ドールという名前の動物をご存知でしょうか?

オオカミの一種であるドールについて詳しくご紹介していきます。

ドールの特徴

ドールはイヌ科に属する食肉目で、1種のみでドール属を形成し、別名をアカオオカミともいいます。

幾種かの亜種に分けられていますが、インド、インドネシア、ミャンマー、ラオス、ロシア南東部に分布し、体長は70~110㎝程。体重はオスが15~20kgでメスは10~17kg。

 

背面の毛衣は主に赤褐色、腹面の毛衣は淡褐色や黄白色で尾の先端は黒い体毛で被われています。

口の下から胸や腹部、四肢の内側などは淡褐色で白っぽくなっています。

 

寒い所では特に毛が長いのも特徴です。

尾はキツネのようにフサフサしていて、先の方は黒っぽくなっています。

鼻づらは太くて短く、上下合わせて40本の歯を持っています。

ドールの生態

ドールは主に森林などに生息し、昼行性ですが月夜などは夜間に行動することもあるようです。

5~12頭ほどのメスの多い家族群を形成し、複数の群れが合わさって40頭ほどの群れを形成することもあります。

 

狩りの前や失敗した後などは互いに鳴き声を出して群れを終結させます。

蒸れは排泄場所を共有し、これにより他の群れに対してなわばりを主張する効果があり、臭覚が重要なコミュニケーションの手段だと考えられています。

臭腺は指の間と肛門部の2か所にあります。

 

食性は動物食傾向の強い雑食で、アクシスジカ、サンバー、ガウル、ニルガイ、アイベックス、マコールなどの哺乳類、爬虫類、昆虫、果実、動物の死骸などを食べ、獲物は臭いで追跡し、丈の長い草などで目視できない場合は直立したり、跳躍したりして獲物を探すこともあります。

 

アクシスジカなどの大型の獲物を他の個体が開けた場所で待ち伏せして、背後から原あ尻のような柔らかい場所に噛みつき、内蔵を引き裂いて倒したり、群れでトラやヒョウなどから獲物を奪うこともあります。

 

臭覚が鋭く、持久力もあるので狙った獲物はどこまでも追いかけていき、最後には獲物を倒して仕留めます。

かつて22匹のドールがオスのトラを殺して食べたという例が報告されていて、この時半数のドールが命を落としたものの、残りの半分はしっかりとトラを食べて生き残ったのだそう。

 

トラにとってドールは積極的に捕食する対象ではなく、互いに避け合う傾向にあると専門家はみているのだそうです。

繁殖形態は胎生で、妊娠期間は60~70日。土手に掘った穴や他の動物の巣穴などで11~4月、1回に2~9頭の幼獣を産みます。

 

繁殖は群れのうちで1頭のメスのみが行い、生まれたばかりの子供は200~350gほどしかありません。授乳期間は2ヶ月。群れの中には母親と一緒に巣穴の見張りを行ったり、母親や幼獣に獲物を履き戻して運搬する個体がいたりします。

 

幼獣は14日ほどで眼が見えるようになり、生後2~3か月位になると巣穴の外に出るようになります。生後5か月では群れの後を追うようになり、生後7~8ヵ月ほどで狩りに加わります。性成熟は生後1年程です。

幼獣はワシなどの猛禽類に襲われることもあり、野生下での寿命は10年程度、飼育下では15年程度と考えられています。

ドールと人間のかかわり

生息地では狩りが残忍とみなされたり、競合相手として敬遠されたり、報奨金をかけられたり、毒餌によって駆除されるということもあり、長い間人間に嫌われてきた動物です。

開発による生息地の破壊、駆除、伝染病などにより生息数は減少しており、国際自然保護連合の保存状況評価では絶滅危惧種としてレッドリストに指定されています。

ちなみに日本ではよこはま動物園ズーラシア、上野動物園などでドールを見ることができます。

(ライター ナオ)