは踊ったことがある、という人は貴重ともいえます。

 

どじょう掬いは、山陰地方の島根県安来節と密接な関係があるようです。

原型は江戸末期にできたと伝えられ明治、大正を経て渡部お糸という人により全国区の踊りとして定着していったとされます。

 

島根県安来(やすぎ)市には、安来節演芸館があります。

本家の安来節にどじょう料理も鑑賞できます。

どじょう掬いにありがちな、鼻と口の間に割りばしを挟むものがありますが、あれは本式ではないのだそうです。

 

だいたい折った割りばしをそのまま挟んだら、木のギザギザが皮膚に食い込み痛いでしょう。

恐らく宴会会場には折詰弁当やおかず、座布団やおしぼり、こぼれた飲み物その他酒瓶等が散乱しており、その中から目に付いた割りばしをつい手に取り、そのままでは長すぎるので思い切って二つに折り、鼻と口の間にうっかり挟んでしまったのではないでしょうか。

 

どじょう掬いには「男踊り」と「女踊り」があります。メインとなるのは「男踊り」であり、「女踊り」はそれを支え優美に踊るのだそうです。

どじょう掬いの肝は、二者の動きの間合いが合う事であり、それによって愉快さも生まれます。

どじょう掬いという踊りは時に優美さまで要する高度な踊りでもあるようです。

どじょうのヒゲ

どじょうやマドジョウたちのヒゲは10本であり、ホトケドジョウは8本、シマドジョウは6本です。

役割は味蕾だと考えられています。

 

また、「泥鰌髭」などと口の周りにある薄いヒゲの事を言ったりします。

どじょうのヒゲの本数とその役割が気になって仕方がない、という人もこれで少しは安心できるのではないでしょうか。

(ライター:おもち)